リクルートの「新卒エンジニア」は何を学んでいるのか? 無料で公開した研修資料の中身大手サービスを支えるエンジニア教育の中身とは

新卒エンジニアは何を学ぶべきなのか――。明確な正解がない、その問いの答えを探るヒントとなりそうなのが、リクルートが無償で公開した自社の新卒研修資料だ。そこにはどのような学びが詰まっているのか。

» 2026年09月17日 11時00分 公開
[@IT]

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 リクルートは2026年8月5日、同社の技術ブログ「Recruit Tech Blog」のエントリ(投稿)で、新卒エンジニア向けの社内研修の内容を無償で公開した。「SUUMO」「ホットペッパービューティー」「じゃらん」など、同社が展開するサービスは多岐にわたる。今回のエントリからは、それらのサービスを支えるシステムに携わるエンジニアを、同社がどのように育成しているのかがうかがえる。

 エントリを執筆したのは、2026年度にリクルートに新卒入社したエンジニアの山口泰弘氏だ。エントリでは、リクルートが各講座で使用したスライドなどの研修資料の一部を、リンクで直接閲覧できるようにしている。対象となる知識領域は、特定のプログラミング言語や開発手法にとどまらず、開発プロセスやセキュリティ、AI活用など、エンジニアとして押さえておきたい幅広いテーマに及ぶ。

「新卒エンジニアは何を学ぶべきか」のヒントに リクルートの研修内容とは

 新卒エンジニアに対して、リクルートはどのような研修を実施しているのか。エントリの内容を基に、同社が公開した研修内容および研修資料を見ていこう。

 リクルートおよび、人材関連事業の開発を担うグループ会社のインディードリクルートテクノロジーズに配属される新卒エンジニアは、現場への配属前に「BootCamp」という約4カ月間の研修を受ける。エンジニアとして成長する土台の獲得や、仕事への向き合い方の習得、同期とのつながりづくりが目的だ。

 受講者は、入社前のスキルアセスメントテストの結果を基に習熟度別のクラスに分かれる。各クラスでは聴講型の講義に加えて、ハンズオン形式の演習やグループワークを組み合わせた研修を受ける。エントリによると、BootCampで実施したのは全21講座だ。エントリはこのうち、次の11講座・13個の研修資料を公開している(表)。

表 リクルートが公開した新卒エンジニア研修資料(Recruit Tech Blogの内容から抜粋)
講座名 資料名(スライド共有サイト「Speaker Deck」へのリンク)
エンジニアの心構え ・「ソフトウェアエンジニア人生サバイバルガイド
つくって納得、つかって実感!大規模言語モデルことはじめ ・「つくって納得、つかって実感! 大規模言語モデルことはじめ ver2.0
テスト駆動開発 ・「AI時代のTDD / TDD in AI Era 202604 Edition
ブラウザ ・「ブラウザ研修 2026
開発プロセス ・「事業価値と Engineering 2026年度版
・「制約理論(ToC)入門 2026版
・「トヨタ生産方式(TPS)入門
JavaScript研修 ・「JavaScript 研修 (2026)
TypeScript研修 ・「TypeScript入門 2026
モダンフロントエンド研修 ・「モダンフロントエンド 開発研修
WEBアクセシビリティ入門 ・「Webアクセシビリティ入門 2026
攻撃と防御で学ぶAI時代のプロダクトセキュリティ演習 ・「攻撃と防御で学ぶAI時代のプロダクトセキュリティ演習
アプリ開発の概論 ・「モバイルアプリ開発概論2026

 山口氏は特に印象に残った講座として、3つの講座を挙げる。1つ目の「エンジニアの心構え」は、テスト駆動開発(TDD)の実践者である、タワーズ・クエスト取締役社長の和田卓人氏が講師を務めた講座だ。研修資料は、エンジニアとしての長期的なキャリアの築き方やAIとの向き合い方を扱っている。

 2つ目の「開発プロセス」は、事業価値とエンジニアリングの関係や、AIによる開発の自動化がもたらすシステム開発の構造変化を扱った講座だ。AIによってシステムを「作る」コストが下がる一方で、開発後の維持・保守などに新たなボトルネックが生じる可能性がある。こうした変化を踏まえて、システム開発のプロセスそのものを考える内容になっている。

 3つ目の「攻撃と防御で学ぶAI時代のプロダクトセキュリティ演習」では、アプリケーションの脆弱(ぜいじゃく)性を突いて情報を取得する「CTF」(Capture The Flag)形式の攻撃演習と、見つけた脆弱性を修正する防御演習を実施した。これらの演習を通じて、脆弱性診断ツールを使った実践的な診断手法や、AIが生成したソースコードに潜むリスクを学んだという。

 エントリでは、BootCampを通じて山口氏が得た学びにも触れている。自身の思考プロセスを周囲に開示しながら進める「Working Out Loud」という考え方や、AIに頼り切らずに、対話を通じて理解を深めながら活用する姿勢の重要性などだ。

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