OracleとMicrosoftが「Oracle Database Service for Azure」を発表した。OracleのデータベースをOracle Cloud Infrastructureで動かすが、Azureからは他のクラウドにあることを意識しないで設定ができるという。これまでとの違いはどこにあるか。
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OracleとMicrosoftは2022年7月20日(米国時間)、「Oracle Database Service for Azure」を発表した。東京を含む11のリージョンで利用可能。
新サービスは、Microsoft Azure上でOracleのデータベースを動かすというものではない。OracleのデータベースはあくまでもOracleのクラウドサービスである「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上で動く。「最大限のパフォーマンスと可用性はOCIでしか実現できない」ことをOracleは強調している。
Oracle Database Service for Azureでは、Azure上にユーザーが構築したアプリケーションからOCI上のOracleのデータベースと高速に接続し、迅速かつ容易に使えるという。アクセス遅延は2ミリ秒以下。Oracleは、「2つのクラウドにまたがって、現実のアプリケーションを動かすことはできないというよく知られた俗説がある」が、新サービスでこれを払拭(ふっしょく)するとしている。
実は、OracleとMicrosoftは、2019年より「Oracle Interconnect for Azure」という、相互のクラウドを直接結ぶ取り組みを進めている。ユーザー組織は、2つのクラウドの間で冗長化した高速なVPN接続を設定し、利用できる。「2ミリ秒以下」の低遅延も、Oracle Interconnect for Azureで既に実現している。
では、新サービスはどこが新しいのか。Oracle Interconnect for Azureに比べると、コストや使いやすさの点で、大きな違いがあるという。
まず、Oracle Interconnect for Azureは両クラウドのユーザー仮想ネットワークセグメント間をつなぐものであり、ユーザーは自身でネットワーク設定を行わなければならない。また、このサービスはポート単位で課金される。
一方、Oracle Database Service for Azureの場合、OCI側で接続されるのはOracleのデータベースのみであり、この用途に限ってOracle Interconnect for Azureが無償で使える。また、ネットワーク設定は自動化される。つまりAzureユーザーは、ネットワークのことを考えずに、OCI上のデータベースをあたかもAzure上のサービスであるかのように利用できる。
その上でOracleのデータベース自体のプロビジョニング、運用についても、OCI上のデータベースをあたかもAzure上のサービスであるかのように実行できるようになっているという。
具体的には、Oracle Database Service for Azure専用のポータルが提供されている。このポータルは、Azureの管理コンソールに似たデザインになっており、AzureユーザーはOCIコンソールの使い方を覚えることなくデータベースを設定できる。プロビジョニングが終われば、接続文字列を使ってデータベースにアクセスできるようになる。
Oracle Database Service for Azureポータルでは、数クリックでデータベースを立ち上げられるようになっている。このため、データベースの全機能をきめ細かく設定することはできない。Oracleでは「よく使われる機能に絞っている」と説明している。ただし、OCIのコンソールでの設定は可能。
Oracle Database Service for Azureポータルを通じたOracleデータベースの設定に、OCIのアカウントは要らない。同ポータルにAzureユーザーとしてログインすれば、これとリンクしたOCIアカウントが自動的に生成される。AzureとOCIの認証連携も簡単にできるという。
Oracle Database Service for Azureポータルで設定されたOracleデータベースのメトリクスはAzure App Insightsへ、イベントはAzure Log Analyticsに送られる。こうして、Azureのツールによるモニタリングができるという。
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