IDCの調査によると、2023年の世界セキュリティ製品市場は順調に拡大しており、6つの製品カテゴリー全てが前年比2桁成長を記録したという。
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IDCは2024年6月27日(米国時間)、世界のセキュリティ製品市場に関する調査レポート「Worldwide Semiannual Security Products Tracker」を発表した。これによると、2023年における世界のセキュリティ製品売上高は、2022年比15.6%増の1068億ドルとなった。売上高は順調に伸びており、6つの製品カテゴリー全てが前年比2桁成長を記録した。
「セキュリティは取締役会レベルの話題となり、サイバーリスクはビジネスリスクと考えられるようになった。そのため、経済が悪化したとしてもセキュリティへの支出は依然として堅調だ。実際、生成AI(人工知能)やその他のAI技術の出現は、2024年のセキュリティ製品予算の増加に寄与している」とIDCのセキュリティ&トラスト担当グループバイスプレジデント、フランク・ディクソン氏は述べている。
「生成AIは、組織の生成AIアプリケーションの開発および利用の安全確保と、生成AIアシスタントを利用したセキュリティアナリストのスキルアップという2つの側面から、サイバーセキュリティ予算の増加をもたらす」(ディクソン氏)
2023年最大のテクノロジーカテゴリーはネットワークセキュリティで、全世界の売上は合計274億ドルだった。この収益のほぼ4分の3は4つの2次市場からのものだという。内訳はファイアウォール/UTM(Universal Threat Management)、セキュアWebゲートウェイ、Webアプリケーション/API保護、VPN/ZTNA(Zero Trust Network Access)だ。ネットワークセキュリティのカテゴリーには、その他5つのセカンダリーマーケットが含まれる。内訳は、セグメンテーション、インフラ保護、侵入検知システム/侵入防御システム(IDS/IPS)、CASB(Cloud Access Security Broker)、ネットワークサンドボックスだ。
次に大きい技術カテゴリーはエンドポイントセキュリティとセキュリティアナリティクスで、2023年の売上はそれぞれ216億ドルと200億ドルだった。エンドポイントセキュリティ分野の売上は、モダンエンドポイントとコンシューマーデジタルライフプロテクションの2次市場に分かれている。脆弱(ぜいじゃく)性管理とSIEM(Security Information and Event Management)の2次市場がセキュリティアナリティクスの売上高の3分の2近くを占めた。残りはネットワークセキュリティアナリティクス、オーケストレーション/自動化ツール(SOAR《Security Orchestration, Automation and Response》など)、クラウドネイティブ製品の各市場によるものだ。
残りのテクノロジーカテゴリーであるIDアクセス管理(IAM)、情報データセキュリティ、CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)の2023年の売上高は、合計で378億ドルだった。
2023年の前年比売上成長率が最も高い技術カテゴリーはCNAPPで31.5%、次点のIAMが21.4%だった。その他のカテゴリーはいずれも年間売上成長率が10%台半ばから後半となった。
導入の面では、パブリッククラウドベースによる製品が引き続き増加している。2023年には、セキュリティ製品全体の売上高の3分の2近くがパブリッククラウドベースによるもので、残りはオンプレミスとハードウェアアプライアンスによるものだった。
2023年のセキュリティ製品市場の上位5社は、Microsoft、Palo Alto Networks、Cisco、Gen Digital、Fortinetで、合計売上高は288億ドル、市場全体の約27%を占める。
IDCは、世界のセキュリティ製品市場は今後の5年間も2桁成長を続け、2028年には総収益が2000億ドルに達すると予測している。
「2024〜2028年の予測期間で最も急成長する製品カテゴリーは、CNAPP、セキュリティアナリティクス、IAM、情報データセキュリティで、いずれも年平均成長率(CAGR)は10%台以上となるだろう」(IDC)
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