画面上のコピーできない文字や表を手入力で打ち直す手間を解消する、Windows 11の「Snipping Tool」最新機能を紹介する。専用ショートカット[Windows]+[Shift]+[T]キーによる即時テキスト抽出から、Excelへそのまま貼り付けられる表コピー機能、クイックマークアップまで、転記作業の効率を劇的に高める活用法を解説しよう。
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対象:Windows 11
[Windows]+[Shift]+[T]で画像内の文字を一瞬でコピーするWebページの画像内の文字やPDFのスキャン画像など、「見えてはいるがコピーできない文字」を手で打ち直した経験は誰にでもあるだろう。特にPDFの場合、コピーしたテキストを貼り付けると、文字が重複したり、改行が入っていたりして、そのままでは使えないということもある。
Windows 11標準のスクリーンキャプチャーアプリ「Snipping Tool」には、AI(人工知能)による文字認識(OCR)機能が搭載されており、こうした文字をテキストデータとして抽出できる。認識処理はデバイス上(ローカル)で実行されるため、機密情報を含む画面でもクラウドに送信される心配がない点も大きなメリットだ。
さらに2025年春の更新以降、[Windows]+[Shift]+[T]キーという専用のショートカットキーが追加され、スクリーンショットの撮影・保存という手順を踏むことなく、画面上の文字を直接OCR処理してクリップボードにコピーできるようになった。本Tech TIPSでは、OCR機能を中心に、追加されたSnipping Toolの機能の使い方と活用テクニックを紹介する。
Snipping ToolのOCR機能を呼び出す最も手軽なのが、専用ショートカットキーで「テキストのスキャン」を直接起動する方法だ。
テキスト化したい文字が画面に表示された状態で、[Windows]+[Shift]+[T]キーを押す。画面が暗転して範囲選択モードに入る。あとは文字を含む領域をマウスでドラッグして選択するだけでよい。
選択範囲内の文字が自動的に認識され、その場で選択可能な状態になる。必要な部分をドラッグしてコピーするか、[すべてのテキストをコピー]を選ぶ。Snipping Toolのウィンドウは開かず、画像ファイルも保存されない。「画面上の文字だけが欲しい」場面ではこれが最速の手順である。
[Windows]+[Shift]+[T]キーで文字を抽出(1)
[Windows]+[Shift]+[T]キーで文字を抽出(3)スクリーンショット撮影の[Windows]+[Shift]+[S]キー、画面録画の[Windows]+[Shift]+[R]キーと合わせて、「S=Screenshot」「R=Record」「T=Text」と頭文字で覚えておくと直感的に活用できる。
なお、このショートカットキーはSnipping Toolのバージョン11.2503.29.0以降で利用可能だ。この機能は段階的かつ自動的に展開されているため、押しても反応しない環境もある点に注意してほしい。
以前からの方法として、撮影済みのスクリーンショットに対してOCRを実行することもできる。
[Windows]+[Shift]+[S]キーで範囲を選択してキャプチャーしたら、通知をクリックして「Snipping Tool」ウィンドウで画像を開く。ツールバーにある[テキストのスキャン]ボタンをクリックすると、画像内の文字が認識され、選択・コピーが可能になる。この方法は、キャプチャー画像に注釈を加えて保存しつつ、文字も抽出したい場合に向く。
画像や既存ファイルから文字を読み取る(3)また、PNGやJPEGの画像ファイルをSnipping Toolにドラッグ&ドロップして読み込ませてから、[テキストのスキャン]ボタンをクリックすることで、その画像内の文字を抽出することも可能だ。
[テキストのスキャン]を実行後、表示されたメニューにある[表としてコピー]を選択すると、OCR結果から行と列の構造を自動認識し、表形式のままクリップボードに格納することもできる。
WebページやPDF上の表をキャプチャーして[表としてコピー]を実行し、Excelのセル上で[Ctrl]+[V]キーを押せば、セル分割された状態で貼り付けられる。通常のテキストコピーでは改行や空白がセル内に混入して手作業での整形が必要になりがちだが、この機能を使えばその手間を大幅に削減できる。
