IDC Japanは、国内AIシステム市場の予測を発表した。さまざまな分野でAIの実装が進み、2024年の市場規模は対前年比41.6%増の1兆763億円で、同市場で初めて1兆円を超える見込みだ。
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IDC Japanは2024年11月13日、国内AI(人工知能)システム市場の予測を発表した。それによると、2024年の市場規模は対2023年比で41.6%増の1兆763億円。2023〜2028年の年間平均成長率(CAGR)は30.6%で、同社は2028年の市場規模を2兆8911億円と予測している。
2024年の国内AIシステム市場の動向としては、さまざまな分野でAIもしくは生成AIの実装が進んだことが挙げられる。生成AIの影響でビジネス活用への期待感が拡大したことに加え、アプリケーションソフトウェア、セキュリティ、プラットフォーム、サービスへの生成AIの組み込みが進展したこと、AI機能がデータ分析、リスク管理、顧客サービスに適用したことなどがその背景にあるという。IDC Japanは、生成AIの利用方法は今後、要約や検索、翻訳といった一般オフィス用途だけではなく、エンターテインメントや顧客エクスペリエンス分野での自然言語bot、目的特化アプリケーションの自然言語利用、音声/画像生成などに拡大するとみている。
IDC Japanによると、国内生成AI市場は短期的には「ソフトウェア開発」や「セールスガイダンス」などが市場を形成し、長期的には「リスク/コンプライアンス管理」「詐欺分析/調査」「収入/支出管理」などの成長率が高いという。こうしたユースケースでは、コード生成や自然言語対話型の調査分析がワークフローに含まれることから、生成AIの活用に適したユースケースになる。その結果、生成AIの市場規模は2024年に1016億円に達する見込みだ。同市場の2023〜2028年のCAGRは84.4%で、2028年には8028億円になると同社は予測している。
IDC Japanの眞鍋 敬氏(Software/Service Solutions シニアリサーチディレクター)は、「IT市場に対するAIのインパクトは急速に拡大し、社内外での業務適用やエージェントを用いたワークフロー自律化などによって、AIと人間が協働することを意識したソリューションが登場している。その一方で、AIをビジネス活用する際のコスト、正確性、セキュリティ、生成物の権利や倫理などの課題が顕在化している。企業はAIの効果とリスクを考慮し、どのようなAIモデルを自社のユースケースに適用するかを含めて活用を進めることが望ましい」と述べている。
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