効果的に指示するためのタイプ分け法(前編):ITエンジニアのチームリーダーシップ実践講座(6)(2/2 ページ)
Aさんに効いた方法がBさんには通じない―― メンバーへの指示の出し方、評価の仕方に悩んでいるリーダーは少なくないだろう。メンバーの個性に合わせたアプローチ法を、2回にわたって紹介する
NLP(深層心理)
家族、同僚、上司など、いろいろな人を思い浮かべてみてください。何か思いをめぐらすようなシーンで、(1)上目遣いになる、(2)横目でちらっと見る、(3)うつむいて考えることが多い、というような特徴はないでしょうか。そして、あなた自身はどうでしょうか?
次の質問に答えて、この(1)(2)(3)のどのタイプか、例えば(1)の傾向が強いとか、(1)と(3)の両方の傾向が強いなど、自己チェックしてみましょう。
それぞれの質問に対し、ブラウザーから視線を外して、実際に考えてみてください。目に意識を向けて、自分の目が上を向いた場合は(↑)を、下を向いた場合は(↓)を、いずれでもない場合は(−)を、それぞれの回答欄にメモしてください。
8問終わったら、↑、↓、−の数をそれぞれ集計してください。
↑の合計数が多い人は視覚タイプ、−の合計数が多い人は聴覚タイプ、↓の合計数が多い人は触覚タイプです。2つ以上のタイプを併せ持つ人も多くいます。あなたは、どのタイプでしたか?
人はものを考えるとき、無意識のうちに目が動くので、どの方向へ動くかによって「無意識の自分」のタイプが分かります。
人間の脳は、機能ごとに使われる場所が決まっています。脳の視覚をつかさどる機能は目の後ろの後頭部にあります。視覚タイプの人は、ものを考えるとき、視覚領域を内なる目で見ようとして、無意識のうちに上目遣いになるといわれています。
一方、脳の聴覚をつかさどる機能は、側頭部(耳の近く)にあります。ちなみに、右耳から得た音は左側頭部、左耳から得た音は右側頭部の聴覚領域で処理されます。無意識に目が横を向く、あるいはほとんど目が動かない人は、この聴覚エリアを目で追っていると推測されます。
触覚タイプの人は、視覚・聴覚以外の感覚に頼る傾向が強いとされています。触覚タイプには、臭覚・味覚も含みます。自分で手応えを得て納得するタイプなので、情報を自分の内部に受け入れるように、うつむき加減になるといわれています。
NLPによるタイプ分けの活用例
視覚タイプの人は、文字通り目で見ることに価値を覚えるので、仕事の指示や説明をするとき、図解するなど目に見えるアプローチを多用すると効果が上がります。
聴覚タイプの人には、言葉で説明するのが効果的です。もちろん誰にとっても、設計書を文章で書き連ねるより、適切にケース図やフローチャートなどで図示した方が理解が進みます。しかし、より単純なケースの場合、聴覚タイプの人には、わざわざ時間をとって目の前で図示するよりも、後で読み返せるような文字による記録の方がありがたがられます。あるいは印象に残るキーワードをしっかりと説明の中に埋め込むと、分かりやすい説明と受け止められます。
触覚タイプの人は、見たり聞いたりするだけでなく、自分で確かめることに価値を感じるので、口頭で指示するだけでなく、目の前でお手本を見せたり、メンバーに実際に試してもらいながら説明すると、より理解が進みます。
「価値観」「深層心理」によるタイプ分けは、いかがでしたでしょうか? 次回(2014年1月掲載)は、HBDI(思考の癖)によるタイプ分けについて、詳しく説明いたします。
筆者プロフィール
上村有子
エディフィストラーニング インストラクター。外資SIer、証券会社を経て2000年に野村総合研究所入社。現在、情報化戦略、コンプライアンス、ビジネスコミュニケーション領域のコース開発、講師。専門分野はBA(ビジネスアナリシス)、コミュニケーション。
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