AWSが考える「生成AIのうまい使い方」とは 通信業界での生成AI活用の実態調査結果を発表生成AIの導入可能性が最も高い業務領域は何?

アマゾン ウェブ サービス ジャパンは、通信業界での生成AIの活用に関する調査レポートを発表した。それによると「社内でAIモデルを構築したい」と回答した通信事業者は15%にとどまり、65%は既存モデルの活用を考えていた。

» 2023年10月19日 08時00分 公開
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 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS Japan)は2023年10月18日、通信業界での生成AI(人工知能)の活用に関する調査レポートを発表した。これは北米、西欧、アジア太平洋地域の通信事業者の幹部を対象に、「製品、マーケティング」「カスタマーサービス」「ネットワーク」「社内IT」という4つの業務領域における生成AIの利用実態について調査した結果をまとめたもの。それによると、通信事業者の半数が今後2年以内に生成AIの活用を計画していることが分かった。

画像 プレスリリース

生成AIで先行しているのは「北米」

 生成AIを「すでに活用している」または「活用に向けて取り組んでいる」と回答した通信事業者の割合は全体の19%だった。Amazon Web Services(以下、AWS)は「この割合は今後さらに拡大する。1年以内に34%、2年以内には48%に達する見込みで、それに伴い、生成AIへの支出は現在の最大6倍に急拡大する可能性がある」としている。

 地域別に見ると、生成AIの活用で先行しているのは北米の通信事業者で、生成AIを「すでに活用している」または「活用に向けて取り組んでいる」と回答した通信事業者は22%。これに対して欧州の生成AI活用に取り組む通信事業者は19%。EU(欧州連合)の一般データ保護規則(GDPR)などのデータレジデンシーに関する域内規制のため、生成AIの活用には慎重な姿勢を見せている。アジア太平洋地域では、データ規制は他の地域と比べて緩やかであるものの、言語などローカライゼーションが課題だ。現在の主要な大規模言語モデル(LLM)の多くは英語で構築、提供されているからだ。

 生成AIの導入可能性が高いものでは、回答者の92%が「カスタマーサービスとチャットbot」を挙げた。そのうち63%は「すでに開発を進めている」と回答した。

画像 生成AI活用に取り組んでいる(もしくは検証している)、回答者の割合(提供:AWS Japan

 この点についてAWSは「カスタマーサービスやチャットbotに生成AIを活用するのは正しい方向だ」と評価している。ただ、将来的には活用範囲が広がり、例えばネットワークの運用作業のガイダンスなどにも利用できるとAWSは予測している。同社は「生成AIでマニュアルのデータとチャットbotを組み合わせることで、プロンプトに基づいたインタラクティブなガイダンスを提供でき、インストール作業のスピードアップや簡素化につなげることができる」と述べている。

 生成AIを活用する際の課題については、通信事業者の61%が、データセキュリティやプライバシー、ガバナンスに関する懸念を示した。通信事業者が自社の業務で生成AIを活用するには当然、各社が保有するデータをインプットする必要がある。それに対して知的財産権上の懸念を持つ通信事業者はある。また、技術的リソースの不足という課題もある。

 こうした背景から、AWSは「通信事業者は自社開発よりも既存モデルの活用を想定している」と分析している。調査結果によると、社内で基盤モデルを構築したいと回答した通信事業者は15%にとどまり、65%は「既存の基盤モデルに社内の専有データを追加学習させ、各社それぞれのニーズに対応させたい」と考えていた。

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