「バックアップが暗号化されて使えない」を今あえてテープで防ぐ 製造業はどう実現した?イミュータブルストレージと比較して選んだ、都筑製作所のオフライン保管とは

ランサムウェアに備えてバックアップデータをどう守るか。都筑製作所が採用したのは、イミュータブルストレージではなく、LTO磁気テープを使ったオフライン保管だった。なぜこの方式を選び、どう実現したのか。

» 2026年07月03日 13時00分 公開
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 長野県に本拠を置く精密部品メーカーの都筑製作所は、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策を強化した。バックアップデータをネットワークから切り離して保管する「オフライン保管」方式を導入したのが、その取り組みの柱だ。

 ランサムウェア被害が急速に拡大しており、バックアップデータそのものを保護する対策の強化が重要になっている。データ保護ソフトウェアベンダーArcserveの日本法人であるarcserve Japanが2026年3月に発表した調査結果によると、ランサムウェア被害を受けた企業の約9割で、バックアップデータが暗号化されていた。

 都筑製作所はランサムウェアへの備えを強化するために、バックアップデータの保護手段を見直した。データの変更や削除ができない「イミュータブルストレージ」を含めて、複数の選択肢を比較した。

イミュータブルではなく「テープ」 バックアップをどう守るのか?

 最終的に都筑製作所が選んだのは、LTO(Linear Tape-Open)規格の磁気テープをバックアップ保存先として利用するオフライン保管方式だった。その選定理由と、具体的な実現方法を整理する。

 都筑製作所がLTO磁気テープによるオフライン保管方式を選んだのは、イミュータブルストレージなどの他の選択肢と比べて、費用対効果に優れると判断したからだ。過去に磁気テープを使ったバックアップの運用経験があり、管理しやすいと判断したことも、選択を後押しした。

 オフライン保管の実現には、テープバックアップソフトウェア「Arcserve Backup」の機能を活用した。このライセンスは、都筑製作所が導入済みのバックアップ/リカバリーソフトウェア「Arcserve Unified Data Protection」(以下、Arcserve UDP)のライセンスに含まれていた。追加コストを抑えながら、LTO磁気テープによるオフライン保管の仕組みを構築できたという。

運用の工夫でバックアップを高速化、容量も削減

 実際の運用では、業務サーバのデータをバックアップサーバに集約した後、LTO磁気テープに転送している。通常時にはネットワークから切り離したオフライン状態でLTO磁気テープを保管することで、ランサムウェアによるバックアップの暗号化を防ぐ。

 一部のバックアップ対象サーバではフルバックアップのみだった運用を見直して、フルバックアップと増分バックアップを組み合わせるようにした。その結果、フルバックアップ実施日を除くバックアップ時間を24時間超から17時間に短縮できた。

 バックアップ速度を高めるための設定も見直した。当初はArcserve標準のテープ用ドライバを使用しており、バックアップ速度は毎分約700MBだった。これをテープベンダー提供のドライバに変更したところ、データ特性や処理条件によって差はあるものの、毎分3〜10GBまで向上したという。

 容量削減にも取り組んだ。Arcserve UDPの圧縮機能を利用し、サーバ群全体で約63TBあるデータ容量を、バックアップサーバ内で約40TBまで圧縮した。日々バックアップする増分データは約780GBに抑えた。

バックアップを段階的に強化、リスクへの備えは継続

 都筑製作所は、ランサムウェア対策に取り組む以前からバックアップ体制を段階的に強化してきた。2017年にArcserve UDPを採用し、約63TBのデータを自社で確実に復旧できる体制を整えるとともに、拠点間での相互バックアップを実現した。2019年10月の台風19号(令和元年東日本台風)の被害を機に、レプリケーションソフトウェア「Arcserve Replication」を導入。ファイルサーバのデータを長野県外のデータセンターにリアルタイムで複製することで、広域災害対策を強化した。

 一連の取り組みにより、都筑製作所は災害対策に加えて、ランサムウェアによるバックアップデータの暗号化リスクへの備えを強化した。今後も社内教育や運用改善に取り組み、事業継続性を高めるために、データ保護の強化を進める。arcserve Japanは2026年5月22日に、この導入事例を発表した。

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