生成AIやAIエージェントの普及によって、企業のIT投資や人材採用、業務ツールの在り方が大きく変わろうとしている。Gartnerの予測を基に、今後企業のIT投資や運用で起こり得る変化を押さえておこう。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
生成AIやエージェント型AIの普及は、企業の業務効率化にとどまらず、IT投資や人材採用、業務ツールの在り方にも影響を及ぼし始めている。企業のIT部門は、こうした変化にどう対応すべきなのか。
調査会社Gartnerが2026年9月22日(現地時間)にインドで開催した「Gartner Data & Analytics Summit 2026 India」の講演を基に見てみよう。
講演では、生成AIやAIエージェントの普及によって、企業のIT投資や人材に求めるスキル、業務効率化ツールが今後どのように変わるのかについての予測が示された。いずれも大きな変化が見込まれている。
Gartnerのプラサド・ポレ氏(シニアディレクターアナリスト)は、AI向けのデータを整備する上で、非構造化データの扱いが欠かせないと指摘した。
ポレ氏によると、生成AIやエージェント型AIのユースケースのほぼ全てで、組織は大量の非構造化データを抽出し、品質を評価し、適切に管理する必要がある。AIにデータを活用させるには、構造化データだけでなく、文書や画像、音声、動画などの非構造化データも扱えるデータ管理の仕組みが求められる。
こうした変化に伴い、データ管理への投資も拡大する見通しだ。Gartnerは、2027年までに、多様な構造のデータの管理に焦点を当てたIT支出が、データ管理技術・サービスへの支出総額の40%を占めるようになると予測している。また、2025年から2029年にかけて、AI関連支出に占めるAI向けデータ整備の支出割合は7倍に増えるという。
データ管理の仕組みを独自に構築することには、コスト面のリスクもある。
Gartnerは、2028年にかけて、AIやデータサイエンス、データ管理の責任者が、非構造化データ向けのメタデータ管理の仕組みを自前で構築しようとする結果、既存の文書・記録管理システムや、これまで培ってきた技術・運用ノウハウを活用する場合と比べて、コストが300%超高くなると予測している。
AI向けのデータ整備を進める際には、新たな仕組みの構築だけでなく、既存のデータ管理技術や運用ノウハウをどこまで活用できるかが重要になりそうだ。
Gartnerのディーパック・セス氏(シニアディレクターアナリスト)は、データ&アナリティクス(D&A)に関する主要な予測を紹介した。
その一つが、人材採用におけるAI活用能力の評価だ。Gartnerは、2027年までに、採用プロセスの75%で、職場におけるAI活用能力を証明する認定資格や試験が選考に組み込まれると予測している。
AIを使いこなす能力が、採用時に評価される重要な要素になる可能性を示す予測だ。企業にとっては、人材に求めるスキルや、その評価方法を見直す契機となりそうだ。
さらに、AIの普及は、企業が日常的に利用する生産性ツールの市場にも影響を及ぼすいう。
Gartnerは、2027年にかけて、生成AIとAIエージェントの利用が、オフィススイートなどの主流の生産性ツールにとって、この30年で初めての本格的な脅威になると予測している。これによって、580億ドル規模の市場再編が引き起こされるという。
長年にわたって企業の業務を支えてきたオフィススイートなどのツールも、生成AIやAIエージェントの普及によって、その位置付けが変わる可能性がある。
企業のIT部門にとって、AIへの投資をどのように進めるかだけでなく、既存のデータ管理基盤や業務ツールを今後どう位置付けるか、人材にどのようなスキルを求めるかも、検討すべき課題となりそうだ。
関電工が“AIありき”から脱却し、「1〜2週間→数十分」に工事費計算を高速化 その方法は?
「だからExcel管理ではうまくいかない」――AIの成否を分けるマスターデータの在り方
モデルは問題にはならない、SnowflakeとNTTデータが語る「AIで差がつく真の要因」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.