ROUTE06がSIerやITベンダーで要件定義業務に携わる部長職相当325人に調査した結果、約9割が要件定義でのAI活用を「今後不可欠」と捉えており、導入企業の7割以上が大幅な工数削減を実現していることが分かった。
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ROUTE06は2025年11月25日、SIer(システムインテグレーター)やITベンダーで要件定義業務に携わる部長職相当325人を対象にした「要件定義におけるAI活用実態調査」の結果を発表した。
同調査は、調査機関のFastaskを通じて、上場しているSIerまたはITベンダーで要件定義業務に関わる部長職相当を対象に、10月29日〜30日にかけてWebアンケート方式で実施。325人(有効回答数)の回答結果を分析したものだ。
その結果、AI(人工知能)の導入により、要件定義の工数削減だけでなく、未経験者支援や品質の均一化といった効果が確認される一方、セキュリティリスクや成果物に対する品質の不安も浮き彫りになった。
要件定義におけるAI活用で期待する効果としては、「ドキュメント作成の工数削減」(51.4%)が最多となり、「未経験者でも要件定義ができるようになる」(45.8%)、「成果物の品質の均一化」(44.6%)となった。
要件定義に特化したAIツールを利用している回答者(組織・個人で要件定義AIツールを使用中、またはPoC〈概念実証〉段階の123人)に導入効果を聞いたところ、「未経験者でも要件定義ができるようになった」(62.6%)がトップとなり、「成果物の品質の均一化」(56.1%)、「ドキュメント作成の工数削減」(55.3%)と、いずれも期待値を上回る結果が得られたという。
要件定義業務の工数削減度合いについては、「8割以上(大幅に削減)」が24.4%、「5割前後(半分ほど削減)」が49.6%、「3割前後(ある程度削減)」が18.7%で、合わせて74.0%の企業が約半減、またはそれ以上削減していた。ROUTE06は「要件定義の生産性向上にAIが寄与していることは明確になった」と分析している。
回答結果からは、ドキュメント作成の効率化だけでなく、「未経験者支援」や「関係者とのコミュニケーション齟齬(そご)」といった、従来ベテラン依存になりがちだった領域で期待を上回る効果を実感している声も多いという。
一方、要件定義でAIを活用する際に不安を感じる点を聞いたところ、「セキュリティリスク」(48.6%)が最多となり、「著作権や学習元の不透明さ」(46.2%)、「社内ノウハウ不足・教育コストの高さ」(43.7%)と続いた。
AI導入の障壁としても、「セキュリティリスク」(52.0%)が最も多く、「成果物の品質担保」(41.5%)、「属人化業務が多くAIに落とし込みづらい」(40.0%)と、セキュリティと品質、業務の属人性が課題となっている。
要件定義において今後AI活用が必要不可欠になるかどうかを尋ねた設問では、「とてもそう思う」が43.1%、「ややそう思う」が45.5%となり、合わせて約9割が「必要不可欠」と回答した。
必要不可欠と考える理由として、自由記述で次のような声が寄せられたという。
一方、「必要不可欠にはならない」と回答した層からは、要件定義における人間の関与を重視する声が寄せられたという。
今後、要件定義のどの工程でAIを優先的に活用すべきかを尋ねた質問では、「現状把握(As-Is業務)」(50.5%)が最多となり、「リサーチ」(45.2%)、「ソリューション方針策定」(41.8%)と続いた。要件定義の中でも、特に初期の情報収集/整理段階でAI活用ニーズが高まっている。
要件定義支援AIツールを導入・選定する際に重視するポイントとしては、「導入・運用のしやすさ」(53.8%)がトップとなり、「セキュリティ・ガバナンス(管理体制)への対応」(47.4%)、「成果物の品質」(44.6%)と続いた。
ROUTE06の取締役である松本均氏は、「要件定義は長年、『個人のスキルや経験に依存する工程』とされ、属人化や品質のばらつき、手戻りによるコスト増といった構造的課題が業界全体に存在してきた」と指摘した上で「AIがベテランの暗黙知を補完し、要件定義の再現性を高める役割を担い始めている一方で、『最後の判断』や『要件の掘り起こし、関係者調整』といった部分は引き続き人間が担うべき領域として意識されている」と述べている。
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