パワハラのリスクを回避しつつ、伝えるべきことを伝える方法仕事が「つまんない」ままでいいの?(116)(2/3 ページ)

» 2024年08月21日 05時00分 公開

パワハラのリスクを回避しつつ、伝えるべきことは伝えるために

 仕事のコミュニケーションで、パワハラ、モラハラ的になりやすいのは、「指示、命令、禁止」を伝えるケースではないかと思います。

指示

「○○しなさい」

命令

「○○せよ」「○○すべき」

禁止

「○○するな」

 指示、命令、禁止をこのまま伝えると、どうしても強制、否定的、批判的な印象を与えてしまいます。その結果、相手の抵抗感やネガティブな感情を引き寄せます。

こわいよう、つらいよう……

 同じことを伝えるにしても、できるだけ肯定的な言葉を意識するようにすると、パワハラ、モラハラと感じさせるリスクが減ります。具体的には……

指示

肯定語で具体的に。感情も添えて

「○○しなさい」→「○○を□□にしてくれるとうれしいな」

命令

疑問形にすると、お願いするニュアンスになる

「○○すべきだろう」→「○○することはできる?」

禁止

「やってはいけないこと」ではなく「やっていいこと」を伝える

「○○するな」→「○○するといいよ」

 ちょっとした言葉の工夫ですが、同じことを伝えるにしても、言葉から受ける印象が変わることに気付かれるでしょうか?

 また、お笑い芸人「ダチョウ倶楽部」の「押すなよ! 絶対に押すなよ!」というネタのように、「押すな」と否定すると、逆に「押す」ことに意識が向きますよね。これは人間の脳の特徴で、「言葉をそのまま受け取ろうとする」(否定語は理解しにくい)からです。

 その脳の特徴から、コンビニのトイレなどでも、以前は「汚さないでください」といった否定語(否定命令)が使われていましたが、最近は「いつもきれいにお使いいただきありがとうございます」「もう一歩前に」(男性トイレ)などの肯定語や具体的な行動が書かれるようになりました。

 このように「してほしくないこと」ではなく、肯定語や、してほしい具体的な行動を伝えるようにすると、必然的に肯定的な印象の言葉になるため、パワハラ、モラハラと受け取られるリスクを減らしながら、伝えるべきことを伝えられるようになるでしょう。

職場のコミュニケーションを良好にするために意識したい「ちょっとしたポイント」

 ここからは、職場のコミュニケーションを良好にするための「ちょっとしたポイント」を紹介します。

「解釈」ではなく「事実」ベースで会話をする

 パワハラ、モラハラと捉えられないようにするためのポイントの一つが、「解釈」ではなく「事実」ベースで会話をすることです。

 例えば、システム開発にはつきものの不具合が見つかったとき。顧客からクレームが入って、「お客さんがカンカンになって怒っている」「大変なことになっている」といった会話を担当者とすることもあるでしょう。

 「カンカンになって」や「大変なことになって」は解釈です。このような言葉を使いたくなるのは、「大ごとである」と伝えたかったり、「軽くプレッシャーをかけたい」といった気持ちが無意識に働いたりするからかもしれません

 この事象の事実は何でしょうか? 「お客さんから○○機能について2回電話があった」「お客さんは『○○だと言っていた』」などでしょう。事実ベースの伝え方の場合、こちらの意見や解釈は含まず、あくまでも起こったことを伝えるだけです。

 コミュニケーションギャップが起こるのは「解釈の違い」です。事実ベースでの会話であれば、パワハラ、モラハラと捉えられるリスクが少なくなります。なお、事実ベースにするためには、数値化したり、具体的にしたりするなど「5W1H」を意識するといいでしょう。

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