グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はJICOOのWael Saad Mohamed(ワエル・サード・ムハンマド)さんにお話を伺う。エジプトから見れば、遠く地の果てに思える日本。ワエルさんはなぜそんな異国の地を目指したのか。
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回はJICOOのWael Saad Mohamed(ワエル・サード・ムハンマド)さんにお話を伺った。PCに興味を持ち、スキルを伸ばそうとしたワエルさんの前に立ちはだかったのは「実務経験」という壁だった。
聞き手は、AppleやDisneyなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) ワエルさん、ですね。フルネームも教えていただけますか?
Wael Saad Mohamed(ワエル・サード・ムハンマド、以下ワエルさん) ちょっと長いのですけれど「Wael Saad Mohamed lithy Abdelfattah naser elsisi」(ワエル・サード・ムハンマド・リーシ・アブドルファッターフ・ナス・シーシ)です。
阿部川 長いお名前ですね、すごい。どこがお名前で、どこが名字なんでしょうか。
ワエルさん そういう区切りではないのですが、私の名前が「ワエル」で、「サード」はお父さん、「ムハンマド・リーシ」はおじいさん、「アブドルファッターフ」はひいおじいさんの名前です。「シーシ」は家族のことです。エジプトの制度で、この4つの名称を全部書かなければなりません。
阿部川 なるほど、ではワエルさんに子どもが生まれたらその子の名前の後に、「ワエル」以降が全部加わるというわけですね。エジプトの人だったらこの名前見て分かるんですか? 名前がワエルで、ここがお父さんで、ここがおじいさんの名前だと。
ワエルさん そうですね。むしろ私の家系はまだシンプルな方です。目下の悩みは、いろいろなサービスに登録するときに、名前があふれちゃうことですね(笑)。日本で名前を書くときは「ワエル・サード・ムハンマド」までにしています。
阿部川 すごいな。もうこれだけでなんか感動していますけれど、私。今日は「ワエルさん」でお願いしますね。お生まれはエジプトのどちらでしょうか。
ワエルさん 生まれはカイロです。中学生の頃、ギザに引っ越して、大学に入る時にまたカイロに戻りました。それぞれに家があるので、行ったり来たりしています。
阿部川 子どもの頃はどんなお子さんでしたか。社交的だとか内向的だとか。
ワエルさん あまり友達はいなかったので内向的になるのでしょうか。学校と家以外の場所はあまり行かず、家の前で兄弟たちとよくサッカーをしていました。
阿部川 勉強では何が得意でしたか。
ワエルさん 歴史と数学が得意でした。その他の教科は“箸にも棒にもかからない”といった感じでした(笑)。
阿部川 なるほど。ではコンピュータに興味を持ったのはいつ頃だったか覚えていますか。
ワエルさん たぶん中学生の頃ですね。学校で「Macintosh」を初めて見て、「これはすごい。どうやって使うんだろう。どんな技術を扱うのだろう」と不思議でした。勉強だけでなく、ゲームでも遊んでいましたけれど。『プリンス・オブ・ペルシャ』というアドベンチャーゲームをよくやりました。とても面白かったので、ゲームがどうやって作られたのかとか、PCはどうやって動くのかとか興味津々でしたね。
阿部川 エンジニアを目指す、最初のきっかけだったかもしれませんね。
『プリンス・オブ・ペルシャ』は2024年現在も新作が出ている、著名なゲームです。スーパーファミコン版は知っていましたが、Macintosh版もあるとは……(調べたら最初のリリースは「Apple II」用だったみたいですね)。あの独特な滑らかな動きを見たら、どうすればこんなことができるのか、と夢中になってしまう気持ちはよく分かります。
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