BMC Softwareは、メインフレームの利用実態をまとめた年次調査の結果を公表した。AI活用への関心が高まる一方、前年と比べてAIに作業の「実行」まで任せたいと考える人は減少している。AIとの向き合い方にどのような変化が起きているのか。
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ビジネスソフトウェアベンダーのBMC Softwareは、メインフレームの利用実態と今後の計画をまとめた調査レポート「2026 BMC Mainframe Survey Report」を公表した。同社が世界のメインフレーム実務者や意思決定者1300人超を対象に実施したグローバル調査で、2026年3月24日〜4月20日に回答を集めた。BMCは21年にわたってメインフレームコミュニティーへの調査を続けている。
今回の調査からは、グローバルではメインフレームが依然として重要な基盤として位置付けられ、投資や処理能力の強化が続いていることが分かる。その中で、新たな投資テーマとして存在感を増しているのがAIだ。ただし、「AIを使う」ことと「AIに任せる」ことは同じではない。AI活用が本番を意識した段階に進む中で、AIに任せたい役割にも変化が表れている。
調査によると、メインフレームへの信頼は高い水準を保っている。回答者の94%がメインフレームを長期的なプラットフォーム、あるいは新しいワークロードを載せる基盤と捉えており、同じく94%が投資を継続すると答えた。5万MIPS(Million Instructions Per Second)超の大規模ユーザーは、1000MIPS未満の小規模ユーザーや1001〜1万MIPSの中規模ユーザーよりも投資を増やす傾向が明確に強い。MIPSは、メインフレームの処理能力を示す指標だ。
汎用(はんよう)処理能力が拡大していると答えた割合は69%で、既存のメインフレームアプリケーションと、メインフレーム上のデータを利用する新しいアプリケーションが拡大をけん引している。
トランザクション量が増加または横ばいと答えた割合は83%、データ量が増加または横ばいは77%、データベース数が増加または横ばいは83%だった。大規模ユーザーでは、この3項目のいずれも65%超が増加と答えている。
今後1年の優先事項は2025年と変わらない内容だった。
BMCは、メインフレームが成長して新しいワークロードを引き付けると考え、今後12カ月でMIPSの増加を見込む層を「リーダー」と呼んでいる。この層では「コンプライアンス・セキュリティ」が61%、「AI技術の実装」が49%と、いずれも全体を上回った。
AIの実装が優先事項になる一方で、AIにどこまで作業を任せるかについては変化が起きている。
問題診断について、AIに「次に取るべき行動を推奨させたい」と答えた割合は、2025年の36%から2026年には41%へ上昇した。一方、「実行まで任せたい」は32%から23%へ9ポイント低下した。
同じ傾向は他の作業でもみられる。データベースの再編成では、「推奨させる」が37%から43%へ増えた一方、「実行まで任せる」は27%から21%へ減少した。バックアップ対象の判断でも、「推奨させる」が39%から40%へ微増したのに対し、「実行まで任せる」は28%から21%へ低下した。
AI活用への関心が高まる一方で、「実行」まで任せたいという意向はなぜ低下しているのか。
BMCは、AIに対する企業の姿勢が「熱狂」から、実際の成果を重視する現実的な段階へ移ったと分析している。メインフレーム部門の担当役員は、AIの能力に対する当初の興奮を経て、より慎重で現実的な姿勢を取り始めているという。
組織の関心も「AIをどう使えるか」から、「どこまで信頼できるか」「どう統制するか」「どこで測定可能な価値を生み出せるか」へ移っている。その結果、AIに分析や次の行動を推奨させながら、実際の実行には人が介在する「ヒューマンインザループ」(人間による確認・介入)を前提とした使い方が重視されるようになった。
一方、世代による違いもある。ミレニアル世代の回答者は他の年代と比べて、AIに実行まで任せることへの抵抗が小さく、文書化や知識継承にAIを使うことにも前向きだった。
こうした慎重姿勢の背景を考える上では、AIを実際の業務に導入する際の課題も見逃せない。
AIの実装で最も大きな懸念として挙がったのは、パイロットから本番環境へ移す際のコストだった。セキュリティ、規制・コンプライアンス、データ統合も上位に挙がっている。
特にメインフレームでは、前述の通り「コンプライアンス・セキュリティ」が今後1年の最優先事項となっている。AIで何ができるかだけではなく、実際の本番環境でどこまでAIに権限を与えるのかも重要な検討事項になっている。
BMCは、業務上の価値につながる成果に絞ってAIを適用することが、導入コストを正当化する上でも重要だとしている。
実際にメインフレームのどこでAIが使われているのか。
AIの用途はメインフレームの各分野に広がっている。データベースの再編成やIMS(IBMのメインフレーム向けデータベース・トランザクション管理システム)のキュー管理から、性能チューニング、問題検知、文書生成まで、生産性の向上、運用の簡素化、知識の保全、モダナイゼーションの加速につながる取り組みが進んでいる。
メインフレームにおける生成AIの用途は次の通りだった。
リーダー層が今後2年でAI投資を向ける先は、AIOps(AIを活用したIT運用)、アプリケーション開発、知識継承が中心だ。エージェント型のメインフレーム運用も上位に入り、40%がメインフレームを管理するエージェントの自作に、36%がサードパーティー製エージェントの利用に投資する計画だと答えた。
コードの理解、文書生成、知識の保全、レガシーアプリケーションの刷新に掛かる手間を減らすことで、AIはソフトウェア開発の進め方も変えつつある。コード管理については、回答者の40%がAIに対応を推奨させることに、23%が実行まで任せることに前向きだと答えた。
今後2年で投資する能力として最も多く挙がったのは、生成AIによる開発者支援だった。アジャイル開発とDevOpsの取り組みを改善するために必要な能力では、リーダー層の39%が開発者体験の向上を、38%が自動テストを挙げている。
BMCは、AIによって開発は加速するが、品質を伴わない速度はリスクを生むとして、自動テストをDevOps戦略の柱に据えるよう求めている。
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