スクラムマスター認定を取得するかどうかを決める際の考慮事項と、認定を得ることがキャリアにとってメリットがあるかどうかを確認する。
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スクラムマスター認定は、取得者がスクラムの枠組みを習得していることだけでなく、自社内外を問わず、アジャイルの原則に取り組んでいることを示す。
時間と費用をかけてスクラムマスター認定を取得する価値があるかどうかは、専門知識の現在のレベルと目標とするキャリアで異なる。
スクラムマスターはチームが成果を上げるために奉仕するサーバントリーダーの役割を果たす。スクラムマスターは、スクラムチームがスプリントの目標に到達するのを妨げる障害を取り除くという最も重要な責任を担うファシリテーターだ。
そのため、スクラムマスターは、スプリント計画、毎日のスタンドアップミーティング、スプリントレビュー、スプリントの振り返りといったスクラムのセレモニーの目的と重要性を理解しなければならない。チームのメンバーを指導し、メンバー同士のコラボレーションを支援するため、プロダクトオーナーや開発チームの役割と責任も理解する必要がある。
スクラムマスターの認定資格は、Scrum.orgとScrumAlliance.orgから複数のレベル別に提供されている。
基礎レベルの認定では、スクラムの原則と理論に重点を置いた概要レベルのトレーニングが提供される。当然、この認定は合格するのが最も簡単で、最も費用がかからない。スクラムに関心があるレベルなら、このコースにはメリットがある。
認定が高度になるにつれ、スクラムマスターの役割がより深く掘り下げられる。スクラムにおける各種の役割や責任、それを遂行する方法、チームや組織に対してスクラムマスターが提供するサービスを詳しく学ぶことになる。高度なスクラムマスター認定は、スクラムマスターだけでなく、マネジャー、チームリーダーなどの関係者も対象とする設計になっている。プロダクトオーナー、開発者、一般的なアジャイルリーダーシップなど、スクラムの特定の役割を対象とするスクラム認定もある。
どのレベルのスクラムマスター認定取得を目指すとしても、スクラムの概念は比較的早く習得できる。スクラムの概念は、スクラムの特定の役割を担うする上で効果があり、チームの幅広いスクラムプロセスに参加する上で貴重な知識になる。
試験に合格して資格を得れば、就職活動や昇進にも役立つ。認定資格は、スクラムへの献身的な姿勢を示す。認定資格を得ることでスクラム組織へのメンバーシップを与える認定もある。
だが、念頭に置くべきデメリットもある。スクラム認定の取得には、特により高度な認定の取得には、時間と費用がかかる可能性がある。スクラムの1つ以上の役割で数年の経験があるのなら、基礎レベル認定の取得を目指して勉強しても、多くは学べない可能性がある。勤務先や就職を目指す企業がスクラムとは異なるアジャイルアプローチを使っているのであれば、スクラム認定、特に高度なレベルのスクラム認定はほとんど価値がないかもしれない。
スクラム認定のメリットとデメリットを検討するだけでなく、自身が目指すキャリアへの現在位置と目指す方向性も検討する必要がある。
目指すキャリアの初期段階にいる場合や、アジャイルやスクラムの初心者は、基礎レベルのスクラムマスター認定を取得する価値があるかもしれない。比較的少ない時間と費用でスクラムにすぐに慣れることができる。
目指すキャリアのさらに進んだ段階にいて、スクラムの経験があり、開発者やプロダクトオーナーなどの1つの役割に重点を置いているのであれば、自身の役割に特化した認定の取得を目指すのが理にかなっている。
自社のアジャイル開発アプローチがスクラムに重点を置いていないのであれば、転職の予定がない限り、スクラム認定を取得する価値はあまりないだろう。
結局のところ、認定を取得すれば、スクラムに対する強力な基盤が得られ、同僚や大きなアジャイルコミュニティーからの評価も得られる。取得する認定を決める際には、コースの内容、所要時間、費用を詳しく評価する。そして、認定が自身の現在の役割をどのように高め、目指すキャリアにどのように役立つかを検討することも必要だ。
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