日本能率協会は、「当面する企業経営課題に関する調査」の結果を発表した。自然災害発生時のBCPは6割以上の企業が策定済みで、BCPの取り組みに関する課題では「担当する人材の不足」を挙げる企業が6割を占めた。
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日本能率協会は2022年12月8日、「当面する企業経営課題に関する調査」の結果を発表した。この調査は1979年から実施しており、対象は同社の法人会員と評議員会社、サンプル抽出した全国主要企業の経営者。今回の調査では689社から有効回答を得た。
なお、調査では従業員数を基に企業規模を定義しており、(従業員数が)3000人以上の企業を「大企業」、300人以上、3000人未満は「中堅企業」、300人未満を「中小企業」としている。
BCP(事業継続計画)に策定状況について聞いたところ、最も策定が進んでいるのは「巨大地震・台風などの自然災害」だった。「策定済み」と回答した割合は61.4%で、大企業に限ると80.0%に上る。策定していないという企業でも、「計画策定中」または「これから検討する」がともに17%程度と、特に自然災害への対策が進んでいることが分かった。
一方で「紛争・戦争などの地政学リスク」(8.7%)や「急速な為替変動」(12.6%)については、対策が進んでいなかった。
BCPに取り組む上での課題について聞くと「人材不足(担当する人材が不足している)」を挙げた企業が最も多く、全体で57.8%(複数回答、以下同)だった。次いで「取り組むための専門知識・情報が不足している」(47.3%)、「顧客や取引先を巻き込んだ取り組みができていない」(29.8%)と続いた。これらの課題の順位は、企業規模や業種が違っても変わらなかった。
「サプライチェーンの毀損(きそん)」への対策について聞いたところ、「調達先企業の分散化(集中の是正)」(55.3%)や「日本国内でのサプライチェーン確保」(39.4%)といった対策を図っている企業が多かった。
日本能率協会は「BCPの策定は緊急事態が起こったときにできるだけ早く平常時に戻せるだけでなく、取引先からの信用や、市場関係者からの評価につながる。現在は大企業の取り組みが先行しているが、今後は中堅、中小企業でもBCPの策定が進むことを期待している」と述べている。
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