Linux 6.8カーネル採用の「Ubuntu 24.04 LTS」リリースパフォーマンスエンジニアリング、セキュリティ、開発支援などの機能が強化

Linuxディストリビューション「Ubuntu」の最新版「Ubuntu 24.04 LTS」(開発コードネーム「Noble Numbat」)が公開された。10番目のLTSリリースで、Linux 6.8カーネルを採用している。

» 2024年05月02日 08時00分 公開
[@IT]

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 Linuxディストリビューション「Ubuntu」の開発を支援するCanonicalは2024年4月25日(米国時間)、「Ubuntu 24.04 LTS」(開発コードネーム「Noble Numbat」)を公開した。

 Canonicalの10番目のLTS(長期サポート)リリースであるUbuntu 24.04 LTSは、最新のLinux 6.8カーネルを採用しており、パフォーマンスエンジニアリング、企業セキュリティ、開発支援などの機能が強化されている。

 主な機能強化点は以下の通り。

パフォーマンスエンジニアリング

 Ubuntu 24.04 LTSで採用されたLinux 6.8カーネルは、システムコール性能の改善、ppc64elでのNested KVMのサポート、新しいbcachefsファイルシステムへのアクセスなどを特徴としている。

 またUbuntu 24.04 LTSでは、全ての64bitアーキテクチャでフレームポインタがデフォルトで有効となり、パフォーマンスエンジニアは、トラブルシューティングや最適化の目的でシステムをプロファイリングする際、正確で完全なフレームグラフにすぐにアクセスできる。

 さらに、CanonicalとIntelの協力により、Intel QuickAssist Technology(Intel QAT)が初めてLTSに統合された。これにより、ユーザーは第4世代以降の「Intel Xeonスケーラブルプロセッサー」で暗号化と圧縮の高速化により、CPU利用率を低減し、ネットワーキングおよびストレージアプリケーションの性能改善が可能になった。

LTSツールチェーンによる開発支援

 Ubuntu 24.04 LTSには、Python 3.12、Ruby 3.2、PHP 8.3、Go 1.22が含まれ、.NET、Java、Rustでの開発に重点が置かれている。

 .NET 8がUbuntu 24.04 LTSと22.04 LTSでライフサイクル全体にわたって完全にサポートされ、開発者はUbuntuリリースをアップグレードする前にアプリケーションを新しい.NETバージョンにアップグレードできる。

 Javaでは、OpenJDK 21がUbuntu 24.04 LTSにおいてデフォルトだが、バージョン17、11、8のサポートも維持している。OpenJDK 21と17はTCK(Technical Compatibility Kit)認証も取得しており、Java規格への準拠と他のJavaプラットフォームとの相互動作が保証されている。

 またUbuntu 24.04 LTSには、Rust 1.75に加えてシンプルなRustツールチェーンのsnapフレームワークが付属している。これによってカーネルやFirefoxなど主要UbuntuパッケージにおけるRustの使用が促進され、将来的に24.04 LTSにおけるRustの新バージョン提供も可能になる。

Ubuntu DesktopとWSLに対応する新しい管理ツール

 LTSで初めて、Ubuntu DesktopがUbuntu Serverと同じインストーラ技術を採用し、デスクトップ管理者がautoinstallやcloud-initなどのイメージカスタマイズツールを使用して、自社開発者向けの機能をカスタマイズできるようになった。

 Canonicalは、開発者やデータサイエンティスト向けの高度なプラットフォームとしてWindows Subsystem for Linux(WSL)でのUbuntuに投資している。Ubuntu 24.04 LTS以降、WSLのUbuntuはcloud-initにより、複数の開発環境にわたってイメージのカスタマイズと標準化に対応する。

コンフィデンシャルコンピューティングへの対応

 コンフィデンシャルコンピューティングは、ハイパーバイザーを含むホスト特権付きシステムソフトウェアにおいて、実行時に脆弱(ぜいじゃく)性からデータを守る他、インフラ管理者による不正なデータアクセスも防ぐ。

 Ubuntuは、Microsoft Azure、Google Cloud、Amazon Web Services(AWS)にわたってコンフィデンシャル仮想マシン(VM)を幅広く取りそろえている。

 また、パブリッククラウド上でコンフィデンシャルGPUをサポートする最初で唯一のLinuxディストリビューションでもある。プライベートデータセンターでもコンフィデンシャルコンピューティングに対応しており、IntelとCanonicalの長期協力により、ホストとゲストの両側でIntel Trust Domain Extensions(Intel TDX)をシームレスにサポートしている。Intel TDXによるVM分離は、コンフィデンシャルコンピューティング環境への既存ワークロードの移植と移行を大幅に簡素化する。

Ubuntu Proの新アドオンによる最大12年間のサポート

 Ubuntu 24.04 LTSでは他のLTSと同様に、Ubuntuのmainリポジトリに対する5年間のセキュリティメンテナンスが無償で付属する。

 Ubuntuの有償サポートプランである「Ubuntu Pro」を契約すれば、mainとuniverse両方のリポジトリのメンテナンスが10年間に延長される。2024年4月中旬に提供開始された「Legacy Support」アドオンを購入すれば、Ubuntu Pro契約者はサポート期間をさらに2年間追加できる。

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