Webブラウザ「Chrome 113」のβ版で、新しいWebグラフィックスAPI「WebGPU」が利用可能になった。
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GoogleのChromeチームは2023年4月6日(米国時間)、同日にリリースしたWebブラウザ「Chrome 113」のβ版で、新しいWebグラフィックスAPI「WebGPU」が利用可能になったと発表した。
Chrome 113は、4月26日に安定版のリリースが予定されている。
「WebGL」および「WebGL 2」の後継となるWebGPUは、同じグラフィックスでもJavaScriptの作業負荷を大幅に軽減したり、機械学習(ML)モデルの推論を3倍以上改善したりするといった大きなメリットをもたらす。これは柔軟なGPUプログラミングと、WebGLが提供しない高度な機能へのアクセスにより可能となる。
WebGPUは、Windowsの「Direct3D 12」、macOSの「Metal」、Linuxの「Vulkan」と同様に、最新GPUのハードウェア機能を引き出し、レンダリングと計算処理を可能にするWebグラフィックスAPIだ。GPUでの汎用(はんよう)計算、GPUハードウェアへの低オーバーヘッドアクセス、コンピュートシェーダー、高速なテクスチャロード、1つのグラフィックスデバイスから複数のキャンバスにレンダリングする機能、より予測可能な優れたパフォーマンスといった特徴を持つ。
W3C(World Wide Web Consortium)の「GPU for the Web」コミュニティーグループが、パフォーマンスを念頭に置いて一からWebGPUを開発した。Mozilla、Apple、Intel、Microsoftといった主要企業も開発に貢献してきた。Chromeで最初の実装が利用可能になったが、「Firefox」と「Safari」の両ブラウザでもサポートが進められている。
今回のWebGPUの初期リリースは、将来のアップデートと機能拡張のためのビルディングブロックとなる。Chromeチームは、WebGPUはより高度なグラフィックス機能を提供する予定としており、追加機能の要望を出してほしいと開発者に呼び掛けている。
WebGPUは、VulkanをサポートするChromeOSデバイス、Direct3D 12をサポートするWindowsデバイス、macOS上のChrome 113 βで利用できる。Linux、Androidなど他のプラットフォームでも、近いうちに利用可能になる見込みだ。
なお、広く使われているWebGLライブラリの多くでは、WebGPUのサポートが実装中であるか、または既に実装されている。Chromeチームは以下の例を紹介している。
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