RustユーザーはRustをどう見ている? 「バグのないソフトウェア構築」が一番の魅力? 2023年Rust調査結果Rustユーザーの半数は毎日仕事でRustを使用

Rustプロジェクトの調査チームはユーザーを長期にわたって追跡し、コミュニティーの発展やRustの使用状況、課題や改善すべき点を分析している。本稿では2023年末から2024年にかけて実施した8回目の調査結果を紹介する。

» 2024年03月07日 15時30分 公開
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 Rustプロジェクトの調査チームは2024年2月19日(米国時間)、プログラミング言語「Rust」に関する2023年の調査結果を発表した。Rustユーザーおよび愛好者を対象にしたこの調査は今回で8回目。2023年12月18日から2024年1月15日までアンケートを実施した。

Rustの利用状況について

Rustの使用頻度

Rustの使用頻度(提供:Rustプロジェクト)

 2023年にRustを使用した人の約半数が、ほぼ毎日Rustを使用していると答えている。

使用していないと答えた人に聞いた、Rustを使用しない理由

Rustを使用しない理由(提供:Rustプロジェクト)

 67.3%が「学習機会がないから」と答え、「難し過ぎる」と答えた人の2倍以上になった。

Rustの専門知識レベル

Rustの知識レベル(提供:Rustプロジェクト)

 Rustの専門知識があると答えた回答者の割合は、過去1年間で全般的に増加していることが分かる。23%がRustで簡単なプログラムしか書けず(2022年から6ポイント減少)、28%が苦労しつつも本番で使えるコードを書け(1ポイント増加)、47%がRustを使って生産的なコードが書けると答えた(2022年の42%から増加)。

どのOSやランタイム向けにRustソフトウェアを開発しているか?

どのOS、ランタイム向けにRustを使って開発しているか(提供:Rustプロジェクト)

 Rustプログラマーは、多様なプラットフォームをターゲットにRustプログラムを開発しているが、最も人気のターゲットはLinuxマシンだった。WebAssembly、組み込み、モバイルプラットフォームをターゲットとするユーザーも若干増加した。

通常、Rustコードを書く時、どのエディタまたはIDE(開発環境)を使うか?

Rustのコーディングに使用するエディタもしくはIDEの種類(提供:Rustプロジェクト)

 クロスプラットフォームエディタ「Visual Studio Code」が依然として最も人気のある選択肢だが、2023年リリースされた「RustRover」も16.4%の支持を集めている。

Rustと仕事

職場で個人的にRustを使用するか?

職場で個人的にRustを使用する人の割合(提供:Rustプロジェクト)

 2023年の調査回答者の34%が、職場でコーディングの大部分にRustを使用しており、これは2022年から5ポイントの増加となる。このグループのうち33.9%は、Rustを重要な仕事で使用していると答えている。

Rustを使う理由は?

Rustを使用する理由(提供:Rustプロジェクト)

 「正しくバグのないソフトウェアを構築できること」が86%に上り、「Rustのパフォーマンス特性(スピード、メモリフットプリントなど)」が83%、「セキュリティと安全性」が70.5%でそれに続いた。

Rustの使用体験はどのようなものだったか?

Rustの使用体験について(提供:Rustプロジェクト)

 「Rustが自社の目標達成に役立った」との回答が79%に上り、2022年から7ポイント増加した。また、77%の回答者が、「今後もRustを使用するだろう」と回答、「導入コストに見合う価値がある」との回答が2022年の60%から2023年の64%に増加した。

組織の中のどの技術領域でRustを使用しているか?

Rustを使用している技術領域(提供:Rustプロジェクト)

 Rustはサーバサイドやバックエンドアプリで52.7%と多く利用され、また、クラウド技術の開発関連などでも利用されている。

課題

今後のRustにどのような課題が生じると思うか?

今後問題となりそうなRustの課題(提供:Rustプロジェクト)

 「Rustが複雑になり過ぎる」ことを懸念する回答者が43%を占め、2022年から5ポイント増加した。回答者の42%は、技術業界におけるRustの使用レベルが低いことを懸念している。2023年の回答者の32%は、Rustの開発者やメンテナーが適切にサポートされていないことを懸念しており、2022年から6ポイント増加した。

Rustが今後、実装、安定化、改善すべき機能は?

Rustに求める機能(提供:Rustプロジェクト)

 Rustユーザーはtrait関連や、constの実行、非同期(非同期クロージャ、コルーチン)の分野の改善を最も望んでいる。

 回答者の20%は「Rustの新機能の開発を遅らせてほしい」と答えており、これは前述の「Rustが複雑になり過ぎる」という懸念と密接に関係している。Rust調査チームは「Rustユーザーが最も苦労しているのは、非同期Rust、traitとジェネリクスのシステム、そしてBorrow Checkerのようだ」と分析している。

Rustが今後、取り組むべき課題は?

Rustが今後取り組むべき課題(提供:Rustプロジェクト)

 Rustが取り組むべき課題としては、回答者の67.9%がコンパイラのバグ修正(68%)、次いでRustプログラムのランタイムパフォーマンスの改善(57.5%)、コンパイル時間の改善(44.7%)を優先してほしいと答えた。

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