毎日、深い階層にあるフォルダを何度もクリックして開いていないだろうか? Windows 11に標準搭載されている「仮想ドライブ化」機能を使えば、特定のフォルダを「X:ドライブ」などの独立したドライブとすることが可能だ。ショートカットよりも強力で、作業効率を大幅に高めるこの機能を解説する。
対象:Windows 11
特定フォルダを「ドライブ」に変える裏ワザWindows 11で操作していると、意外とエクスプローラーでフォルダを探してクリックしていることが多いのに気付かないだろうか。Tech TIPS「Windows 11の非効率を秒で解消? 『Shellコマンド』完全活用マニュアル」などで、こうした操作を省く技を紹介しているが、特定の作業フォルダを開くのに毎回、コマンドを入力するのも手間だ。
[ドキュメント]フォルダの下の、[2026年度]の[プロジェクト2026-01]の……といった具合に、ファイルを開くたび、あるいは保存するたびに深い階層をたどるのは、時間の無駄と言わざるを得ない。この問題を解決するのが、Windows 11に実装されている「仮想ドライブ化(substコマンド)」機能だ。この機能を使うことで、特定のフォルダを仮想的に「ドライブ」に割り当てることができる。
この「仮想ドライブ化」機能の設定方法や使い方などを紹介しよう。
通常、C:ドライブやD:ドライブは物理的なストレージを指す。しかし、Windows OSには、「特定のフォルダを、あたかも1つの独立したドライブとして認識させる」機能が備わっている。
この機能を使うことで、深い階層の下にある作業用フォルダを、エクスプローラーの「PC」の直下に、「X:ドライブ」や「Z:ドライブ」といったドライブ名で扱うことができるようになる。これにより、作業用フォルダがクリック一発でアクセス可能になるわけだ。
「作業用フォルダのショートカットをデスクトップに置けばいいのでは?」と思うかもしれないが、仮想ドライブ化を使うと作業用フォルダの長いパスを「X:\」という短い(扱いやすい)パスに置き換えられるメリットがある。また、どのようなアプリケーションの[ファイルの保存]ダイアログでも、「X:ドライブ」を選ぶだけで済む。
コマンドプロンプトを使ってバックアップするような場合も、仮想ドライブ化した短いパスを指定すれば済むので、いちいちフォルダパスをコピーする必要がなくなる。
作業用フォルダなどを仮想ドライブ化するのは極めて簡単である。Windowsターミナルを起動し、以下のコマンドを実行すればよい。<割り当てたいドライブ名>には、Windows 11で割り当てられていないものを指定する必要がある点に注意してほしい。
subst <割り当てたいドライブ名>: "<作業用フォルダのパス>"
例えば、OneDrive上の[文書]フォルダをX:ドライブにしたい場合は、以下のリストのようになる。Windowsターミナルを起動したら、「subst X: "」と入力して、エクスプローラーで作業用フォルダを開いてアドレスバーのフォルダパスをコピー、Windowsターミナルに貼り付けて、「"(ダブルクォーテーション)」を入力するとよい。
subst X: "C:\Users\UserName\OneDrive\文書"
これだけでエクスプローラーに「X:ドライブ」に現れ、「X:ドライブ」を開くと、自動的にOneDrive上の[文書]フォルダが開くようになる。
なお仮想ドライブ化を解除したい場合は、以下のコマンドを実行すればよい。
subst <割り当てたドライブ名>: /d
仮想ドライブ化は簡単にフォルダをドライブにできる。ただ弱点もある。それは、PCを再起動すると仮想ドライブ化が解除されてしまうということだ。毎回、再起動後にsubstコマンドを手動で実行するのは面倒だろう。
常に特定のフォルダを仮想化ドライブ化するのであれば、以下の手順でバッチファイルを作成して、[スタートアップ]フォルダに登録すればよい。
これで、Windows 11にサインインすると自動的に「特定のフォルダが指定したドライブになる」という環境が構築できる。ただしWindows OSには、起動時に実行されるスタートアップなどが競合してリソースを奪い合うことを防ぐ「スタートアップ遅延」と呼ばれる仕様がある。これにより、作成したバッチファイルが実行されるまで、システムよっては数分(2分程度)かかる点に注意してほしい。
実行されるまでの時間を短くするには、レジストリを編集したり、タスクスケジューラーに登録したりする方法もある。それらの方法については、別の記事で取り上げる予定だ。
サインイン時にsubstコマンドを実行する(2)長いフォルダパスをたどったり、毎回コピーして移動したりしなくても済むようになり、作業効率が大幅に向上するはずだ。
仮想ドライブ化は、このように簡単に設定が可能で便利なのだが、使う上で幾つか注意が必要になる。
substコマンドで割り当てたドライブをエクスプローラーで開き、その中のファイルあるいはフォルダを削除しようとすると、エクスプローラーの設定にかかわらず、「完全に削除するかどうか」の確認ダイアログが表示されるはずだ。削除を強行すると、そのファイル/フォルダはゴミ箱に入らず、完全に削除されてしまう。当然、後でごみ箱からそのファイル/フォルダを復旧することはできない点に注意してほしい。
通常の権限のままsubstコマンドを実行してドライブ名にフォルダを割り当てた場合、管理者権限で実行したアプリからは、substコマンドで割り当てたドライブ名を参照できない(指定したドライブ名は存在しない、というエラーが生じる)。
さらに、同一ドライブ名に通常の権限と管理者権限で別々のフォルダを割り当てることもできてしまう。つまり、同一ドライブ名なのに権限によって別々のフォルダが参照できる、というややこしい状況が生じるので注意しよう。
substコマンドで割り当てたドライブ名は、他のユーザーに引き継がれない、ということも覚えておきたい。例えばタスクスケジューラーであるタスクを別のユーザーで実行する場合、サインイン中のユーザーでsubstコマンドを実行して割り当てたドライブ名は、そのタスクからは参照できない。
例えばlabelコマンドでボリューム名を変更しようとしても、substで割り当てたドライブ名では、「アクセスが拒否されました……」といったエラーが生じて失敗する。
また「ディスクの管理」ツールでも、substで割り当てたドライブ名はどこにも表示されない。ディスクとしてはもちろん、各ディスクのパーティションにも、そのドライブ名は表示されない。
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