「最大45%コスト減」 Anthropicが「Claude Fable 5.1」発表 脆弱性検知にも対応特定分野向けにセーフガードを調整した「Claude Mythos 5.1」も順次提供

Anthropicは、新AIモデル「Claude Fable 5.1」および「Claude Mythos 5.1」を発表した。キャッシュ読み取り価格の引き下げによりFable 5.1は最大約45%のコスト削減が見込めるとしている。脆弱性検知への対応など、セーフガードも一部変更されたという。

» 2026年09月05日 13時00分 公開
[@IT]

 Anthropicは、コーディングや知識作業向けの最新大規模言語モデル(LLM)「Claude Fable 5.1」および「Claude Mythos 5.1」を発表した(以後、Fable 5.1/Mythos 5.1)。同社は両モデルを「Claude」ファミリーにおける最上位モデルと位置付けており、推論・開発性能の向上をうたう。一般提供されるFable 5.1については、キャッシュ読み取り価格の引き下げにより、「従来モデル比で最大約45%のコスト削減が見込める」としている。

 Mythos 5.1は、基本となるAIの性能はFable 5.1と同等だが、サイバーセキュリティなどの専門分野に向けた独自の安全対策(セーフガード)が設定された限定提供モデルとなる。

 同社は今回のアップデートについて「性能強化に加え、価格、データ保持ポリシー、セーフガードの精度といったエンタープライズ顧客からのフィードバックに対応したものだ」と説明している。

キャッシュ読み取り価格を75%削減、自律型処理でコスト低減へ

 Fable 5.1では、トークン単位で課金されるワークロードにおいて、前世代モデル「Claude Fable 5」比で約25%のコスト削減が見込めるという。保存された入力コンテキストを再利用するキャッシュ読み取り料金が引き下げられたことによるものだ。

 キャッシュ読み取りの単価は、従来比75%減となる100万トークン当たり0.25米ドルに設定された。コンテキストやツールの利用頻度が高いAIエージェントの処理ではキャッシュ読み取りがコストの大半を占めるため、削減幅は最大約45%に達するという。なお、基本料金はFable 5と同額に据え置かれており、100万トークン当たり入力10米ドル、出力50米ドルとなっている。

2026年8月の実使用データに基づくFable 5と5.1のコスト比較。一般的な利用(Claude Enterprise/Code/API)と、キャッシュ読み取りが過半を占める高度なエージェント利用の2パターンで計測(提供:Anthropic) 2026年8月の実使用データに基づくFable 5とFable 5.1のコスト比較。一般的な利用(Claude Enterprise/Code/API)と、キャッシュ読み取りが過半を占める高度なエージェント利用の2パターンで計測(提供:Anthropic)

脆弱性の検知に対応、誤検知を60%削減

 実用性と安全性のバランス改善に向け、セーフガードが安全なプロンプトを誤って拒否する誤検知率が低減された。

 サイバーセキュリティ領域では判定精度が向上し、開発ツール「Claude Code」利用時の不要な介入がセッション当たり平均で約60%減少したという。この改善に伴い、Fable 5.1ではソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性の特定が正式に許可され、防御目的でのコード監査や脆弱性探索に同モデルを活用できるようになった。

 ただし、攻撃用コード(エクスプロイト)の作成など悪用リスクを伴う作業は、引き続き「Claude Opus」シリーズなどの別モデルへリダイレクトされる。

顧客のクラウド内でデータを完結させる「EFS」導入

 エンタープライズ向けには、モデルの不正利用を防ぎつつ高いプライバシーを確保する「Enterprise Frontier Safeguards」(EFS)が導入される。

 EFSは、Anthropicではなく顧客が完全に管理するクラウドインフラストラクチャ内にデータを保持する仕組みだ。2026年秋の後半からエンタープライズ顧客に向けて段階的に提供される予定で、利用可能になるまでの間、適格な顧客は「ゼロデータ保持ポリシー」の下でFable 5.1を利用できるとしている。

コーディング評価で前世代を上回るスコア

 同社によると、Fable 5.1は複雑な開発タスクで前世代モデルを上回るスコアを示したという。コーディングベンチマーク「Terminal-Bench 4.0」では55.8%を記録(Fable 5は42.0%、Opus 5は52.3%)した他、開発ツール「Cursor」の評価スイート「CursorBench 3.2」でも73.4%となり、前世代や上位モデルを上回ったとしている。

先行企業による検証結果

 先行アクセスに参加した企業からも検証結果が寄せられている。

 投資会社Millennium Managementは、エンジニアチームが数年間原因を特定できなかった社内システムのまれなクラッシュについて、Fable 5.1が外部ライブラリを解析して原因を特定したと報告。「Devin」を手掛けるCognition AIも、コストを抑えつつ同等以上の成果が得られたとして、コードレビューなどの処理をFable 5.1へ移行する方針を示している。

EU AI法への準拠とセキュリティ強化

 安全面と規制順守に関する取り組みも公表された。欧州連合(EU)の「EU AI法」に基づき、2026年8月以降にリリースされるモデルの出力テキストには不可視の電子透かし(ウオーターマーク)が埋め込まれる。API(アプリケーションプログラミングインタフェース)経由で内部推論プロセスを抽出・模倣する「蒸留攻撃」への対策として、新規APIアカウントに対する制限も適用されている。

提供環境

 Fable 5.1は、Anthropicの「Claude API」の他、「Amazon Web Services」「Google Cloud」「Microsoft Azure」を通じて一般提供が開始されている。特定用途向けのMythos 5.1は、審査を通過した組織を対象に「Cyber Verification Program」(CVP)をはじめとするプログラムを通じて順次提供される見通しだ。

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