Microsoftはパートナー向け年次イベント「Microsoft Inspire」の開幕に合わせ、パートナー支援などセキュリティに関する最新の取り組みを発表した。
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Microsoftは2023年7月18日(米国時間)、パートナー向け年次イベント「Microsoft Inspire」の開幕に合わせ、パートナー支援などセキュリティに関する最新の取り組みを発表した。
発表されたのは、「Microsoft Security Copilot」の早期アクセスプログラムの開始計画、マネージドセキュリティサービスプロバイダーのコミュニティーへの投資、セキュリティパートナーによる中小企業保護の支援、セキュリティ製品のアップデートだ。
Microsoftは2023年3月に発表したMicrosoft Security Copilotについて、2023年秋に早期アクセスプログラムを開始し、多くの顧客とパートナーに体験してもらえるようにすると発表した。Security Copilotは、生成AI(人工知能)の「ChatGPT」を活用してセキュリティ担当者を支援する製品。Microsoftとサードパーティーの幅広いツールと連携するように設計されている。
Security Copilotの試用に集中できるように、試用の前提となるエンタープライズエンドポイントセキュリティプラットフォーム「Microsoft Defender for Endpoint」を使用している顧客に、早期アクセスを優先的に提供するとしている。また、クラウドネイティブのセキュリティ情報イベント管理(SIEM)サービス「Microsoft Sentinel」を使用している場合は、同プログラムからより多くのメリットを得られると説明している。
Microsoftは、Security Copilotを活用した独自のソリューションやサービスの構築を支援するパートナーエンゲージメントも正式に開始したことも明らかにした。Security Copilotなど新しいAI技術を最大限に活用するために、顧客とどのように関わればよいかを学びたいと考えるパートナーに、新しいSecurity Copilotデザインアドバイザリーカウンシルへの参加を申請することを勧めている。
Microsoftは調査会社Gartnerの予測を引用し、MDR(Managed Detection and Response:マネージド検知、対応)サービスへの需要が今後数年間、拡大するとの見通しを示し、ファーストパーティーのサービスに加え、MXDR(Managed Extended Detection and Response:マネージド拡張検知、対応)パートナーのサービスの採用に積極的に取り組んでいることを明らかにした。今後1年間のセキュリティパートナーへの投資総額を50%近く増やすと述べている。
Microsoftは、中小企業に対するランサムウェア攻撃などのサイバー攻撃と被害が増加していることを踏まえ、パートナーが中小企業にセキュリティサービスを提供しやすいように、以下の取り組みを進めていることを紹介した。
Microsoftは、セキュリティ製品のアップデートを以下のように発表した。
顧客が予算、請求、コストの管理を簡素化できるように、Microsoft Sentinelの料金に「Azure Monitor Log Analytics」の料金が含まれるようになった。
マネージドXDRサービス。インシデント対応、必要に応じた専門知識・ノウハウの利用、新たな脅威に対する先を見越した対処のためのステップ・バイ・ステップのガイダンスを顧客に提供する。
内部リスクを最小限に抑えるためのコンプライアンスソリューション。パートナーは新機能により、顧客がSalesforceのようなCRMシステムやGitHubのような開発者ツールなど、Microsoft以外のソースから検知情報を取り込み、カスタムインジケーターを作成できるよう支援できる。
クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)。新しいオープンアプリコネクタープラットフォームにより、パートナーは自社のソリューションをMicrosoftプラットフォームと連携しやすくなった。
Windows版、Linux版、macOS版に設定管理機能がネイティブに組み込まれ、クラウドベースのエンドポイント管理ソリューション「Microsoft Intune」への依存や、ポータル間の切り替えが不要になった。
ダイナミックな脅威インテリジェンスソリューション。Graph APIにより、Microsoft Defender、Microsoft Sentinel、サードパーティーアプリケーションに対するデータのエクスポートと取り込みが容易になった。
社内または法的な調査のために、データを発見してインプレースで管理するソリューション。Microsoft Graph eDiscovery Export APIの一般提供が開始され、外部アプリケーションやパートナーがスクリプトを用いて、Microsoft Purview電子情報開示のエクスポート機能を統合できるようになった。
機密データを発見、特定、分類、保護するソリューション。同ソリューションによりラベル付けされ、保護されている機密性の高いExcelファイルは、「Microsoft Power BI」のデータセットやレポートにインポートされると、そのライフサイクルを通じて保護されるようになった。「Microsoft SharePoint」と「Microsoft OneDrive」のドキュメントは、ユーザー定義の権限でのラベル付けと暗号化をサポートするようになった。Word、Excel、PowerPointによる共同作成では、ドキュメント所有者が、暗号化された共有機密ドキュメントにアクセスできる人の権限を定義できるようになった。
機密情報を無許可アクセスから自動的に保護するソリューション。ユーザーが特定のWebサイトやWebアプリケーションに機密データを貼り付けることを防止するポリシーを、セキュリティチームが作成できるようになった。
Webベースのリソースの脆弱(ぜいじゃく)性、リスク、露出に関する分析情報を取得するソリューション。新しいデータ接続を活用して、攻撃面データをAzure Data ExplorerやLog Analyticsなど、他のMicrosoftソリューションにシームレスに統合できるようになった。
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