PC内のファイルを直接操作できるAIエージェント「Claude Cowork」が登場した。従来のAIチャットと異なり、ローカルのサンドボックス環境で自律的に作業をこなすのが特徴だ。本Tech TIPSでは、導入に必要なハードウェア要件から、画像一括リサイズなどの具体的な自動化事例までを解説する。
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対象:Windows 11+Claude Cowork
「判断を伴う定型業務」も自動化できるAIエージェント「Claude Cowork」の実力日々の業務において、大量のデータ整形や定型レポートの作成、ファイルの整理といった「単純だが時間のかかる作業」に追われていないだろうか。例外処理が多く、従来のツールでは自動化しきれず、結局は人の手が必要になる作業は意外と多い。
筆者の場合、画像のリサイズがその典型である。元の画像のサイズ(ピクセル数)に応じてリサイズ後のサイズを調整しているため、PowerToysにある「Image Resizer」などのツールを使った一括処理ができない。事前に元の画像のサイズによる仕分けが必要になるので、画像処理ソフトウェア(筆者は、Photoshop Elementsを使っている)で1枚ずつリサイズした方が早いのが実情であった。
こうした「判断を伴う定型業務」をAI(人工知能)に丸投げして、自動化を実現可能にするのが、Anthropicが提供する「Claude Cowork」だ。通常のAIチャット(回答を返すだけ)と異なり、選択したフォルダ内のファイルを実際に読み書き・作成・変更できるエージェント型AIアシスタントである。
Microsoftも「Copilot Cowork」として、Microsoft 365 CopilotにClaude Coworkを組み込むことを発表している(MicrosoftのMicrosoft 365 Blog「Powering Frontier Transformation with Copilot and agents」)。今後この「AIエージェント」による作業代行は標準的なワークスタイルになると思われる。
本Tech TIPSでは、Claude Coworkのインストールから設定、簡単な使い方までを紹介しよう。
Claude Coworkは、デスクトップアプリ「Claude Desktop」に搭載されたAIエージェント機能である。最大の特徴は、通常のチャットモードがテキストで回答を返すのに対し、Claude CoworkはユーザーのWindows 11上で複数ステップにわたる作業を自律的に実行する点にある。自然言語(日本語など)で指示を出すことで、ファイルの読み書きやフォルダの整理、レポートの生成などの処理を自律的に実行してくれるのだ。
Claude Coworkは、Windows 11内に構築される「サンドボックス(隔離された実行環境)」上で動作する。チャットモードがクラウドサーバ上で処理して回答を返すのに対し、Claude CoworkはローカルPCのストレージやプロセッサに直接アクセスし、ファイルを操作する。これにより、大容量データの高速処理や、機密性の高いファイルの安全な取り扱いも可能になっている。
Claude Coworkのサンドボックスは、軽量な仮想マシン(コンテナ)として実装されているため、「Intel VT-x」または「AMD-V」といった仮想化支援機能を有効にしておく必要がある点に注意してほしい。ストレージも5GB以上の空き容量が必要となる。なお、2026年3月末現在、ARM64(Snapdragon)搭載PCではClaude Coworkがサポートされていない。
また、無料プラン(Free)では利用できない点も要注意だ。利用に際しては個人向けのPro(20ドル)/Max(100ドルから)、組織向けのTeam(Standardシート:25ドル/Premiumシート125ドル)/Enterprise(要問い合わせ)のいずれかのライセンス購入が必要となる(料金は月額払いの場合)。
Claude Coworkを利用するには、「Claude Desktop」をインストールしておく必要がある。以下のリンクを開き、実行するプラットフォームに合わせて「Claude Desktop」のインストーラーをダウンロードする。
「Claude Desktop」アプリのインストーラーをダウンロードするWindows 11の場合は、ダウンロードした「Claude Setup.exe」を実行して画面の指示に従う。Windows 11の開発者モードが有効になっていない場合、有効化が求められるので、「設定」アプリの「システム」−「詳細設定」画面を開いて、「開発者モード」のスイッチを「オン」にしてから、再度、「Claude Setup.exe」を実行する。
