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第7回 Mac上で仮想化技術を使ってWindows OSを実行させるWindowsユーザーのためのMac入門

Macの仮想化ソフトウエアを使ってWindows OSを実行してみる。全画面表示にすれば、MacBook AirがWindows PCに早変わりする。

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Mac上でもWindows OSが必要なこともある?

 MacBook Airを使っていても、過去の資産を活用するためにWindows OSを利用したいということもあるだろう。また社内のアプリケーションがOS X(以下、Mac OS Xと記す)に対応していないなどで、どうしてもWindows OS環境が必要になるということもあるだろう。

 Macでは標準で「Boot Camp(ブートキャンプ)」という、Mac上でWindows OSを起動させるための機能が提供されており、Mac OS XとWindows OSを切り替えて利用できる。この機能を使えば、MacBook AirでもWindows OSが利用できるのだが、Windows OSを使うためにいちいちOSを切り替えるための再起動が必要になるし、2つのOSを同時に利用することもできない。

 Boot Campについては次回紹介するつもりだが、今回は、仮想化技術を利用してMac OS X上でWindows OSを使う方法を解説していこう。

 なお今回より、Mac OS Xを10.10 Yosemite(ヨセミテ)へアップデートしている。App Storeでイメージのダウンロードからインストール完了まで30分ほどかかった。ちょうどWindows Updateによるサービスパックをインストールするような印象で、10.9 Mavericks(マーベリックス)からアップデートできる。

主なMac対応の仮想化ソフトウエア

 Mac OS X向けの主な仮想化ソフトウエアには、下表の3つがある。

製品名 メーカー 価格 URL
VMware Fusion 7 ヴイエムウェア 7890円
Parallels Desktop Parallels 8500円
VirtualBox Oracle 無償
主なMac OS X向けの仮想化ソフトウエア

 この他にもLinuxを利用するのであれば、Mac OS X 10.10で実装された仮想化技術のHypervisor.frameworkを利用する「xhyve」などもあるが、現時点ではWindows OSがサポートされていないようだ。

 VMware Fusion 7は、WindowsアプリケーションをDockやLaunchpadから直接起動し、Macアプリケーションと同じようにExpose(エクスポゼ)などによる表示や、Boot CampパーティションをインポートしたWindows OSを仮想マシンとして起動することなどが可能である。

 またParallels Desktopは、「Coherenceモード」という表示モードがあり、Windowsデスクトップを隠したままWindowsプログラムを表示できる。これにより、WindowsプログラムをMac OS Xのアプリケーションのように扱うことが可能だ。

 どちらの仮想化ソフトウエアも有償だが、試用できるので、購入前に試してみるとよいだろう。

VirtualBoxを使ってみる

 これに対し、VirtualBoxはごく普通の仮想化ソフトウエアで、Parallels DesktopやVMware Fusionのように特筆すべき機能はないが、必要十分な機能は持っており、無償で利用できる。Mac OS X上で、ごくたまにWindows OSが利用したい程度ならば、VirtualBoxでも十分ではないかと思う。今回はVirtualBoxをインストールして、仮想マシンとしてWindows 8.1を動かしてみる。なおWindows 8.1 Enterpriseの評価版は、以下のURLで入手できる。実際に仮想マシン上にインストールして実用になるかどうか試したいのであれば、この評価版を使うとよいだろう。

 まずMac OS X用のVirtualBoxをダウンロードして、セットアップしよう。

 Safariで上記のURLを開き、「VirtualBox 5.0 for OS X hosts」の「amd64」のリンクをクリックし、インストーラーの「VirtualBox-5.0.0-101573-OSX.dmg(原稿執筆時点のダウンロードファイル)」をダウンロードする。このファイルを実行すると、以下のダイアログが表示されるので、「Double click on this icon:」のアイコンをクリックすると、VirtualBoxがインストールできる。

VirtualBoxのインストーラーの画面
VirtualBoxのインストーラーの画面
ダウンロードしたVirtualBoxのインストーラーを起動する。「Double click on this icon:」のアイコンをクリックすると、VirtualBoxのインストールが開始される。
  (1)このアイコンをクリックする。

Windows Server Insiderの関連記事
連載 仮想PCで学ぶWindowsシステム管理「Oracle VM VirtualBoxを使う

 Windows OS上でVirtualBoxを利用していれば、仮想マシンの作成方法などはMac OS X版でも同じなので戸惑うことはないだろう(Windows版Virtual Boxについては関連記事参照)。簡単にWindows OSの仮想マシンを作成する方法を紹介しておこう。

