フォーティネットジャパンは2023年12月1日、同社のイベント「Accelerate Japan 2023」に合わせて記者説明会を開催。Fortinetの創業者、取締役会会長 兼 CEOのケン・ジー氏と、2023年7月からフォーティネットジャパン 社長執行役員に就任した与沢和紀氏が登壇し、事業戦略を語った。
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ジー氏はまず、同氏が考える3つの主要トレンドを提示する。そのトレンドとは「コンバージェンス」「統合」「消費型サービス」だ。
「あらゆるエッジ、ユーザー、デバイスでセキュリティとネットワークが融合すること、統合型のセキュリティオペレーションによって検知とレスポンスの時間を短縮すること、セキュリティサービスがより消費型になり、サービスプロバイダーによって適用されるというトレンドがある」(ジー氏)
その上で、これらのトレンドに合う形のプロダクトは、目的ごとに異なるポイントソリューションやソフトウェア、クラウドごとに違うものを適用するのではなく、ネットワークセキュリティ領域において1つのOSでセキュリティを保証することで、利便性を高めるという。
ジー氏はFortinetの「FortiOS」がファイアウォール、SD-WAN、有線/無線LAN、SASE(Secure Access Service Edge)領域をカバーしていることを改めて強調し、「Fortinetは独自のシングルOSで、これらをフルにカバーできるベンダーだ」と述べた。
同社独自の専用プロセッサ「FortiASIC」による優位性も強調。また、「FortiSOC5」も前世代バージョンと比べてパフォーマンスが向上しており、処理性能指数だけでなくエネルギー効率も向上しているとアピールする。
「幅広い領域でネットワークセキュリティに関して、エンタープライズを支援できると自負している。リモートブランチやテレワーク、クラウドでのセキュリティを網羅できる。さらに、専用ASICを活用すれば、消費電力を約88%削減し、よりグリーンな環境を実現可能だ」(ジー氏)
加えて日本では、2021年10月にアラクサラネットワークスを買収している。ジー氏は「この買収はFortinetにとっても重要な意味を持つ。日本は米国に次ぐ第2位の市場であり、日本国内における研究開発と日本企業のサポート、そしてQA拠点として重要だ」と述べた。
ジー氏はFortinetの強みである「イノベーション」を重要視し、特に日本の研究開発拠点を生かしつつ、積極的にテクノロジーに投資するとともに「より良いサービスを顧客に届けていく」とした。
続いて、フォーティネットジャパン 社長執行役員 与沢和紀氏が、日本国内におけるサイバーセキュリティ最新動向を語った。
デジタルトランスフォーメーションが注目される中、セキュリティに関しても動向が大きく変化している。与沢氏は2023年のグローバルな脅威動向として、8つの項目を挙げる。
これらのうち幾つかは情報処理推進機構(IPA)が毎年公開している「ITセキュリティ10大脅威」でもピックアップされていることに触れつつ、「これらは単独ではなく、例えばランサムとクラウドとサプライチェーンを組み合わせるといった攻撃となっている」と述べる。
与沢氏は攻撃者の進化例として、スピアフィッシング(標的型メール攻撃)およびマルウェアの通信が暗号化されていることを取り上げる。特にマルウェアの通信がSSL化していることについては、「一度開いてみなければチェックもできず、検知、防御が難しくなっている」と話す。
これら標的型攻撃(APT)が高度化する要因の一つとして、「国家が背景にある攻撃者グループの存在がある」と与沢氏は指摘する。フォーティネットなどが把握する国家背景のグループは、日本を標的としたものもあり、例えばオリンピック開催、万国博覧会の開催などのタイミングで攻撃を仕掛けてくる。
与沢氏はこのような現状を前に「技術だけでは守り切れない」と話す。「経営者が現状認識し、セキュリティ部門とビジネス部門がタッグを組むことはここ数年で盛り上がっている。さらに今の弱みをギャップ分析で見つけ出し、十分にテストし、人材を育成するというように、全体をカバーする必要がある」
これをサポートするためにFortinetは製品を提供していく。同社の持つネットワーク機器が収集する情報を集め、それを脅威インテリジェンスとして提供。セキュアネットワーキング、セキュリティオペレーション、ユニバーサルSASEの各領域で有効に活用するポートフォリオで日本の企業を守るという。
加えてフォーティネットジャパンでは、セキュリティドリブンネットワークとしてSD-WANのシェアを維持、拡大しつつ、ゼロトラスト視点ではエンドポイントからクラウドエッジ、さらにはOT(Operational Technology)も含めて力を入れるという。
「日本のナンバーワン産業である製造業も守る。加えてアラクサラネットワークスとの融合を本格化するとともに、顧客、パートナーとの関係を深め、事業を拡大する」(与沢氏)
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