Linuxカーネル開発とコミュニティー参加を学べる、無料の初心者向けオンライン講座が提供開始になった。
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Linuxの人材育成やスキル認定を担うLinux Foundation Educationは2025年11月20日、Linuxカーネル開発の基礎が学べる無料オンラインコース「Linuxカーネル開発 初心者向けガイド(LFD103-JP)」の提供を始めた。Linuxカーネルを開発・保守するLinuxカーネルコミュニティーとの協力の下で開発したもの。
Linuxカーネル開発プロセスにおける明確なルールと暗黙のルールを解説し、開発システムの構成からカーネルパッチ(修正プログラム)の作成、テスト、コミュニティーとのやりとりまでを、日本語で体系的に学べるコースとなっている。英語版「A Beginner's Guide to Linux Kernel Development(LFD103)」を日本語化したものとなる。
Linuxは1991年にリーナス・トーバルズ氏が趣味のプロジェクトとして開発を始めたOS。Linuxカーネルは、Linuxの中核コンポーネントとして、ハードウェアの管理、ユーザープログラムの実行、システム全体のセキュリティと整合性の維持を担う。新コースは、そのLinuxカーネルの開発者やコントリビューターを目指す人を主な対象としたオンライン講座で、受講時間の目安は12〜16時間の自己学習形式となる。
オープンソースやアップストリームのカーネル開発に初めて携わるエンジニアだけでなく、新たにカーネルコミュニティーとの共同作業を担当する経験豊富なエンジニアも、体系的に新たな知識を習得できる。
同コースで身に付けられる内容は次の通り。
受講を終えると、履歴書やオンラインプロフィールに追加できるデジタルバッジが発行される。
これまでに世界中の1万3000人以上の開発者がLinuxカーネルに貢献している。開発は24時間365日休みなく続いており、おおむね9〜10週間ごとに新バージョンがリリースされ、複数の安定版や長期サポート版リリースも並行して提供される。
新たにカーネル開発に参加する開発者が、コミュニティーとの関わり方を見つけるのに苦労することもある。新コースでは、Linuxカーネル開発プロセスに存在する「明確なルール」と「暗黙のルール」の双方を整理し、パッチ作成から投稿、レビュー対応に至るまでの実務手順を学べる構成とした。初めてカーネル開発に挑戦するエンジニアでも、コミュニティーに受け入れられやすい形で貢献できるよう支援する。
Linuxカーネルメンターシッププログラムへの申し込み手続きをスムーズにすることも目的の一つだが、メンターシッププログラムを利用できない場合でも、企業やコミュニティーの開発者が独学でカーネル開発を学ぶ際の実践的な教材と位置付けることができる。
本コースの講師は、Linux Foundationのフェローであり、Linuxカーネル開発者、メンテナー、コントリビューターとして長年活動してきたシュア・カーン氏だ。Linuxメディアサブシステムへの貢献や安定版リリースカーネルのテストなどにも関わっている。
Linux Foundation Educationではこの他にも、オープンソース技術の基礎を学べる無料オンラインコースとして以下のようなコースを用意している。
これらの一部は日本語で受講できる。こうした基礎講座から、上位のトレーニングコースや認定試験へと進む学習パスもあり、Linuxカーネルを含むオープンソース技術の習得レベルや目的に応じてステップアップできる構成だ。
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