IDC Japanは、国内セキュリティソフトウェア市場の実績と予測を発表した。2024年上半期の売上額は、対2023年同期比11.2%増の2781億200万円。2023〜2028年の年間平均成長率は13.0%になる見込みだ。
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IDC Japanは2024年12月2日、国内セキュリティソフトウェア市場の実績と予測を発表した。同社の推計によると、2024年上半期(2024年1〜6月)の売上額は、対前年同期比11.2%増の2781億200万円。2023〜2028年の年間平均成長率(CAGR)を13.0%とみており、2028年の売上額は9436億3000万円に達すると予測する。
IDC Japanは、パブリッククラウドサービスを含むセキュリティソフトウェア市場を「Endpoint Security Software」「Identity and Access Management Software」など機能ごとに7つの市場に分類している。
このうち、Endpoint Point Security Software市場は、セキュリティソフトウェア市場の約3割を占める。2024年上半期の売上額は、対2023年比8.7%増の848億4400万円。主にEDR(Endpoint Detection and Response)分野が対2023年比24.2%増と市場をけん引した。中小企業向けのEDRや運用サービス、SOC(Security Operation Center)などをパッケージ化した製品やサービスなどが堅調だった。
Identity and Access Management市場の2024年上半期の売上額は、対2023年比14.9%増の548億7700万円。ランサムウェアのデータ奪取までのステップからID管理と認証、アクセス管理で機密情報を守るソリューションへのニーズが高まり成長をけん引した。
Security Analytics Software市場は同10.2%増の327億5900万円。リスクの自動判定、集中管理と自動対応などを実現するソリューションとして脅威インテリジェンス(Threat Intelligence)やSOAR(Security Orchestration, Automation and Response)などの分野が成長した。
2024年上半期の国内セキュリティソフトウェア市場では、サイバー脅威の増加と進化、経営課題としてのセキュリティ認知向上、AI(人工知能)/生成AI活用の課題浮上などによって、国内企業のセキュリティソフトウェア投資が押し上げられた。IDC Japanの分析によると攻撃者は、クラウドサービスの脆弱(ぜいじゃく)性やマルチクラウド間のシステム設定の不具合など、攻撃対象を増やしており、AIを使ったサイバー攻撃や自律型AIによる自動攻撃なども確認されているという。こうしたサイバー攻撃による被害例は業種・業界、企業規模を問わず増加しており、ビジネスを守るための基盤としてセキュリティ投資は増加傾向にある。
IDC Japanは、こうしたセキュリティソフトウェア市場への投資は引き続き成長すると予測しており、企業の競争力を高める生成AIの活用とそれを支えるセキュリティ基盤としてのID管理と認証、アクセス管理、データセキュリティなどが成長をけん引するとみている。
IDC Japanの西村真弓氏(Softwareリサーチマネージャー)は、「2024年上半期の日本国内は大規模なセキュリティインシデントの発生や、サイバー攻撃による数十万から数百万件という規模の情報漏えいが多く発生したことから、侵入を前提としながらリスクを軽減できる技術への期待が高まった時期だった。ユーザー企業はサイバーセキュリティリスクを正しく理解し、限られたリソースを適切に配分し、自動化を取り入れセキュリティの運用効率化を図りつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)実現やデータドリブン経営、AI/生成AI活用などビジネス競争力を高めていくことが望ましい」と述べている。
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