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Gartnerは2022年10月18日(米国時間)、IT部門とユーザーに影響を与える2023年以降の重要な動向に関する戦略的展望を発表した。この展望は「ビジネスリーダーとITリーダーがどのように前提を見直し、機を捉えて不確実性を確実性に変えることができるか」という観点から、将来を予測したものだ。
「不確実性は、リスクと同じくらい多くの機会をもたらす」と、Gartnerのディスティングイッシュト バイス プレジデントでGartnerフェローのダリル・プラマー氏は述べている。「こうした機会を生かす鍵は、仕事の進め方や、顧客とプロバイダーの関係の進展、現在におけるトレンドの今後の行方に関する前提、特に、デジタル化される前の過去に根ざした前提を見直すことだ」
「未知の要素に満ちた現代のデジタル世界をリードしようとする企業でも、これまでのやり方に安住すると、成長が阻害されてしまう。今回の展望は、経営幹部が前進を続けながら、不確実性を捉え、考え方を再検討し、見通しを変更するための土台を提供する」(プラマー氏)
2023年以降の戦略的展望のトップ10は、次の通り。
- 1.2027年までに、完全に仮想的なワークスペースは、企業によるメタバース技術への投資拡大の30%を占め、オフィス体験の概念を一新していく
- 2.2025年までに、持続可能な人工知能(AI)の実践がなければ、AIは人間の労働者を上回るエネルギーを消費し、カーボンゼロ(二酸化炭素などの温暖化ガス排出量を実質ゼロにすること)の取り組みの拡大を大きく相殺してしまう
- 3.2026年までに、仮想アシスタントを用いて業務を停止させようとする「市民主導のサービス妨害(cDOS)攻撃」が、抗議活動の形態として最も急速に成長する
- 4.2025年までに、強力なクラウドエコシステムによってベンダーが30%淘汰(とうた)され、顧客の選択肢が減少し、ソフトウェアの運命に対する顧客の影響力も小さくなる
- 5.2024年までに、グローバルクラウドプロバイダーと現地パートナーが規制当局の認可の下で、主権要件に対応しながら共同出資で事業を行うことで、グローバルクラウドブランドへのステークホルダーの信頼が高まり、ITのグローバル化の継続が促進される
- 6.2025年までに、退職者や転職者の大幅な増加に伴い、企業の40%が重大な事業損失を報告することになり、人材戦略の焦点が獲得からレジリエンス(入れ替わりに左右されない体制)に変わらざるを得なくなる
- 7.2025年までに、「ムーンショット」と呼ばれる高リスクの投機的な技術投資を受け入れる株主が倍増し、成長を加速させる投資として、こうした投資が従来の研究開発投資に代わる現実的な選択肢になる
- 8.2027年までにソーシャルメディアプラットフォームは、ユーザーデータの蓄積を基盤として事業を行うビジネスモデルから、データ市場を通じて販売される分散型ID(アイデンティティー)を利用して事業を行うモデルに移行する
- 9.2025年までに、男女間の賃金格差を文書化された方法で是正する組織は、女性の離職率を30%減らし、人材不足を緩和できる
- 10.2025年までに、成功する成長投資の意思決定の30%においては、投資収益率(ROI)評価よりも従業員価値指標(ウェルビーイング、燃え尽き症候群、ブランド満足度など)の方が、判断基準として優先される
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