Gartnerによると、2021年に4126億ドルだった世界のエンドユーザーのパブリッククラウドサービス支出は、2022年に前年比18.8%増の4903億ドル、2023年に同20.7%増の5918億ドルに達する見通しだ。
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Gartnerは2022年10月31日(米国時間)、2021年に4126億ドルだった世界のエンドユーザーのパブリッククラウドサービス支出が、2022年は前年比18.8%増の4903億ドル、2023年は同20.7%増の5918億ドルに達するとの見通しを示した。
Gartnerのバイスプレジデント アナリストのシド・ナグ氏は「現在のインフレ圧力とマクロ経済状況は、クラウド支出を押し上げている面と、押し下げている面の両方がある」と指摘する。
「クラウドコンピューティングは、アジリティ(俊敏性)、弾力性、スケーラビリティにより、今後も安全性とイノベーションの土台となり、不確実な時代の中で成長を支えていくだろう。ただし、企業が使える資金には限りがある。IT予算全体が縮小すれば、クラウド支出も減少する可能性がある。クラウド支出はIT支出の最大の割合を占めており、予算の伸びに比例するからだ」(ナグ氏)
2023年には、IaaS(Infrastructure as a Service)へのエンドユーザー支出が29.8%増と最も伸びると予想されている。2023年は、2022年に続いて全てのクラウドサービスセグメントで支出が増加する見通しだ。
2021 | 2022 | 2023 | |
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クラウドビジネスプロセスサービス(BPaaS) | 54,952 | 60,127 | 65,145 |
クラウドアプリケーションインフラサービス(PaaS) | 89,910 | 110,677 | 136,408 |
クラウドアプリケーションサービス(SaaS) | 146,326 | 167,107 | 195,208 |
クラウド管理・セキュリティサービス | 28,489 | 34,143 | 41,675 |
クラウドシステムインフラサービス(IaaS) | 90,894 | 115,740 | 150,254 |
Desktop-as-a-Service(DaaS) | 2,059 | 2,539 | 3,104 |
合計 | 412,632 | 490,333 | 591,794 |
世界のパブリッククラウドサービスのエンドユーザー支出予測(単位:百万ドル)(2022年10月:Gartner)※BPaaS:Business Process as a Service、PaaS:Platform as aService、SaaS:Software as a Service |
「クラウドへの移行は止まらない」と、ナグ氏は説明する。「IaaSが成長を続けるのは、自然な流れだろう。企業がリスクを最小限に抑え、コストを最適化するために、ITモダナイゼーションを加速させているためだ。クラウドへの移行は、設備投資の抑制にもつながる。現金支出をサブスクリプション期間にわたって分散することになる。これは、現金が業務維持に不可欠となる可能性がある環境では、重要なメリットになる」
Gartnerは、PaaSとSaaSが、最もインフレの影響を受けるとみている。企業が人員体制の問題を抱える他、利幅確保が重点課題になるからだ。それでも、両セグメントとも引き続き成長すると見込まれている。Gartnerは、2023年のPaaS支出の伸び率を23.2%、SaaS支出の伸び率を16.8%と予想している。
「最新のSaaSアプリケーションを開発するには、より高賃金で熟練したスタッフが必要になる。そこで企業は、コスト管理のために雇用を減らすことになり、問題に直面する。だが、PaaSは、SaaSアプリケーションのコード生成を効率化、自動化できるため、PaaSの利用率は結果的に上昇する」とナグ氏は語る。
「成長性、収益性、競争の圧力にもかかわらず、クラウド支出は、永続的なクラウド利用によって継続されるだろう」と、ナグ氏は付け加える。「アプリケーションやワークロードがいったんクラウドに移行すると、一般的にそこにとどまり、サブスクリプションモデルによって、契約期間にわたって支出が継続され、当初の契約期間以降も、支出が継続される可能性が高い。クラウドベンダーにとって、クラウド支出は年金のようなものだ」
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