プログラミング言語「Kotlin」の最新メジャーバージョンとなる「Kotlin 2.0」が公開された。
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Kotlinチームは2024年5月23日(米国時間)、プログラミング言語「Kotlin」の最新メジャーバージョンとなる「Kotlin 2.0」を公開した。
Kotlin 2.0では、次世代コンパイラとして開発されてきた「Kotlin K2」(以下、K2コンパイラ)が安定版となり、正式に導入された。K2コンパイラではマルチプラットフォーム対応が進化している他、コンパイル速度が2倍に向上し、コード解析も改善されている。
K2コンパイラでは、Kotlinがサポートする全てのプラットフォームのコンパイラバックエンドが、多くのロジックと統一パイプラインを共有するようになった。これにより、ほとんどの機能、最適化、バグ修正を全てのプラットフォームで一度に実装できるようになり、新しい言語機能の開発速度が大幅に向上した。この新しいアーキテクチャは、マルチプラットフォームプロジェクトのコンパイル時間のさらなる改善も見込んでいる。
K2コンパイラの導入により、コンパイル以外の改善も可能になっている。Kotlinチームは既に、「Kotlin Multiplatform」(KMP)ライブラリを配布するための次世代フォーマットに積極的に取り組んでいる。KMPは、ネイティブプログラミングの柔軟性やメリットを維持しながら、異なるプラットフォーム間でKotlinコードを再利用可能にする技術だ。
このフォーマットは、KMPエコシステムの拡大に貢献する見通しだ。マルチプラットフォームライブラリの開発をJVM(Java仮想マシン)ライブラリの開発のように容易にするからだ。
またKotlin 2.0は、「Compose Multiplatform」プロジェクトのファーストパーティーサポートも提供する。Compose Multiplatformは、KotlinとUI(ユーザーインタフェース)ツールキット「Jetpack Compose」を使って、Android、iOS、Web、デスクトップ(JVMを使用)間でUIを共有するための宣言型フレームワークだ。Compose Multiplatformを支えるJetpack Composeコンパイラが、Kotlinリポジトリにマージされており、Kotlinとともにリリースされるようになった。
新しいコンパイラフロントエンドのおかげで、Kotlin 2.0ではコンパイル速度が向上しており、プロジェクトによっては2倍になる可能性がある。
JetBrainsのIDE(統合開発環境)「IntelliJ IDEA」のK2モード(現在はα版)により、IntelliJ IDEA Ultimateコードベースでは、コードのハイライト表示が約1.8倍に、補完処理が約1.5倍に高速化している。K2モードがより安定すれば、より高速なハイライト表示と補完処理が可能になるという。
K2モードは、IntelliJ IDEAの2024.2バージョンでβステータスになる。2024年末までに、既定で有効化される予定だ。
Kotlinチームによると、K2コンパイラは、動作の一貫性が向上しており、コードをよりよく理解し、Kotlinのスマートキャストをよりスマートにするという。また、多くの長年の問題を解決し、より堅牢(けんろう)なコードの作成を可能にしている。
Kotlinチームは、JetBrainsとコミュニティーの開発者、企業が多くのプロジェクトを通じて厳密にテストしたことで、Kotlin 2.0は過去最高品質のリリースとなり、安全かつスムーズに移行することが可能になったと述べている。
Kotlinチームは今後、以下に重点を置いて開発を進める計画だ。
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