新しい技術が注目を集めると、期待とともに「思ったほど普及しないかもしれない」と感じることがある。個人的に思うだけならいいが、技術の業務展開においては致命的な問題になり得る。組織の中で新しい技術を“当たり前の技術”にするにはどういったマインドセットが必要なのか。
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何らかのブレークスルーをきっかけに注目を集めた技術は、社会から過度な期待を寄せられる「流行期」に入る。その後、高確率で期待に応えられず、急速に関心が失われる「幻滅期」を迎える。この幻滅期を耐えることができた技術は、世の中で徐々に正しいメリットや活用法への理解が進む「回復期」を経て、緩やかに進化を続ける「安定期」へと至る。
新しい技術が登場したときによく引き合いに出されるのが、こうした「ハイプサイクル」だ。ハイプサイクルは調査会社Gartnerが提唱している技術の普及度を図示したもの。ITに関するビジネスに携わっている人であれば、ハイプサイクル通りの過程をたどった、あるいはたどりつつある技術に思い当たる節があるだろう。
「AI(人工知能)」または「生成AI」は、まさに流行期にある技術といえる。ハイプサイクルの流れをたどるとすれば、近い将来に幻滅期を迎えるわけだが、そこから抜け出し、早急に組織の中でAIを“当たり前”の技術として定着させる上で、ユーザーにできることはあるのだろうか。
Google Cloudが2024年3月7日に開催した「Generative AI Summit Tokyo '24」で、SCSKの高山洋幸氏(クラウドサービス事業本部クラウドサービス部 マネージャー)は、企業が生成AIなどの技術に幻滅することなく、身近なものとして使いこなしていくために持つべき「心構え」を紹介した。
高山氏は、SCSKでソリューション企画やアライアンス推進を歴任し、現在はクラウド専門部署でサービス開発やマーケティングプロモーションを手掛けている。同氏は、本丸であるAIの話題へ入る前に、過去に登場した幾つかのITソリューションを挙げ、それらが市場から受けた「期待」と「幻滅」の理由について触れた。
例えば、外資系ベンダーの「統合ERP(Enterprise Resources Planning)パッケージ」が日本に紹介された当時は、「バックオフィスと基幹業務データの一元化」による業務効率の向上や、ビジネス状況のタイムリーな把握といった効果が“期待”されていた。しかし、実際に導入してみると「バグが多く業務に支障が出る」「システム規模に基盤のパフォーマンスが追い付かない」「パッケージの標準プロセスが自社の業務に合わない」「アドオン開発やカスタマイズが高くつく」といった現実に直面し、多くのユーザーの“幻滅”を招いた。
高山氏は、こうしたITソリューションへの“幻滅”が起こる理由について、「あくまで個人の見解」と前置きをしつつ、以下のように分析した。
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