NordVPNは、情報窃取型マルウェアによるCookie流出の調査結果を発表した。世界で524億件超、日本国内でも約1.89億件の流出を確認。認証Cookieが盗まれると、パスワードやMFAを回避してアカウントを悪用される恐れがあり、注意が必要だ。
VPNサービスを提供するNordVPNは2026年8月13日、情報窃取型マルウェアによって盗まれたデータの分析結果を公開した。2025年6月9日〜2026年6月8日の1年間に、世界で524億件を超えるCookieのデータが盗まれていたことを確認したという。単純計算すると、1秒当たり1600件以上に上る。
日本に関連するCookieも約1億8897万件確認された。盗まれたCookieの件数は、パスワードや決済カード情報など、Cookie以外の盗難データを全て合わせた件数の約4.6倍に達した。
Cookieの中には、Webサービスへのログイン状態を維持するために使われるものもある。こうしたCookieが盗まれると、攻撃者がパスワードやMFA(多要素認証)による認証を経ずに、正規ユーザーの「ログイン済みの状態」を悪用できる場合がある。
NordVPNは、攻撃者の標的がパスワードなどの認証情報だけでなく、認証後のセッションにも広がっていると指摘している。
今回の分析では524億件のCookieデータが盗まれたことが確認された他、オートフィル情報やファイル、認証情報、パスワード、メールアドレス、決済カード情報など、Cookie以外の盗難データも合計約114億件が盗まれたことが確認された。
Cookieは、Webサイトの設定やログイン状態などを保存するために使われる。中でも、ログイン状態を維持するためのCookieが盗まれると、攻撃者がそのCookieを悪用し、パスワードやMFAによる認証を経ずに、正規ユーザーとしてサービスにアクセスできる場合がある。こうした攻撃は「セッションハイジャック」と呼ばれる。
情報窃取型マルウェアによるCookieの窃取は、世界250以上の国・地域で確認された。国・地域別では、インド、ブラジル、インドネシアなどで特に多く確認された。日本に関連するCookieレコードも約1億8897万件に上り、国・地域別では43位だった。日本でも大規模なCookieの窃取が確認されている。
窃取されたCookieをドメイン別に見ると、検索エンジン「Google」が約5億4052万件で最も多く、動画配信プラットフォーム「YouTube」が約3億2157万件、検索エンジン「Bing」が約2億1506万件と続いた。この他、Microsoft、Facebook、Twitch、TikTok、PayPalなど、広く利用されているWebサービスに関連するCookieも多数確認された。
Cookieレコード数の上位100ドメイン(全分析対象の約51.2%)では、分析時点でも約5件に1件のCookieが有効な状態だった。こうした場合、パスワードを変更するだけでは対策として不十分なことがある。Cookieの窃取が疑われる場合は、パスワードの変更に加えて、全ての端末からログアウトするなどして既存のセッションを無効化する必要がある。
NordVPNの社内データによると、マルウェアに感染した端末の96.3%では、「Microsoft Defender」などのセキュリティ対策ソフトウェアが稼働していたという。導入していても、情報窃取型マルウェアへの感染を完全に防げるわけではないことがうかがえる。
同社のCTO(最高技術責任者)を務めるマリユス・ブリエディス氏は、「サイバー犯罪者が狙っているのは、もはやパスワードだけではない。ログイン状態を保持するCookieは、すでに認証を済ませたアカウントへアクセスするための“デジタルの鍵”として悪用される可能性がある」と注意を促す。
NordVPNは被害を抑える対策として以下の5点を挙げている。
多要素認証でも守れない 「インフォスティーラー」を“正しく”恐れよ
攻撃経路「オンプレからクラウドへ」はもう古い インフォスティーラーが変えたセキュリティの新常識
ChromeとEdgeで430万人が感染、“Google認定の拡張機能”がマルウェアだった
「ダークWebで個人情報を検出しました」 アカウント“流出”の原因と、その予防策
「パスワード管理ツール」の安全性を揺るがす6つのリスク、ESETが指摘Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.