Googleは仮想アプリケーション配信基盤「Cameyo by Google」の提供を開始した。Chrome EnterpriseやChromeOSと組み合わせ、Windowsでしか実行できなかったクライアントアプリケーションをWebブラウザ上で安全に利用できるようにするという。
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Googleは2025年11月13日(米国時間)、仮想アプリケーション配信基盤「Cameyo by Google」の提供を開始した。
Googleが委託した調査会社Forrester Consultingの調査によると、ITリーダーの90%がEUC(エンドユーザーコンピューティング)の将来像としてWebベースの環境を想定している。一方で、現状でも業務に必要なアプリケーションの約50%はクライアントアプリケーションだという。また12カ月以内の最優先事項として、多くの企業がPCやスマートフォンなどエンドポイントでのAI(人工知能)活用を挙げている。
こうしたギャップを埋める手段となるのが、Cameyoだという。
Cameyoは、「VDI」(仮想デスクトップインフラ)とは異なる「VAD」(仮想アプリケーション配信)方式を採用。ユーザーが必要とするアプリケーションのみを任意の端末に配信する。WindowsやLinux向けのクライアントアプリケーションをブラウザ上に表示したり、PWA(Progressive Web Apps)として端末に配信したりできる。
ユーザーはERP(Enterprise Resource Planning)クライアントやWindows版の設計ツール、デスクトップ版「Microsoft Excel」など、従来はWindowsデスクトップ環境が前提だったアプリケーションを、他のWebアプリケーションと並べてブラウザ内で利用できる。PWAとして配信した場合は、システムトレイ上の他アプリケーションと同様に扱えるため、仮想デスクトップ環境の切り替えは不要だ。IT部門にとっても、仮想デスクトップの管理やスケーリングに伴う複雑さを抑えられるという。
Googleが企業向けに提供する「Chrome Enterprise Premium」とCameyoを組み合わせることで、セキュアエンタープライズブラウザ(SEB)を起点としたワークスペースを構成できる。またGoogle Chromeで提供されるAIアシスタント「Gemini in Chrome」との連携により、Cameyo経由で配信されたクライアントアプリケーション上でもAI機能も活用できるようになる。
「これまでAIとの連携が難しかったオンプレミスの業務アプリや専用クライアントにも、自然言語による操作支援や要約などのAI機能を組み合わせることができる」(Google)
OSレイヤーでは、Cameyoが「ChromeOS」採用の障壁となってきた「アプリギャップ」の解消に寄与する。企業がWindowsからの移行を検討する際、少数のWindows専用アプリケーションがChromeOS全面導入の課題となっていた。Cameyoを併用することで、既存PCをChromeOSに変換する「ChromeOS Flex」を含むChromeOS環境に移行しつつ、必要なWindowsアプリケーションは仮想アプリとして提供する構成が可能になるという。
Googleは「クライアントアプリケーションの存在によってモダナイゼーションが停滞している企業でも、業務要件に応じたペースで安全かつ段階的に刷新を進められる」とした上で、「CameyoはEUC環境のWebシフトとAI活用を同時に実現する手段の一つになる」と述べている。
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