問い合わせの管理にExcelやメールを使っている企業は少なくない。しかし件数や担当者が増えれば、対応状況を把握することは簡単ではなくなる。インフラ保守を手掛けるエイチ・シー・ネットワークスもこうした課題に直面していた。同社は従来の運用をどう変えたのか。
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顧客からの問い合わせを「Microsoft Excel」などの表計算ソフトウェアやメールで管理する方法は、手軽に始められる一方、問い合わせ件数が増えたり、担当者の交代があったりするたびに、対応状況を把握することが難しくなる。
こうした課題に直面していたのが、統合ITインフラベンダーのエイチ・シー・ネットワークスだ。同社は大学や病院、官公庁、公共機関などのネットワークインフラを24時間365日体制で保守しており、月間の問い合わせは350件規模になるという。
エイチ・シー・ネットワークスでは、1件のチケットで顧客とのやりとりが平均20回に上り、ベンダーや社内担当者、協力会社との連絡を含めると30回を超える。中には1年以上対応が続くケースもあり、多数の関係者が長期間にわたって対応する必要がある。
こうした問い合わせを、同社はメールやExcelの共有ファイル、受付番号発行システム、履歴管理システムを使い分けて管理していた。しかし、問い合わせ件数や取り扱う製品が増えるにつれ、従来の方法では対応状況を管理することが難しくなっていた。特に何が問題となり、問い合わせ管理をどのように見直したのか。
「Microsoft Outlook」のメールでは、問い合わせが現在どの段階にあり、誰が対応しているのかをチームで共有しにくかった。シフト交代時にはExcelの共有ファイルに状況を記録して引き継いでいたため、緊急性の高い障害と簡単な問い合わせを区別し、優先順位を付けて対応することも難しかった。
既存システムの老朽化も進み、年に数回停止して受付番号の発行や顧客への自動通知が止まることもあった。初回対応まで1〜2日かかる問い合わせもあり、月300件を超える問い合わせが見込まれる中、従来の運用では対応し切れない状況になっていたという。
そこで同社は、問い合わせ管理の仕組みを刷新した。2023年6月から複数のカスタマーサービス向けソフトウェアを比較し、「Zendesk」を導入した。
選定で重視したのは、既存の業務フローを大きく変えずに移行できることだった。問い合わせIDの自動付与や優先度・緊急度の可視化が可能で、従来の対応手順を再現できることなどを評価したという。
移行は一部のサービスから段階的に実施した。問い合わせによってはクローズまで数週間から数カ月かかるため、約1年間は新旧システムを並行して運用した。
大きく変わったのが、対応すべき問い合わせの把握方法だ。Zendeskの「ビュー」を使い、対応が必要なチケット、そのうち優先度が高いもの、ベンダーからの返信待ち、対応期限を過ぎたものなどを一覧で確認できるようにした。
これによって、従来は翌日まで残ることもあった未対応チケットについて、当日中に積み残しをなくす運用を実現したという。シフト交代時にも画面を確認すれば残っている対応を把握できるため、Excelの引き継ぎメモに依存する必要がなくなった。
もう一つ効率化につながったのが、問い合わせ先となるベンダーの情報管理だ。同社が扱う製品の問い合わせ先は300以上あり、宛先や問い合わせフォーマットもそれぞれ異なる。従来はExcelの一覧から必要な情報を目視で探していたが、Zendeskの「マクロ」に登録し、ベンダー名から呼び出せるようにした。
導入時に17人だったチームは現在15人体制となった一方、月間問い合わせ件数は約300件から400件近くまで増加した。同社によると、対応件数当たりで見た生産性は約40%向上したという。
初回応答についても、全ての問い合わせを1時間以内に確認して返信する目標を設定した。分析機能を使って目標時間を超えたチケットを毎月抽出し、原因を確認することで、数カ月で応答遅延を大きく減らしたとしている。
同社は今後、「Zendesk AI」をオペレーター支援に活用する。長期間にわたる問い合わせをAIで要約し、経験の浅い担当者でもいきさつを把握しやすくする他、問い合わせの優先度や重要度の自動判定、顧客とのやりとりから状況を検知して管理者に通知する仕組みなどを検討している。Zendesk上でナレッジを構築し、AIを使った一次解決率の向上にも取り組むとしている。
Zendeskが2026年8月17日に本事例を公表した。
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