BBCの研究開発チームは公式ブログで、ソーシャルテクノロジー研究の一環としてMastodonのインスタンスを立ち上げ、Fediverse(フェデレーション型ソーシャルネットワーク)に取り組んでいると明らかにした。
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BBCは2023年7月31日(米国時間)に公式ブログで、Mastodonのインスタンスを実験的に構築、運用し、BBCのR&D、ラジオ4、5ライブなどのソーシャルメディアアカウントをフォローできるようにしていると明らかにした。
BBCの研究開発チームはソーシャルテクノロジーの研究に取り組んでいる。その取り組みがFediverse(共通のプロトコルでリンクされたソーシャルメディアやアプリケーションの集合体)として知られるフェデレーション型ソーシャルネットワークで、自社のプレゼンスを確立することだ。
フェデレーション型のMastodonは、誰でもインスタンスを運営でき、それぞれに独自のルールや基準を適用できる一方で、全てのインスタンスがつながり合っている。「Fediverseは電子メールのようなものだ、誰にでも送信できるが、各ユーザーは自分の好きなメール事業者を選んで使っている」と、BBCは述べている。
BBCは、オランダ政府、ウィキメディア財団、EUに至るまで、公共サービスや非営利組織がFediverseで存在感を発揮しているとした上で、ローカルコントロール、質の高いコンテンツ、社会的価値に重点を置くFediverseの原則は、ThreadsやX(旧Twitter)のような商業ソーシャルネットワークよりも、ユーザーの利用目的にはるかに合致しているとする。
BBCはFediverseでコンテンツを公開するために、Mastodonのインスタンスを立ち上げた。BBCは以下のソーシャルメディアアカウントをホストしており、他のソーシャルプラットフォームと同様にコンテンツを公開している。
個人のユーザーアカウントを登録できるMastodonインスタンスとは異なり、BBCは同社のアカウントをホストするためだけにインスタンスを構築している。他のMastodonインスタンス(あるいは別のActivityPub)でアカウントを持っていれば、BBCのアカウントを簡単にフォローできる。
BBCは、同社におけるFediverseの取り組みについて、知名度の高い大規模な公共サービス組織として、複数の課題を解決しなければならなかったと振り返った。
BBCはその例としてフェデレーションモデルの説明を挙げた。人々にとっては、中央集権的なオーナーシップモデルが一般的だからだ。これまで「BBC自身でソーシャルネットワークを運営している?」という質問に対しては「BBCではソーシャルネットワークの小さなセクションを打ち立てているようなもの」と答え、「ユーザーの需要に適したコンテンツを作っているのか?」と聞かれれば、「ユーザーのアカウント作成や、BBCのサーバから投稿はできないが、BBCの投稿に返信できる。そして、返信はBBCの投稿の隣に表示され、BBCサーバに保存される可能性もある」と答えてきたという。
後者の質問は、コメントのモデレーションとも関連している。BBCがホストするのはBBCアカウントだけだが、BBCの投稿に対する返信があった場合、BBCのWebサイトでニュースやスポーツ記事に寄せられたコメントをホストする際と同様に、ガイドラインに従ってモデレーションを行わなければならない。
Mastodonはフェデレーション型サービスであるため、中央集権的なモデレーションは存在しないが、管理者がコンテンツの警告を追加したり、投稿を削除したり、他のサーバからの投稿を全てブロックしたりできる。多くの場合、ユーザーからの厄介なコンテンツのモデレーションに効果的だ。BBCは許容できるリスクであると考え、BBCへの投稿の返信にはBBCのソーシャルメディアモデレーションルールを適用する予定だ。
BBCにおけるMastodonの取り組みは実験的なものであり、どれだけの価値を提供し、どれだけの労力とコストがかかるかを知る目的で6カ月間かけて実施する。その後、継続するかどうかを決めるとしている。
労力に対して、十分な人々に届いているのか? 中央集権的なルールやモデレーションがなく、フィルタリングやソートのアルゴリズムもないフェデレーションモデルにどのようなリスクやメリットがあるのか? 実験的な取り組みを通じて他の人の役に立つことがあれば今後も発表していく予定だと、BBCは述べている。
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