5546件のデータ分析で分かった「ソフト開発の信頼性も生産性も低下」という冷淡な事実 IPAの狙いは?リリース後の不具合、レビュー指摘、テスト検出バグなどを分析

IPAの社会基盤センターは、「ソフトウェア開発分析データ集2022」を発行した。それによると前回は「信頼性は向上するも生産性は低下する」という特徴だったのに対して、今回は「信頼性も生産性も低下する」という傾向がみられた。

» 2022年09月29日 08時00分 公開
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 情報処理推進機構(IPA)の社会基盤センターは2022年9月26日、「ソフトウェア開発分析データ集2022」を発行した。

画像 「ソフトウェア開発分析データ集2022」(提供:IPA

 これは、業種全体の開発データの経年推移や収集データのプロファイル、ベンチマークとして使用できる基本的項目(工数、工期、規模、生産性、信頼性)についての分析結果をまとめたもので、IPAのWebサイトからダウンロードできる。

技術者の経験と勘に頼った方法ではなくデータに基づく改善を

 IPAが想定している読者は、ソフトウェア開発に携わっており、プロジェクトから収集したデータの精査や分析を担当する人や、開発プロジェクトデータの組織的活用サイクルを推進する管理部門担当者など。同社は「分析データ集を外部ベンチマークとして活用することで、プロジェクト計画立案時の参考にしたり、プロジェクト計画の妥当性を確認したりできる」としている。

画像 ソフトウェア開発分析データ集の活用メリットと特徴(提供:IPA

 IPAは「ソフトウェア開発の信頼性を上げるためには技術者の経験と勘に頼った方法ではなく、実際のプロジェクトデータに基づいて開発プロセスを改善する定量的なプロジェクト管理が必要だ」としており、同データ集はこうしたニーズに向けたもの。2005年から「ソフトウェア開発データ白書」として発行してきており、2020年に名称を「ソフトウェア開発分析データ集」と改めた。

 2022年版では、IPAが2004年から蓄積した5546件のソフトウェア開発に関する定量データを基に、開発プロセスに依存しない普遍的なメトリクスであるソフトウェアの信頼性を中心に分析したという。それによると、前回の「ソフトウェア開発分析データ集2020」では「信頼性は向上するも生産性は低下」が特徴だったのに対して、今回は「信頼性も生産性も低下」という傾向がみられた。

 IPAはソフトウェア開発分析データ集2022の他に、ソフトウェア開発のデータ分析の初心者向けに「マンガで分かるソフトウェア開発データ分析」も公開している。統計の入門やソフトウェア開発の定量データの相場観などを4コマ漫画と解説という構成で紹介しており、「分析データ集が難しくとっつきにくい読者にとって羅針盤となるものだ」としている。

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