JetBrains、「Kotlin Notebook」を発表 Jupyter Notebook準拠でプロトタイピングに利用可能実験的プラグインとして提供開始

JetBrainsは、統合開発環境(IDE)「IntelliJ IDEA」に対応した「Kotlin Notebook」の実験的バージョンを提供開始した。

» 2023年07月11日 08時00分 公開
[@IT]

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 統合開発環境(IDE)「IntelliJ IDEA」やプログラミング言語「Kotlin」の開発元であるJetBrainsは2023年7月4日(チェコ時間)、IntelliJ IDEAの「Kotlin Notebook」プラグインの実験的バージョンを提供開始したと発表した。

 Kotlin Notebookプラグインは2023年7月時点で、IntelliJ IDEA Ultimateのユーザーが利用できる。IntelliJ IDEA Ultimateは、Java、Kotlin、Web、エンタープライズ開発用の全機能を搭載するIntelliJ IDEAの商用バージョンだ。

Kotlin Notebookプラグインとは

 Kotlin Notebookは、Kotlinに関するコード、画像やグラフ、テキストなどを1つのドキュメントにまとめることができるインタラクティブツール。ノートブックでは、コードスニペット(セル)の作成、実行、結果の表示、思考プロセスの文書化を全て1カ所にまとめられる。

 ノートブックフォーマットは既に、ラピッドプロトタイピング、分析、データサイエンスに広く採用され、信頼されている。「Kotlin Notebookプラグインは、IntelliJ IDEAにインタラクティブ開発のパワーをもたらす」とJetBrainsは述べている。

Kotlin Notebookのインストール方法

 Kotlin Notebookプラグインを使用するには、IntelliJ IDEA Ultimateの[Settings | Plugins](設定|プラグイン)タブにある[Marketplace](マーケットプレース)からインストールする。IntelliJ IDEAのバージョン2023.1.2以上を使用している必要がある。

 またPythonプラグインのインストールも必要となる。これは、Kotlin NotebookがPythonプラグインのUIコンポーネントに依存しているためだ。ただし、この依存関係は近いうちに解消される見通しだ。

MarketplaceからKotlin Notebookをインストール(提供:JetBrains) MarketplaceからKotlin Notebookをインストール(提供:JetBrains)

Kotlin Notebookの基本的な使い方

 Kotlin Notebookプラグインをインストールすると、最初のノートブックを作成する準備ができる。基本的に、ノートブックはディスク上のファイルであるため、[New | Kotlin Notebook](新規作成|Kotlin Notebook)アクションにより、プロジェクトビューのどこにでも作成できる。

 作成されたノートブックは、「.ipynb」の拡張子を持つ。Jupyter Notebookを知っている人には見慣れた拡張子だ。Kotlin Notebookは内部的には、Jupyter Notebookと同じ構造、フォーマット、プロトコルに従う。そのため、Kotlin Notebookのファイルは、KotlinカーネルがインストールされたマシンでGitHub、Jupyter Notebook、JupyterLabで見ることもできる。

 作成されたノートブックには、最初の空のセルだけが含まれる。セルはノートブックの主な構成要素で、コードかテキストを含むことができる。コードセルを実行するには、セルを選択して実行ボタンをクリックするか、[Shift]+[Enter]ショートカットキーを使用する。これでコードが実行され、出力またはエラーがセルの下に表示される。

 Markdownセルにテキストを書くこともできる。Markdownセルはヘッダ、リスト、リンク、LaTeX、画像など、豊富なフォーマットオプションをサポートしている。Markdownセルをレンダリングし、フォーマットされたテキストを見るには、コードセルの実行と同じ方法で実行する。

 ノートブックは、インタラクティブで反復的なワークフローを提供する。セルを好きな順番で実行したり、コードやテキストを変更したり、変数の宣言や再宣言を行ったり、セルを再実行して、更新された結果を見たりすることができる。このため、実験やプロトタイプ作成、作業の文書化が簡単に行える。

Kotlin Notebookで作成したノートブックの実行画面(提供:JetBrains) Kotlin Notebookで作成したノートブックの実行画面(提供:JetBrains)

 JetBrainsは、ノートブックを体験し、探索するためのサンプルノートブックを提供している。このサンプルノートブックは、Kotlin Notebookを発表したブログ記事で説明された全ての側面を網羅している。その中には、サポートされている出力の詳細や、ノートブックの依存関係、ライブラリの統合などが含まれている。

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