Excelマクロの改修を重ねた結果、中身を把握しているのが作成者だけになってしまうと、保守の足かせになりかねない。こうした状況をどうすれば解消できるのか。AIを使った効率化に挑んだIT企業の取り組みとは。
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NTTインテグレーション(旧・日本情報通信)子会社のディストリビューター、エヌアイシー・パートナーズ(以下、NICP)は、「Microsoft Excel」でVBA(Visual Basic for Applications)を使ったマクロ(以下、Excelマクロ)を作成し、取引先への提案時に使う見積もり算出ツールとして社内で運用してきた。
NICPは、見積もり算出の処理や判断に関する業務ロジックをExcelマクロに反映してきた。こうした業務ロジックの中には、仕様書だけでは詳細の把握が難しいものもあったことから、Excelマクロの改修時には作成者の知見に頼らざるを得ないことがあったという。Excelマクロの仕様を把握するには平均1〜3日程度を要しており、同社は属人化を解消する必要性に迫られていた。
状況を改善するために、NICPは見積もり算出ツールのWebアプリケーション化を進めることにした。そのために必要なExcelマクロの仕様把握にはAIを活用し、作業を大幅に効率化したという。どのように実現したのか。
NICPは、日本IBMの開発支援AIエージェント「IBM Bob」を利用し、見積もり算出用ExcelマクロのVBAソースコードを分析する仕組みを構築した。IBM Bobは、ソースコードの構造や処理内容、データ構造を分析し、Excelマクロの仕様を理解するためのドキュメントを生成できる。
担当者は、IBM Bobが生成したドキュメントを参照しながら、Excelマクロの既存の仕様を確認した。IBM Bobを利用することで、従来は平均1〜3日程度を要していた仕様把握を、約30分で完了できるようになったという。
NICPは整理した仕様を基に、見積もり算出の業務ロジックをWebアプリケーションとして再構築した。担当者は当初、移行可否の検討から実装、テスト、パフォーマンスチューニング、ドキュメント作成までの作業に約6週間を要すると見積もっていた。IBM Bobを活用した実際の作業は約2.5日で済んだ(図)。
IBM Bobの導入により、NICPはExcelマクロに組み込まれていた業務ロジックを可視化・整理し、将来的な機能追加や保守を、担当者の知識や経験に過度に依存せず進められるようにした。従業員は見積もり算出ツールをWebブラウザで利用できるようになった他、見積もりデータの蓄積や検索、過去実績の参照・再利用も可能になったという。
NICPはディストリビューターとして、今回の実践で得た知見を基に、業務資産の理解や可視化へのAI活用を他社にも広めたい考えだ。同社と日本IBMは2026年8月19日、本事例を発表した。
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