今の認証セキュリティでAIエージェントの普及を支えられるか 米Oktaなどが推進する2つの標準プロトコルとは

自律的に動作するAIエージェントは、大きなセキュリティ課題を引き起こす。認証セキュリティにおける解決策の一つとして、米Oktaが競合他社と進めるオープン標準とは。

» 2026年07月28日 13時46分 公開
[三木泉@IT]

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 クラウド型アイデンティティ管理(IDaaS)ベンダーの米Oktaは、オープン標準として「Cross App Access(XAA)」や「IPSIE(Interoperability Profile for Secure Identity in the Enterprise)」を推進している。双方とも、AIエージェントの認証/権限管理に関する取り組みだ。

 XAAについてOktaのトッド・マッキノンCEOに聞くと、「非常に重要だ。ユーザーは、関連ベンダーがサポートするよう要求する必要がある」と答えた。ただし、XAAは特定の問題を解決するピースでしかないとも述べる。「AIエージェントが成功するためには他にも多数のオープンな技術規格が必要だ」とし、例としてIPSIEを挙げた。

 人のアイデンティティ管理における主要ベンダーであるOktaは、今後普及するAIエージェントを含めた統合的な認証/権限管理基盤としての地位を固めようとしている。XAAとIPSIEはこの戦略における重要な要素として位置付けられる。だが、どちらも同社が独占するものではない。

 IETF標準であるOAuth 2.0の拡張プロトコルに「ID-JAG」がある。XAAはこの上に、(独自の)ポリシー管理機能などを実装したもの。ID-JAGはPing Identity、Microsoft EntraIDなども支持しており、MCP(Model Context Protocol)サーバへの実装も進みつつある。

 一方、IPSIEについてはOpenID Foundationでワーキンググループが作られ、提案者としてはOktaの他、Microsoft、Ping Identity、Beyond Identity、SGNLなどが並んでいる。

 主要IDプロバイダー(IdP)はこの2つのプロトコルを活用し、AIエージェント時代の相互運用性を確保した認証インフラの構築を進めようとしている。

 では、2つのプロトコルを使って各社が目指す認証インフラとはどのようなものなのか。Oktaの例に戻って紹介する。

現在の認証セキュリティはAIエージェントの普及を支えられない

 AIエージェントは必要に応じて外部システムと接続し、自律的にタスクを実行するものだ。脅威アクターに乗っ取られれば、セキュリティ上の大きな問題を引き起こす。

 Oktaが2026年4月に一般提供を開始した「Okta for AI Agents」は、人と同じようにAIエージェントにアイデンティティを与えた上で、認証・認可を管理する。まず社内で使われているAIエージェントを検知し、ディレクトリに登録。これにより野良エージェント対策ができる。次にAIエージェントからリソースへの接続認証を、XAAで管理しようとしている。

 現時点では、AIエージェントからリソースへのアクセス認証は、アプリケーションにAPIキーをハードコードするか、認証画面を表示してユーザーに承認を求めることで行う。キーの流出、ユーザーによる過剰承認といった問題が起こりやすく、どちらにもセキュリティ上の懸念がある。

 これに対してXAAでは、あらかじめ接続認証ルールをOktaに設定しておき、ユーザーとアプリケーションの正当性を確認した上で、ID-JAGトークンを発行する。このトークンはタスクごとに発行される短時間のみ有効なものであり、セキュリティを高められる。

 ID-JAGが標準として広がれば、企業がどのIDプロバイダー(IdP)/IDaaSを使っていても、AIエージェントがこの仕組みに対応しさえすれば、この共通の認証管理手法を使えることになる。

 一方、IPSIEは基本的に人がSaaSにアクセスする際の認証管理手法を整理し、標準化するもの。だが、間接的にAIエージェントの認証セキュリティも向上できるという。

 OpenID Connect、OAuthといった既存の認証規格はオプションが多すぎ、ベンダーによって実装が異なる。これが互換性のなさや全体的な認証セキュリティレベルの低下につながっている。そこでIPSIEでは、全てのSaaSが実装すべき共通の機能をプロファイルとして規定する。具体的にはシングルサインオン、自動プロビジョニング、サイバー脅威に対するリアルタイム対応などがあるという。

 これがどうAIエージェントと関係するのか。

 ほとんどのAIエージェントは人間のために動くため、アクセスできる範囲は、その従業員に与えられた権限によって決まる。IPSIEは、人間のアクセス権限を統一的な方法で取得し、適切に適用できるようにする。

 また、従業員のアカウントが乗っ取られた場合、IPSIEが定めるセッションの自動終了とアクセストークンの失効の仕組みによって、その従業員の代理として動作しているAIエージェントも、全てのSaaSサービスへのアクセス権を即座に失うのだという。

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