実際のところ生成AIは何の仕事に役立っている? 何が心配? DXはどこまで進んだ? ITR調査ランサムウェアの感染/復旧実態なども

日本情報経済社会推進協会とITRは、「企業IT利活用動向調査2025」の結果を発表した。それによると、調査対象となった企業の45%が何らかの形で生成AIを業務利用しており、特に日常業務の効率化の用途で活用効果を感じていることが分かった。

» 2025年03月17日 08時00分 公開
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 日本情報経済社会推進協会とアイ・ティ・アール(ITR)は2025年3月14日、「企業IT利活用動向調査2025」の結果を発表した。調査は、従業員数50人以上の国内企業に勤務し、IT戦略策定または情報セキュリティ施策に関わる係長職相当職以上の役職者を対象に実施し、1110人から有効回答を得た。

「生成AIを全社利用している企業」が最も懸念していることは?

 調査結果からは、企業の生成AI(人工知能)の利用率やDX(デジタルトランスフォーメーション)の成果、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の被害状況などが分かる。

 生成AIの利用状況については、「全社的に利用が推奨され、幅広い業務で利用されている」と回答した企業の割合が15.9%、「必要性の高い特定部門での利用に限定されている」が29.1%で、合わせて45%の企業で利用が進んでいた。活用効果を感じている生成AIの用途を聞くと、「電子メールや資料の作成、データ入力、調査などの日常業務の効率化」が最も多く、84%だった。次いで「分析、レポート作成」(79.6%)、「文章の要約、翻訳」(70.8%)、「会議の効率化」(68.0%)などが続いた。

画像 活用効果を感じている生成AIの用途(提供:ITR

 生成AI利用の懸念点については、“生成AIを全社的に利用している企業”の59.9%が「社内の機密情報(個人情報含む)が生成AIに入力され、それが外部に漏えいすること」を挙げた。“特定部門で生成AI利用している企業”で最も多かったのは、「生成AIが出力した偽情報や誤った内容を信じて業務に使用する」(59.1%)だった。こうした結果についてITRは「生成AIの活用には慎重な運用が求められ、企業は情報漏えいを防ぐための利用ルールを明確にし、従業員のリテラシー向上を図るとともに、AIの生成結果を適切に管理、監視する仕組みを整えることが不可欠だ」としている。

 DX推進の状況(具体的な取り組み内容とその成果)を見ると、社内の業務や働き方に関する「内向きのDX」で最も取り組みが進んでいるのは「業務のデジタル化、自動化」で、成果が出ていると回答した企業の割合は52.1%だった。次いで「ワークスタイルの変革」(36.3%)、「意思決定の迅速化、高度化」(33.3%)が続いた。これに対して、顧客向けの新たな製品やサービス、マーケティングに関する「外向きのDX」で最も成果が出ているのは「顧客体験や顧客接点のデジタル化」(30.9%)。次いで「データに基づいた営業、マーケティングの高度化」(29.4%)だった。

画像 DX推進の状況活用(提供:ITR

 ランサムウェアについては、感染経験がある企業の割合が48.0%。身代金を支払った企業は全体の23.8%で、感染経験がある企業のおよそ半数に当たる。システムやデータを復旧できなかった企業は全体の25.9%で、感染経験がある企業の半数超が復旧できておらず、ランサムウェアに感染してしまうと、システムの復旧が難しいことが明らかになった。

 ランサムウェアの侵入経路では、「メールやその添付ファイル」が最も多く、28.3%。次いで「VPN(仮想プライベートネットワーク)やネットワーク機器の脆弱(ぜいじゃく)性」(20.8%)、「リモートデスクトッププロトコルの悪用」(19.9%)が続いた。ITRは「企業はゼロトラストアーキテクチャなどによる技術的対策と、従業員へのセキュリティ教育などの組織的な対策の両面から、セキュリティ戦略を講じることが必要だ」としている。

画像 ランサムウェアの侵入経路(提供:ITR

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