Oracleは、「Oracle Database」の次の長期サポートリリース「Oracle Database 23c」の無料版「Oracle Database 23c Free - Developer Release」を開発者向けに提供開始した。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
Oracleは2023年4月3日(米国時間)、データベースソフトウェア「Oracle Database」の次の長期サポートリリースとなる「Oracle Database 23c」(コードネーム:App Simple)の無料版「Oracle Database 23c Free - Developer Release」を開発者向けに提供開始したと発表した。
Oracle Database 23cは、アプリケーション開発者のためにオブジェクト型とリレーショナル型のミスマッチに対応する新しいアプローチを採用して開発が進められており、Oracleは、「あらゆるデータタイプ、ワークロード、開発スタイルに対応するコンバージドデータベース」とうたっている。2022年10月にβ版が発表されており、正式版のリリース時期は明らかにされていない。
Oracle Database 23c Free - Developer Releaseは、Docker Image、VirtualBox VM、Linux RPMのインストールファイルとして、ユーザーアカウントやログインの必要なくダウンロードできる。Windows版も近日中に提供される。
Oracleのミッションクリティカルデータベーステクノロジー担当エグゼクティブバイスプレジデント、ホアン・ロアイザ氏は、「開発者はOracle Database 23c Free - Developer Releaseにより、新しいアプリケーション開発機能をいち早く利用できる。リレーショナルデータモデルとドキュメントデータモデルを統合して両方の長所を提供するJSON Relational Duality、OLTP(Online Transaction Processing)データに対するグラフ問い合わせを直接行うSQLサポート、世界で最も人気のあるプログラミング言語であるJavaScriptのストアドプロシージャなどの最新機能の理解を深め、新しいアプリケーション構築を開始できるようになる」と説明している。
Oracle Database 23c Free - Developer Releaseの目玉機能は以下の通り。
開発者は、リレーショナルとJSONのどちらからでも、信頼できる唯一の情報源(SSOT)にアクセスするアプリケーションを簡単に構築でき、リレーショナルモデルとドキュメントモデルの両方の長所を生かせる。データは1つのみ保管され、どちらのアプローチでもアクセス、書き込み、変更が可能。
Oracle DatabaseにJavaScriptストアドプロシージャを記述したり、既存のJavaScriptライブラリをロードしたりすることで、ネットワークを介さずデータに最も近いところでJavaScriptコードを実行できる。JavaScriptコードがサポートされることで、既存のビジネスロジックをそのままデータ層で再利用したり、JavaScript開発者がスキルを生かせるため、開発者の生産性を向上させたりすることができる。
データベース側で、業界標準のJSONスキーマを使用してJSONドキュメント構造が保証および検証されるため、開発者はJSONデータ形式を安心して使用できる。
開発者は、最新のSQL標準のプロパティグラフ問い合わせサポートを使用して、Oracle Databaseでトランザクションと分析の両方を同時にサポートするプロパティグラフアプリケーションを構築できる。リレーショナルデータとJSONデータの両方でグラフ分析を実行できる。
Kafkaアプリケーションが、最小限のコード変更でOracle DatabaseのTransactional Event Queuesを利用できる。単一のアトミックトランザクションでイベント操作とデータベース変更を実行するトランザクションイベントを組むことで、より堅牢(けんろう)なマイクロサービスを実現できる。
新しいドメインコンストラクタは、軽量な修飾子として用途別データをドキュメント指向で一括定義する機能であり、SQL標準ドメインを拡張してより柔軟に扱える。開発者は、これまで複雑さや非互換性を伴いがちだった用途ごとのデータ型やユーザー定義型を用いることなく、データがどのように利用されているかをより把握しやすくなり、データ全体の品質向上が可能になる。
Oracle Databaseの新しい注釈メカニズムにより、データベースのメタデータをデータと一緒に直接保存できる。開発者は、表、列、ビュー、索引などの共通データモデル属性に注釈を付けることができ、アプリケーション間でデータの用途についてのプロパティを登録、交換するための、軽量かつ宣言的な一元管理機能が利用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.