Javaアプリ更新を1カ月→3日に爆速化 “ソースコード生成AI止まり”じゃない「IBM Bob」の仕組みIBM社内で8万人超が利用 平均45%の生産性向上を確認

IBMが発表したAIツール「IBM Bob」は、先行導入した企業でJavaアプリケーションのモダナイゼーション作業を30日から3日に短縮するといった効果があったという。ソースコード生成にとどまらない、IBM Bobの特徴とは。

» 2026年06月15日 13時00分 公開
[@IT]

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 IBMは2026年4月28日(米国時間)、企業のソフトウェア開発を支援するAIツール「IBM Bob」を発表した。標準プランの「Pro」は月額20ドル(国内では税別3187円)からで、30日間の無償試用プラン「Trial」も用意する。

 先行してIBM Bobを導入したITコンサルティング企業は、従来30日かかっていたJavaアプリケーションのモダナイゼーション作業を3日間に短縮し、160時間以上の工数を削減した。IBM社内でも8万人以上が利用し、生産性向上につながっているという(IBM社内事例の詳細は後述)。

ソースコード生成AI止まりじゃない 「IBM Bob」が開発を“爆速化”する仕組み

 ソースコード生成だけではなく、企画や設計、テスト、デプロイ(本番環境への展開)、モダナイゼーション(既存ソフトウェアの刷新)までカバーするのがIBM Bobの特徴だ。IBM Bobの主な機能を見ていこう。

 IBM Bobはソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)全体を通じて、役割ごとに特化したAIエージェントを連携させながら開発を支援する。開発者やテスターなどの役割を担うAIエージェントと、承認や管理の仕組みを組み込んだワークフローを連携させることで、分断しがちな開発プロセスを一貫して管理できるようにする。

 AIモデルの運用については、精度や性能、コストを考慮してタスクごとに最適なAIモデルを選択する「マルチモデル・オーケストレーション」を採用した。IBM自身の「IBM Granite」に加えて、Anthropicの「Claude」やMistral AIのオープンソースモデルなど複数のAIモデルに対して、タスクの内容に応じて処理を動的に振り分ける。複雑なタスクには高性能モデルを、単純な処理には軽量モデルを利用することで、品質向上とコスト削減の両立を図る。

セキュリティとガバナンスにも配慮

 セキュリティやガバナンスを確保しやすくする仕組みも用意する。IBM Bobはプロンプトの標準化や機密データのスキャン、リアルタイムでのポリシー適用に加えて、AIシステムの脆弱(ぜいじゃく)性や不正利用のリスクを検証する「AIレッドチーミング」機能を標準で搭載する。

 IBM Bobでは、開発者は承認プロセスを設定することで、人による承認や確認が必要な工程をワークフローに追加できる。タスクの種類に応じて自動承認と手動承認を使い分けることも可能だ。

 AIエージェントによる処理の内容をリアルタイムで自動記録するコマンドラインインタフェース(CLI)ツール「Bob Shell」も利用できる。全ての操作を開始から終了まで追跡できるようにし、監査に必要な記録を残せるという。

IBMは社内利用で生産性を大幅に向上

 IBMは2025年6月に100人の開発者を対象にIBM Bobの社内利用を開始し、発表時点で8万人以上の従業員が利用しているという。同社が実施した利用者調査では、モダナイゼーションやセキュリティ、新規開発の各分野において、回答者は平均45%の生産性向上を実感したと報告している。

 個別の開発チームではさらに大きな改善効果があったと、IBMは説明する。アプリケーション監視ツール「IBM Instana Observability」の開発チームは、特定の開発タスクにかかる時間を平均70%削減し、週当たり平均10時間の短縮を達成した。設備/資産管理ツール群「IBM Maximo」の開発チームも、ソースコード更新作業などに要する時間を約69%削減したという。

 会計/コンサルティング企業のErnst & Youngは、グローバル税務プラットフォームのモダナイゼーションにIBM Bobを活用している。クロアチア政府のIT組織であるAPIS ITは、政府システムの刷新にIBM Bobを適用し、アーキテクチャ分析やドキュメント作成を従来比で10倍高速化。メインフレーム向けの「JCL」(Job Control Language)および「PL/I」のシステムの文書化では、運用担当者による検証で100%の正確性を達成したという。

「IBM watsonx Code Assistant」からの移行パスも用意へ

 IBM Bobの提供形態は発表時点ではSaaS(Software as a Service)のみだが、今後オンプレミス版も用意する。既存のAIコーディング支援ツール「IBM watsonx Code Assistant」(WCA)の利用者には引き続きサポートを提供し、IBM Bobへの移行パスも用意する計画だ。

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