Web開発プロジェクトでは、適切なテクノロジースタックを選定することが極めて重要なステップになる。Web開発プロジェクトではMERNとMEANのどちらかを選ぶのが一般的だ。どちらを選ぶのが最適なのか。
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Web開発プロジェクトを計画するに当たっては、適切なテクノロジースタックを選定することが極めて重要なステップになる。Web開発においては「MERN」と「MEAN」スタックのどちらかを選ぶのが一般的で、その選択が重要になる。
MERNとMEANは、それぞれのスタックを構成する主要要素を指す頭字語で、MERNは「MongoDB」「Express.js」「React」「Node.js」を表し、MEANは「MongoDB」「Express.js」「Angular」「Node.js」を表す。まずは、両スタックに共通する3つの要素を確認する。
MongoDBは、スキーマの柔軟性とスケーラビリティの高さに定評があるNoSQLデータベースだ。MongoDBはJSONや同様のドキュメント形式を適切に処理するため、迅速な開発サイクルと柔軟なデータモデリング構造を必要とするアプリケーションプロジェクトに適している。オンデマンドでスケーリングするクラウドアプリケーションを扱う際には特に役立つ。
Express.jsはNode.jsベースの軽量のWebアプリケーションフレームワークで、包括的な機能セットが含まれ、サーバのプロビジョニング、リクエストのルーティング、APIの管理などのバックエンドタスクを処理する。Express.jsは細部にわたる構成が可能で、HTTPリクエストの解析および変換、オリジン間リソース共有(CORS:Cross-Origin Resource Sharing)、自動ログ記録用の高度なメカニズムを備えている。こうした機能により、SPA(シングルページアプリケーション)やMPA(マルチページアプリケーション)開発の用途に使用できる。
Node.jsはランタイム環境で、「Google Chrome」のV8エンジン上に構築されている。このイベント駆動型のノンブロッキングランタイム環境は、データを集中的に使用し、高いスケーラビリティとリアルタイム機能を必要とするネットワークアプリケーションを実現するための選択肢となる。Node.jsによって、開発者はJavaScriptコマンドラインツールやサーバサイドスクリプトを利用できるため、動的にWebコンテンツを生成してからユーザーのディスプレイに表示できるようになる。
MERNはReactライブラリに、MEANはAngularフレームワークに関連付けられていることが、それぞれのスタック特有の開発上のメリットの違いを生み出している。MERNが多用するReactは、コンポーネントベースのUIをビルドするためのフロントエンドJavaScriptライブラリだ。MEANが使用するAngularはTypeScriptベースのWebアプリケーションフレームワークで、大規模アプリケーションの構造に一貫性をもたらす。
残念だが、MERNスタックとMEANスタックのどちらを選ぶかに対する「普遍的な」答えはない。正しく選択するには、プロジェクトの技術目標や業務目標を細部まで理解し、開発チームの強みを明確に評価する必要がある。とはいえ、正しく選択するために基本的に考えるべき点は幾つかある。
両スタックに違いがあるとしても、開発チームはMERNとMEANの要素を組み合わせるハイブリッドアプローチを選択することもできる。例えば、1つのプロジェクトのフロントエンドの開発にReactのコンポーネントベースの設計を使用し、バックエンドプロセスの制御にAngularを使用しても構わない。
あるいは、第3の選択肢として、フロントエンドライブラリ「Vue.js」がある。Vue.jsのシンプルさとパフォーマンスを組み合わせる「MEVN」(MongoDB、Express.js、Vue.js、Node.js)スタックは、Reactの柔軟性とAngularの構造とのバランスを求める開発チームにとって選択肢の一つになる。
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