インストール完了後、「Claude Desktop」アプリを起動して、Claudeの有料ライセンスを持つアカウントでサインインする。確認コードが求められるので、入力したアカウントに届くメールを開き、[Claude.aiにサインイン]ボタンをクリックする。Webブラウザが開き、「Claudeを開きますか?」というダイアログが表示されるので、[Claudeを開く]ボタンをクリックして認証する。
キーボードショートカットとメニューバーランチャーの設定を求められるので、好みに応じて有効化するとよい。
続いて、Claude Coworkのセットアップが開始される。Claude Coworkの実体は軽量な仮想マシンなので、そのイメージを展開するために少し時間がかかる。「最初のCoworkタスクを試す」画面が表示されたらセットアップは完了だ。
Claude Coworkをインストールする(2)
Claude Coworkをインストールする(3)
Claude Coworkをインストールする(4)
Claude Coworkをインストールする(5)
Claude Coworkをインストールする(6)Claude Coworkのセットアップには時間がかかるが、いつまでたっても終わらないことがある。前述の通り、Claude Coworkの実体が軽量な仮想マシンであるため、仮想化支援機能が有効になっていない場合やストレージの空き容量が足りない場合、画面上にエラーが表示されることなく、セットアップが終わらないという状態になるようだ。また、他の仮想化ソフトウェアとの競合によってもセットアップが終了できないことがあることが報告されている。
10分以上たってもセットアップが終了しない場合は、[%LOCALAPPDATA%\Packages\Claude_pzs8sxrjxfjjc\LocalCache\Roaming\Claude\logs]フォルダにあるログファイルを1つずつ開き、エラーが記載されていないかどうかを確認するとよい。
「Claudeのワークスペースをセットアップしています」から進まない場合セットアップが完了したら実際にClaude Coworkを使って作業を実行してみよう。特定のフォルダ内のファイル名を変更したり、画像のリサイズを実行したりして、どのような挙動を示すのか確認するとよいだろう。
ここでは、[Test]フォルダに保存されている画像ファイルを、縦横の比率を維持して横800ピクセルにリサイズして、[画面]フォルダを作成して保存させてみた。
これでClaude Coworkがファイル操作を実行する。Claude Coworkが作成した[画面]フォルダを見ると、800ピクセルにリサイズされた画像が保存されていた。
Claude Coworkを使ってみる(1)さらに元の画像サイズが800ピクセル未満の場合はリサイズしないといった細かい条件を指示することも可能だ。こうした条件付きの指示も柔軟に理解し、実行してくれるのが大きな強みである。
このようなローカルにあるファイルやフォルダの操作の他、Google Chromeに拡張機能「Claude in Chrome」を追加して有効にしておけば、Webブラウザに対する処理も実行可能だ。
Claude Coworkはセッションをまたいで記憶を保持しないため、毎回自己紹介などの入力が必要になってしまう。全てのセッションで適用したい指示については、毎回入力しなくて済むように、あらかじめ「グローバル指示」を設定しておくとよい。
例えば、「ファイルを生成・リネームする際は、必ず『YYYYMMDD_ファイル名』の形式にすること。また、処理が完了した元ファイルは削除せず、必ず『old』という名称のサブフォルダへ移動させてバックアップを保持すること」のように設定しておけば、毎回、この指示を入力する必要がなくなる。
これで、全てのセッションで適用される指示が設定できる。
「グローバル指示」を設定する(1)
「グローバル指示」を設定する(2)Claude Coworkには定期実行タスクの機能も備わっている。左サイドバーの[予定済み]アイコンをクリックして、「スケジュール済みタスク」画面を開き、[+新しいタスク]ボタンをクリックして、名前や説明、プロンプト、頻度などを設定すればよい。
毎週月曜朝にGoogle Calendarから予定を収集して週間予定を自分のメールアドレス宛にメールで送信する、といった定期ルーティンを組むことが可能だ。
定期的に実行したいタスクを設定する(2)Claude Coworkは、AIを「ただの相談相手」から「物理的な作業をこなす実務パートナー」へと進化させている。画像のリサイズのような単純作業をAIに任せることで、人間はより創造的な意思決定に時間を割くことが可能になる。導入には有料ライセンスが必要といったハードルもあるが、得られるリターン(生産性向上)はそれ以上に大きいと思う。
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