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Linux Foundation傘下のXen Projectは2023年11月22日(米国時間)、オープンソースハイパーバイザーの最新版となる「Xen Project Hypervisor 4.18」をリリースしたと発表した。
Xen Project Hypervisor 4.18は、膨大なデータ処理が必要なハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)と機械学習(ML)アプリケーション向けにアーキテクチャが強化され、セキュリティとパフォーマンスも向上している。
Xen Project Hypervisor 4.18の主な機能強化点は以下の通り。
- 拡張命令セットのScalable Vector Extension(SVE)がアップストリームのXenにテクノロジープレビューとしてマージされた
- Arm Aプロファイル製品上で安全なアプリケーションを実現するための仕様であるArm Firmware Framework for Arm A-profile(FF-A)のサポートが、アップストリームのXenにテクノロジープレビューとしてマージされた
- Arm64上のXenのメモリサブシステムにおけるArmアーキテクチャへの対応が強化された
- 全てのIntelシステムで、MSR_ARCH_CAPSがゲストで見えるようになり、仮想マシン(VM)の構成ファイルから制御できるようになった。これにより、2019年以降のCPUでは、ゲストカーネルが投機的実行の緩和のためのハードウェア修正に関する詳細を見ることができる
- 第4世代AMD EPYCプロセッサの新機能(CPUIDフォールティング)をサポートした
- Intelの第4世代Xeonスケーラブルプロセッサ(Xeon SP。コードネーム:Sapphire Rapids)の新機能をサポートした。その中には以下が含まれる
- PKS(Protection Key Supervisor):HVM(Hardware Virtual Machine)/PVH(ParaVirtualization in an HVM container)ゲストで利用可能
- VM-Notify:サーバ全体をクラッシュさせる代わりに、特定のマイクロアーキテクチャのパイプラインについてライブロックを緩和するためにXenが使用する
- バスロックの検出:ゲストがアトミック命令を誤用した場合のシステム全体への影響を、レート制限によって緩和するためにXenが使用する
(※)HVMとPVHは、Xenが備える仮想化モードを指す
- Intelが開発中のCPU「Granite Rapids」(コード名)の新機能をサポートした。その中には以下が含まれる
- AVX512-FP16命令
- Intel Hardware P-States(HWP)CPUFreqドライバの追加
- Data Operand Independent Timing Modeにおけるシステム全体の動作の強制への対応
- アップストリームのXenのGitLab CIがXenのフルビルドとprintkの出力メッセージでセットアップされるようになった
- 20のXSA(Xenセキュリティアドバイザリ)が公開され、一般的な脆弱(ぜいじゃく)性からプロジェクトを守るセキュリティ機能が強化された
- Xen Project Hypervisor 4.17では、4つのディレクティブと24のルールで構成されていたが、6つのディレクティブと65のルールに拡充された
(※)MISRA-Cは、車載ソフトウェア開発のためのC言語のコーディング規約。MISRA(Motor Industry Software Reliability Association)が開発した
- xl/libxlがHVMゲスト用にSMBIOS文字列をカスタマイズできるようになった
- Armにおいて、デバイスツリーオーバーレイバイナリ(.dtbo)を用いたXenデバイスツリーノードの動的な追加、削除を実験的にサポートした
- vCPUの実行状態と時間領域をリニア/仮想アドレスではなく、物理アドレスでマッピングする2つの新しいハイパーコールを導入した
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