AWS、ビジネスとソフトウェア開発を支援する生成AIアシスタント「Amazon Q」の一般提供を開始自然言語で生成AIアプリを作成できる新機能も発表

AWSは、ビジネス全般とソフトウェア開発を支援するように設計され、業務に合わせてカスタマイズできる生成AIアシスタント「Amazon Q」の一般提供を開始した。

» 2024年05月07日 18時00分 公開
[@IT]

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 Amazon Web Services(AWS)は2024年4月30日(米国時間)、ビジネス全般とソフトウェア開発を支援するように設計され、業務に合わせてカスタマイズできる生成AI(人工知能)アシスタント「Amazon Q」の一般提供を開始した。

 Amazon Qは、AWSを使用する開発者やIT担当者向けの「Amazon Q Developer」と、ビジネス用の「Amazon Q Business」がラインアップされている。AWSは今回、従業員が自然言語を使って生成AIアプリケーションを作成できるAmazon Q Businessの新機能「Amazon Q Apps」も発表した。

 Amazon Q DeveloperとAmazon Q Businessの主な特徴は以下の通り。

Amazon Q Developerの主な特徴

 Amazon Q Developerは以下のような特徴を持ち、アプリケーションのコーディング、テスト、アップグレードから、トラブルシューティング、セキュリティスキャンおよび修復、AWSリソースの最適化まで、開発者とIT担当者のさまざまなタスクを支援する。

 Amazon Q Developerの会話インタフェースは、AWSコンソール(コンソールモバイルアプリケーションを含む)、チャットアプリ(「Slack」や「Microsoft Teams」など)、統合開発環境(「Visual Studio Code」や「JetBrains」など)などで利用できる。

コーディング提案

 Amazon Q Developerは、ほぼリアルタイムでコードの提案と推奨事項を生成し、開発者がより迅速かつ安全にアプリケーションを構築できるよう支援する。AWSはAmazon Q Developerについて、「複数行のコードを提案するAIアシスタントの中で、顧客から報告されているコードの受け入れ率が最も高い部類に入る」としている。例えば、BT Groupでは37%、National Australia Bankでは50%だという。

 またAmazon Q Developerは、社内のコードベースを安全に活用し、より適切で有用なコードを提案するようにカスタマイズすることも可能だ。

エージェント機能

 Amazon Q Developerのユニークな機能であるエージェントは、機能の実装、文書化、コードのリファクタリングからソフトウェアのアップグレードまで、幅広いタスクを自律的に実行できる。

 例えば、開発者が機能の実装を依頼すると、エージェントが既存のアプリケーションコードを分析し、ステップ・バイ・ステップの実装計画を生成する。エージェントと協力してこの計画をレビューし、複数のステップを連結し、ソースファイル、コードブロック、テストスイートにわたって更新を反映させることができる。

 アプリケーションのアップグレードにかかる期間を、エージェントを用いて大幅に短縮することもできる。統合開発環境(IDE)でAmazon Q Developerにプロジェクトの変換を依頼すれば、エージェントがアプリケーションのソースコードを分析し、ターゲット言語またはバージョンで新しいコードを生成し、テストを実行し、全てのコード変更を完了する。

セキュリティ脆弱性スキャンおよび修復

 Amazon Q Developerはコードをスキャンし、検出が困難な脆弱(ぜいじゃく)性(流出した認証情報やログインジェクションなど)をチェックする。ワンクリックで、アプリケーションコードに合わせた改善策を自動的に提案する。このセキュリティスキャン機能は一般的なプログラミング言語のほとんどにおいて、公開されているベンチマーク可能な主要ツールを上回る検出能力を発揮するという。

AWS環境の最適化

 Amazon Q DeveloperはAWSのエキスパートであり、IT担当者がAWS環境を最適化できるよう支援する。また、エラーやネットワーク問題の診断と解決、インスタンスの選択、SQLクエリやETL(抽出、変換、ロード)パイプラインの最適化、アーキテクチャのベストプラクティスに関するガイダンスの提供を行う。

 Amazon Qの一般提供開始に合わせて追加された新機能により、自然言語を使ってAWSアカウントのリソースや構成を一覧表示し、請求情報や傾向の分析に利用できるようになった。

Amazon Q Businessの主な特徴

 Amazon Q Businessは以下のような特徴を持ち、従業員がより創造的に、よりデータに基づいて、より効率的に、より準備を整えて、より生産的に仕事ができるよう支援する。

データソースの統合

 Amazon Q Businessは、Wiki、イントラネット、「Atlassian」「Gmail」「Microsoft Exchange」「Salesforce」「ServiceNow」、Slack、「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)など、一般的に使用されている40以上のビジネスツールに簡単かつ安全に接続する。企業データリポジトリとの統合により、これら全てのデータを検索し、論理的に要約し、傾向を分析し、データについてエンドユーザーと対話する。ビジネスユーザーはデータがどこにあるかにかかわらず、全てのデータにアクセスできる。

セキュリティとプライバシーを考慮した設計

 Amazon Q Businessは、顧客の既存のID、ロール、アクセス権限を踏まえ、最高レベルのセキュリティを維持しながら、個々のユーザーごとにインタラクションをパーソナライズする。機密性の高いトピックを制限したり、キーワードをブロックしたり、不適切なコンテンツをフィルタリングしたりできる。また、顧客のコンテンツを他の顧客用のモデルのトレーニングに使用しない。

生成BIアシスタント

 AWSの統合ビジネスインテリジェンス(BI)サービス「Amazon QuickSight」にAmazon Qが組み込まれ、この生成BIアシスタントにより、ビジネスアナリストは自然言語を使って数分でBIダッシュボードを構築し、可視化や複雑な計算を簡単に実行できるようになった。

 ビジネスユーザーも自然言語を使って、AIが生成したダッシュボードのエグゼクティブサマリーを取得したり、ダッシュボードに表示される内容以外のデータについて質問したり、重要な洞察、トレンド、要因を強調する、詳細でカスタマイズ可能なデータストーリーを作成したりできる。

Amazon Q Appsの機能

 AWSは、Amazon Q Businessの新機能であるAmazon Q Appsも発表した。Amazon Q Appsにより、従業員はコーディング経験がなくても、自社データに基づいて生成AIアプリケーションを簡単かつ迅速に作成できる。

 欲しいアプリを自然言語で説明するか、Amazon Q Businessが問題解決に役立ったときの既存の会話を選択すれば、ワンクリックでAmazon Q Appsが、目的のタスクを実行するアプリを即座に生成する。このアプリは全社で簡単に共有できる。

 AWSは、社内のベストプラクティスを用いて、新入社員の役割や部署に応じてパーソナライズされたオンボーディングプランを自動生成するアプリを例に挙げて、この機能を説明した。

料金

 Amazon Q Businessプランが1ユーザー当たり月額20ドル。Amazon Q Developerプランが同25ドル。Amazon Q Developer契約者は、Amazon Q BusinessとAmazon Q Developerの両方にアクセスできる。

 料金ページでは、各プランで利用できる機能の比較表が掲載されている。

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