 LaunchpadからVirtualBoxを起動し、VirtualBoxマネージャーの[新規]アイコンをクリックするとウィザードが開くので、指示に従って仮想マシン用のWindows OSのバージョンを選択したり、メモリサイズを設定したりする。

 Windows 8.1をインストールするなら、メモリは最低1Gbytes(2Gbytesを推奨)、ディスクは最低20Gbytes程度(40Gbytes程度を推奨)割り当てておきたい。またMacBook Airはメモリ容量もSSDの容量も制限があるので、なるべくリソースを消費しないように32bit版をインストールするとよい(VirtualBoxのデフォルト設定では、32bit版では1Gbytesメモリ、64bit版では2Gbytesメモリが割り当てられる。ディスク容量はいずれも25Gbytesが必要とされる)。

VirtualBoxマネージャーの「新規」画面
VirtualBoxマネージャーの「新規」画面
VirtualBoxマネージャーを使って仮想マシンを新規に作成する。
  (1)VirtualBoxマネージャーの[新規]アイコンをクリックする。
  (2)仮想マシンの名前を入力する。
  (3)Windows OSのバージョンをプルダウンリストから選択する。

 「物理ハードディスクにあるストレージ」で「可変サイズ」と「固定サイズ」が選択できるので、SSDの容量が小さいMacBook Airでは「可変サイズ」を選択しておくとよい。「可変サイズ」にしておくと、必要に応じて設定したディスク容量まで物理ハードディスク(SSD)の領域を消費するようになるので、ディスク容量を節約できる。これで仮想マシンが作成できるので、ここにWindows OSをインストールする。

VirtualBoxマネージャーの[新規]ウィザードの「物理ハードディスクにあるストレージ」画面
VirtualBoxマネージャーの[新規]ウィザードの「物理ハードディスクにあるストレージ」画面
ここで「可変サイズ」と「固定サイズ」が選択できる。「可変サイズ」にしておくと、必要に応じて物理ハードディスク(SSD)の領域を消費するように設定される。SSDの容量が小さいMacBook Airでは「可変サイズ」を選んでおくとよい。
  (1)「可変サイズ」を選んでおくとよい。

 Windows OSをインストールするには、インストールディスクを仮想マシンにセットする必要がある。そこでVirtalBoxマネージャーの左ペインで作成した仮想マシンを選択し、[設定]アイコンをクリックする。仮想マシンの設定ダイアログが開くので、[ストレージ]タブを選択して、「ストレージツリー」の「空」となっているディスクアイコンを選ぶ。右ペインの「光学ドライブ」の右側にあるディスクアイコンをクリックし、表示されたメニューから[仮想光学ディスクファイルを選択]を選択する。[開く]ダイアログでISOイメージのインストールディスクを選択して、仮想光学ドライブにインストールディスクをセットする。

VirtualBoxマネージャーの[設定]−[ストレージ]タブ画面
VirtualBoxマネージャーの[設定]−[ストレージ]タブ画面
インストールディスクを仮想マシンにセットする。
  (1)[ストレージ]タブを開く。
  (2)「ストレージツリー」の「空」となっているディスクアイコンを選ぶ。
  (3)ディスクアイコンをクリックする。
  (4)[仮想光学ディスクファイルを選択]を選択する。

 あとはVirtalBoxマネージャーの左ペインで仮想マシンを選択してから[起動]アイコンをクリックすれば仮想マシンが起動され、Windows OSのインストーラーが自動的に実行される。通常のWindows OSのインストールと同様、インストールウィザードに従って進めていけば仮想マシンへのWindows OSのインストールは完了する。

 ただ、この状態では仮想マシン内のWindows OSの画面解像度がMacBook Airの画面サイズに合わせられず、仮想マシンを全画面表示にすると左右に空きができたり、スクロールが必要になってしまったりする。

仮想マシン上のWindows 8.1実行画面(1)
仮想マシン上のWindows 8.1実行画面(1)
このようにGuest Additionsをインストールしていない状態では、画面解像度の選択肢が少なく、MacBook Airの画面サイズに合わせられない。
  (1)1024×768ピクセルでは、左右に空きができてしまう。解像度を高くすると、スクロールが必要になるなど、使い勝手はあまりよくない。
  (2)選択できる解像度が少ない。

 この問題を解消するには、Guest Additionsをインストールすればよい。VirtalBoxのメニューバーで[Devices]−[Insert Guest Additions CD Image]を選択すると、D:ドライブにGuest Additions(ゲストOSを最適化するデバイスドライバーやアプリケーションで構成されるツール類)のインストールイメージがマウントされるので、D:ドライブアイコンをダブルクリックしてインストールを行う(デフォルトの状態でウィザードを進めて行けばよい)。

