Amazon Bedrock Knowledge Basesに新機能 RAGベースアプリ開発はどう変わるのか?機能追加の背景も解説

AWSは、生成AIアプリ開発用マネージドサービス「Amazon Bedrock Knowledge Bases」にカスタムコネクターとストリーミングデータの取り込みと再ランク付けモデルのサポートを追加した。

» 2024年12月17日 08時00分 公開
[@IT]

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 Amazon Web Services(AWS)は2024年12月1日(米国時間)、生成AI(人工知能)アプリ開発用マネージドサービス「Amazon Bedrock Knowledge Bases」にカスタムコネクター、ストリーミングデータの取り込みと再ランク付けモデルのサポートを追加した。AWSは以下のように説明している。

カスタムコネクターとストリーミングデータの取り込みで、リアルタイム性を確保

 カスタムコネクターとストリーミングデータの取り込みサポート機能が追加された。ユーザーは、データセット全体をリストして同期する必要なく、APIを直接使うことで、データの追加やステータスチェック、削除が効率的にできるようになった。

機能追加の背景

 RAG(検索拡張生成)ベースのAIアプリケーション開発は近年活発化している。だが、新しいデータの追加や削除のたびに完全な同期が必要になるため、ナレッジベースのデータを常に最新の状態に保つのが困難な状態にあった。

 また、非サポート対象のデータソース(「Google Drive」「Quip」など)からのデータをナレッジベースに統合することができない。サポートされているソース(「Amazon S3」など)へ一度移動させる必要があり、追加のオーバーヘッドとデータアクセスの遅延が生じてしまう。

 さらに、ストリーミングデータ(ニュースフィード、IoTセンサーデータなど)を直接利用したい顧客ニーズがある一方で、サポート対象のデータソースに事前にデータを保存する必要があるため、リアルタイム性が損なわれ、コスト増大につながる可能性がある。

 これらの課題を解消すべく、ナレッジベースが最新の状態に保たれ、リアルタイムでクエリに使用できる機能が追加された。

利用できる範囲

 この機能は、Amazon Bedrockナレッジベースが利用可能な全てのAWSリージョンで利用可能だ。

再ランク付けモデルのサポートで、回答の信頼性が向上

 Amazon Bedrockで再ランク付けAPIが使用できるようになった。同APIは、AIモデルが返す回答の順序を最適化することで、より関連性の高い回答を提供する。これにより、RAGベースのアプリケーションの回答の正確性と信頼性が向上する。

機能追加の背景

 ユーザーのクエリが複雑であいまいな場合、特にユーザーの好みやコンテキストに基づいて最適なドキュメントを優先することが難しいため、部分的にしか関連していないドキュメントを取得してしまう可能性がある。この問題により、引用やソースの帰属を適切に反映できず、RAGシステムの信頼性と透明性が失われてしまう。

 これらの課題に対処するため、今後のRAGシステムでは、ユーザーの意図とコンテキストをより適切に理解できる堅牢(けんろう)なランキングアルゴリズムの開発が重要になる。また、生成された応答の信頼性と透明性を確保するために、ソースの信頼性評価と引用方法の改善にも焦点を当てる必要がある。

 高度な再ランク付けモデルは、これらの課題に対処し、より正確でコンテキストに適切な応答の生成を可能にする。再ランク付けモデルにより、応答生成コストの削減にもつながる可能性がある。

利用できる範囲

 このAPIは、2024年12月時点で、米国西部(オレゴン)、カナダ(中部)、ヨーロッパ(フランクフルト)、アジアパシフィック(東京)のAWSリージョンで利用できる。

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