2023年のインフラと運用の鍵はSASE、サステナブル技術、統合管理――Gartnerが6つのトレンドを解説技術ソリューションの購入、展開、管理の見直しが急務に

Gartnerは、2022年12月から12〜18カ月の間にインフラと運用(I&O)に大きな影響を与えると予想される6つのトレンドについて解説した。

» 2022年12月15日 08時00分 公開
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 調査会社のGartnerは2022年12月8日(米国時間)、今後12〜18カ月間にインフラと運用(I&O:Infrastructure and Operations)に大きな影響を与えると予想される6つのトレンドについて解説した。

 「I&Oチームは、最適なビジネス成果を得るための技術ソリューションの購入、展開、管理方法に対する見方を転換させる変化に直面している」と、Gartnerのリサーチバイスプレジデントのジェフリー・ヒューイット氏は指摘する。「さらに、ソリューションが急速に複雑化し、展開シナリオも急増していることから、I&Oリーダーは、スキル、役割、キャリアパス管理について、これまでとは異なる観点からアプローチする必要に迫られている」

 2023〜2024年前半にI&Oに影響を与える主要トレンドとして、Gartnerは以下の6つを挙げている。

1.セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)

 SASEは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を可能にする統合サービスとして販売されるシングルベンダーの製品だ。どこからでもアプリケーションにアクセスできるように、ユーザー、デバイス、ロケーションを接続し、セキュリティを確保する。Gartnerは、2023年に世界のエンドユーザーのSASE支出が92億ドルに達し、前年比で39%増加すると予想している。

 「ハイブリッドワークと、クラウドコンピューティングへの絶え間ない移行が、SASEの導入を加速させている。SASEは、ユーザーが安全な方法でアプリケーションに接続できるようにし、管理効率も高める」(ヒューイット氏)

2.サステナブル技術

 サステナブル技術は、技術を活用する企業や顧客のサステナビリティ(持続可能性)という文脈の下で、サステナブルなITを包含している。環境、社会、ガバナンス(ESG)、経済の4つの主要な側面がある。Gartnerの最近の調査によると、ビジネスリーダーの87%が、2022年以降2年間に自社のサステナビリティ投資を増やすとしている。I&Oチームは自社のESG目標をサポートするために、サステナブル技術の導入を進める必要がある。

 「I&Oチームは、データセンターとクラウドのサステナビリティ向上や、デバイスのIT循環型経済の導入などを通じて、企業のサステナビリティの取り組みで重要な役割を果たす機会がある」(ヒューイット氏)

3.プラットフォームエンジニアリング

 プラットフォームエンジニアリングは、アプリケーションリソース管理(ARM)、アプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)、デジタル体験モニタリング(DEM)、デジタルプラットフォームコンダクター(DPC)ツールなど、インフラ技術の管理ツールや各種コンポーネントを統合的に運用することを指す。継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)の原則を拡張する、ユーザー主導のセルフサービス型インフラとその展開を可能にし、I&Oのアジリティ(俊敏性)、スピード、効率、安全性、コンプライアンスを促進する。

 I&Oリーダーは、I&Oチーム内にどのようなスキルや能力のギャップがあるかを判断し、それを埋める計画を立てることで、プラットフォームエンジニアリングに対応できる。

4.無線の価値のイノベーション

 I&Oチームは複数の無線技術を活用することで、接続だけでなく、ビジネスディスラプション(創造的破壊)の機会も広げることができる。Wi-Fi、5G、Bluetooth、高周波(HF)など、さまざまな無線技術の重複が接続ソリューションを促進し、イノベーション機会を生み出す。

 「無線の価値のイノベーションにより、無線投資のスケーラブルなリターンが得られ、ネットワークが戦略的なイノベーションプラットフォームになる。ただし、このイノベーションを実現するには、大きな複雑さに対処しなければならず、無線統合の能力や無線追跡の実装経験など、幾つかの新しいスキルや経験が必要になる」(ヒューイット氏)

5.特定業種向けクラウドプラットフォーム

 特定業種向けクラウドは、企業がさまざまなクラウドサービスを購入する代わりに利用できる選択肢だ。特定の垂直市場のニーズと一致する統合済みのソリューションを提供するからだ。

 特定業種向けクラウドプラットフォームでは、特定業種に特化した機能が従来のクラウドサービスと組み合わされている。こうしたソリューションに注目しているのは、価値創造のスピードアップや、コンポーザビリティの活用による差別化されたデジタル製品、サービスの構築、業界を超えたイノベーションの恩恵の獲得を目指す企業だ。Gartnerは、2027年までに企業の50%以上が、特定業種向けクラウドプラットフォームを利用して、ビジネスの取り組みの加速を図ると予想している。

6.スキルを持った人材の獲得競争の過熱

 デジタル実装が進む中、I&Oチームでは、さまざまなスキルへの需要が高まっている。だが、クラウド、自動化、高度な分析など、需要の高いスキルを持った人材のプールは限られている。また、一部の企業では、ビジネス部門内にI&O担当者を置いており、このことが、スキルを持った人材の社内での獲得競争激化につながっている。

 「新しいスキルを求める競争は、I&Oリーダーのキャリア機会を増やす一方で、組織内の人材ギャップを埋めるコストを押し上げたり、従業員の維持、引き留めを難しくしたりすることがある。I&Oリーダーは、今後必要となるスキルを特定するツールや、既存従業員のスキルを充実させる新しいトレーニングアプローチを検討し、従業員がビジネス部門や競合他社に移ってしまうリスクを軽減すべきだ」(ヒューイット氏)

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