セルが結合されているなど行と列の構造が複雑な場合、見た目とは異なる表構造として認識されるケースもある。しかし、その場合でも手作業で1セルずつコピー&ペーストするよりははるかに効率的だ。紙の資料をスマートフォンで撮影し、その画像をPCに取り込んでSnipping Toolで開き表を抽出する、といった活用も実用的である。
テキスト認識と直接の関係はないが、同じキャプチャーツールバーに追加された「クイックマークアップ」機能も、スクリーンショットを扱う作業の効率化という点で覚えておきたい。
[Windows]+[Shift]+[S]キーでキャプチャーを開始すると、画面上部中央に表示されるキャプチャーツールバーに[クイックマークアップ]ボタンが用意されている。[切り取り領域]が[四角形]の場合に切り替えが可能だ([Ctrl]+[E]キーでも「オン」「オフ」を切り替え可能。一度「オン」にすると次回以降も「オン」の状態が維持される)。
これを有効にして範囲を選択すると、画像として確定・保存する前に、マークアップツールバーが表示され、その場で注釈を加えられる。用意されているのは「ボールペン」「蛍光ペン」「消しゴム」「図形」といった定番の描画ツールに加え、[共有]と[Bingで画像検索]のコマンドだ。
従来は、撮影してSnipping Toolのウィンドウで開いて編集という手順が必要だったが、クイックマークアップを使えば撮影と注釈がワンステップで完結する。そのままキャプチャーを実行することも可能だが、保存したりコピーしたりすることもできる。
注意点として、クイックマークアップ経由で[Bingで画像検索]や[共有]などのコマンドを使った場合、スクリーンショットが自動保存されたりクリップボードにコピーされたりはしない。画像を残したい場合は[キャプチャ]メニューで保存先(既定の保存/保存先を選択/コピーのみ)を明示的に選ぶ必要がある。
「クイックマークアップ」を使う(1)
「クイックマークアップ」を使う(4)
「クイックマークアップ」を使う(5)テキスト認識との組み合わせでは、「クイックマークアップで注釈を加えた画像をSnipping Toolで開き、テキストアクションでメールアドレスを黒塗りしてから共有する」といったワークフローが考えられる。説明用スクリーンショットの作成では、注釈・マスキング・保存までをSnipping Toolだけで完結できるわけだ。
クイックマークアップはバージョン「11.2508.24.0」から展開されている。
テキスト抽出機能は比較的新しく、段階的に展開されているため、環境によっては利用できないことがある。以下を順に確認するとよい。
Snipping Toolを開き、右上の[…]−[設定]を選択して「設定」画面を開き、「このアプリについて」欄でバージョンを確認する。テキストアクション自体はバージョン11.2308.33.0以降、[Windows]+[Shift]+[T]キーはバージョン11.2503.29.0以降が必要とされる。
バージョンが古い場合は、「Microsoft Store」アプリを起動し、[ライブラリ](または[ダウンロード])から[更新プログラムの確認]を実行し、Snipping Toolを最新化すればよい。
Microsoft StoreでSnipping Toolを更新するSnipping Toolが最新でも、Windows 11本体のビルドが古いと機能が有効化されない場合がある。「設定」アプリの[Windows Update]で更新を適用し、再起動後に再度、「Microsoft Store」アプリで更新を試すとよい。
[Windows]+[Shift]+[S]キーは動作するのに[T]キーだけ反応しない場合、他の常駐ソフトウェアがショートカットキーを横取りしている可能性がある。クリップボード管理ツールやキャプチャー系ユーティリティーを一時的に終了して確認するとよい。
認識精度は文字サイズやコントラスト、フォントに左右される。小さ過ぎる文字は、画面の表示倍率を上げてからキャプチャーすると認識率が向上する。また、日本語と英数字が混在する文書では、スペースの有無や全角/半角の扱いが期待と異なる場合があるため、抽出後のテキストは必ず目視で確認したい。
「画面に見えている文字は、もう打ち直さない」。この習慣が身に付けば、日々の細かな転記作業から確実に解放されるはずだ。まずは[Windows]+[Shift]+[T]キーを押してみてほしい。
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