日本と中国を含むアジア太平洋地域の生成AI支出、2027年までに260億ドルに IDC予測2022〜2027年の年平均成長率は95.4%に

IDCによると、アジア太平洋地域(日本と中国を含む)では、生成AIの導入がかつてなく急速に進んでいることから、生成AI支出が2027年までに260億ドルに増加し、2022〜2027年の年平均成長率は95.4%に達する見通しだ。

» 2024年04月22日 08時00分 公開
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 IDCは2024年4月17日(シンガポール時間)、アジア太平洋地域(日本と中国を含む)では、生成AI(人工知能)の導入がかつてなく急速に進んでいることから、生成AI支出が2027年までに260億ドルに増加し、2022〜2027年の年平均成長率は95.4%に達するとの予測を明らかにした。生成AI支出には、AIを中心としたシステムのソフトウェア、サービス、ハードウェアへの支出などが含まれる。

 IDCは、こうした生成AI支出の急増は、この地域が、AIのイノベーションと技術進歩の次の波を推進する重要な役割を担っていくことを浮き彫りにしていると述べている。

 「われわれは、アジア太平洋地域では生成AIの導入が急増し、生成AI支出の成長率は北米と同程度になると予測している。企業が生成AIアプリケーションに特化したデータおよびインフラプラットフォームの開発に多額の投資を行うことがその主な要因だ。この生成AI投資は今後2年以内にピークに達し、その後安定期に入る見通しだ。中国は生成AIの支配的な市場としての地位を維持し、日本とインドの市場は今後数年間、最も急速に拡大するだろう」と、IDC APJのビッグデータ&AI担当のリサーチ責任者を務めるディーピカ・ギリ氏は述べている。

アジア太平洋地域のAI支出全体に占める生成AI支出の割合(提供:IDC)

 IDCは、生成AI技術へのIT支出が次の3つの段階を踏んで行われると解説している。

  • 生成AI基盤の構築:コアインフラの強化、IaaSへの投資、セキュリティソフトウェアの強化が重視される
  • 広範な導入:サービスとして提供されるオープンソースのAIプラットフォームの導入拡大に重点がシフトする。このプラットフォームは、デジタルビジネスのコントロールプレーンの基盤の役割を果たす
  • 統合AIサービス:企業が競争力を得るために生成AIを急ピッチで統合する。新しい技術市場では通常、支出が緩やかに増えるが、それとは異なり、支出が急増する

 「生成AIは一時的なトレンドではない。画像、動画、コード、マーケティング資料など、さまざまなメディアにわたって全く新しいコンテンツを生成する生成AIの能力は、大幅な効率向上を約束し、創造性を発揮する革新的な機会への道を開き、競争優位をもたらす。かなりの割合の企業が既に生成AIを導入しているか、モデルを試す初期段階にある」と、IDC アジアパシフィック地域のIT Spending Guideおよび顧客インサイト&アナリシス担当のシニアマーケットアナリスト、ビナヤカ・ベンカテシュ氏は述べている。

アジア太平洋地域で生成AI支出が多い上位5業種(提供:IDC)

 アジア太平洋地域における生成AI支出の上位5業種は、金融サービス、ソフトウェアおよび情報サービス、政府機関、小売り、耐久消費財だ。IDCは金融サービス業界の動向を次のように紹介している。

 金融サービス業界では、生成AI支出が2027年までに43億ドルに達し、2022〜2027年の年平均成長率は96.7%に上る見通しだ。この業界は、業務の効率化、反復タスクの自動化、バックオフィスプロセス(不正検知、複雑な文書の作成など)の最適化のために生成AIを社内で利用している。

 生成AIを活用したソリューションにより、パーソナライズされたプランニングツールやレポートなど、顧客の進化するニーズに動的に対応するテーラーメイドの金融サービスも提供している。

 さらに、生成AIの統合は、コストの削減や売り上げ拡大の促進に加え、さまざまな業務(DevOps、マーケティング、法令順守など)の生産性向上を通じて、金融サービス業界の収益にも大きく貢献している。

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