 Guest Additionsのインストールが完了すれば、仮想マシンが全画面(1366×768ピクセル)で表示できるようになる。VirtalBoxのメニューバーの[View]−[Full Screen]を選択すると、Mac OS XのデスクトップやDockが隠れて、画面全体でWindows OSが使えるようになる。この状態だと、ほとんどWindows PCを利用しているのと変わらなくなる。さらに、Mac OS Xと仮想マシン上のWindows OSとの間でクリップボードを使ったコピー&ペーストや、共有フォルダーを使ったファイルのやりとりもできるので、Mac OS X上で途中まで作業し、その後の処理をWindows OS上で行うといった使い方も可能だ。

仮想マシン上のWindows 8.1実行画面(2)
仮想マシン上のWindows 8.1実行画面(2)
Guest AdditionsをインストールするとMacBook Airに合わせた画面解像度が選択される。仮想マシンをウィンドウモードで起動すると、このように1366×646ピクセルに設定される。フルスクリーンモードにすると、MacBook Airの画面解像度に合わせて1366×768ドットに動的に変更される。
  (1)ウィンドウモードでは画面サイズに合わせて画面解像度が設定される。この画面の場合は、1366×646ピクセルに設定されている。

 ただ、MacBook Airのタッチパッドには右クリックがないため、Windows OSで右クリックを行うには[command]キー+クリックとしなければならない。また、コピーやペーストの際のショートカットキーが、Mac OS Xでは[command]+[C]/[V]なのに対し、仮想マシン上のWindows OSでは[control]+[C]/[V]となるなど、若干使いにくいところもある。なお右クリックがない点については、Windows用マウスを接続すれば改善できる。ショートカットキーの問題は、Windows OS上でキーアサインを変更するツールを使って、[command]キーと[control]キーを入れ替えるなどすれば解決しそうだ(まだ試していないが)。

 この他にも[Windows]キーや[Backspace]キーなど、MacBook Airのキーボードに存在しないキーもある。これらのキーは、仮想マシン上のWindows OSでは下表のキーに割り当てられている。

機能 Windowsキーボード MacBook Airキーボード
Windows [Windows] [command]
Enter [Enter] [return]
Backspace [Backspace] [delete]
Alt (左) [Alt](左) [option]
Alt (右) [Alt](右) [option]+[control]
Print Screen [Print Screen] [fn]+[shift]+[F11]
アクティブウインドウのプリント [Alt]+[Print Screen] [fn]+[shift]+[option]+[F11]
Scroll Lock [Scroll Lock] [fn]+[shift]+[F12]
Pause/Break [Pause] [fn]+[esc]
Insert [Insert] −(なし)
Number Lock [Num Lock] [fn]+[F6]
Forward Delete [Delete] [fn]+[delete]
Windowsキーボードに相当するMacBook Airキーボードの割り当て

 これらは「慣れ」の問題もあるし、仮想マシンのWindows OS上でキーアサインを変更するツールなどを利用すれば、より使いやすくできるので、それほど問題にはならないだろう。

 このように仮想化技術を使えば、比較的簡単にMacBook Air上でもWindows OSが利用できるようになる。全画面表示にすれば、前述のキー配置の問題はあるものの、ほぼWindows PCとしても利用可能だ。当然ながらWindows PCで使い慣れたアプリケーションも使えるので、いざというときのために仮想環境を用意しておくとよいだろう。

 なおMac OS X上のChromeリモートデスクトップの機能は、仮想マシン上のWindows OSにも有効なので、MacBook Air上のChromeリモートデスクトップに接続すれば、Mac OS X上のWindows OSもリモートで利用できる(Chromeリモートデスクトップについては、「外出先からPCを遠隔操作、『Chromeリモートデスクトップ』のお手軽度」参照のこと)。

Windows PCからChromeリモートデスクトップで接続したMacBook Airの画面
Windows PCからChromeリモートデスクトップで接続したMacBook Airの画面
Chromeリモートデスクトップは、仮想マシンに対しても有効である。そのため、このようにMac OS Xとその上で動作しているWindows OSも、Mac OS XにインストールしたChromeリモートデスクトップを使って操作できる。
  (1)Chromeリモートデスクトップで接続したMacBook Airの画面。
  (2)Chromeリモートデスクトップで共有していることを示す表示。

 次回はBoot Campを使って、MacBook Air上でWindows OSを起動する方法を紹介する。


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