MacBook Airの初期設定や環境構築を行い、Windows環境からの移行を行う。Windows OSで使い慣れたアプリケーションの代わりは見つかるのか、どこまでMacBook Airでこれまでと同様の環境が構築できるのか。
前回はMacBook Airのハードウェア構成について見てきたが、今回からMacBook Airの環境設定を行っていく。初期設定の方法やアプリケーションのインストール方法など、Windowsユーザーが乗り越えなければならない山は高そうだ。
ところで最近、Mac OS X(アップルは、最近のバージョンでは単に「OS X」と呼んでいるが、分かりにくいので「Mac OS X」と表記する)は、「OS X v10.9 Mavericks」から「OS X v10.10 Yosemite」にバージョンアップしている。MavericksからYosemiteへは無料でバージョンアップ可能だが、本連載では、アプリケーションのインストールなどの環境整備が終了してからYosemiteへのバージョンアップについて触れることにする(OSのバージョンアップ方法なども解説する)。
Mac OS Xの初期設定は、Windows 8.1などよりも簡単なくらいだ。最初に電源を入れると、[ようこそ]画面が現れるので、ここで[日本]が選択されていることを確認し、[続ける]ボタンをクリックする。その後、ウィザードに従い、キーボード入力環境とWi-Fiネットワークを次々と設定していく。
[このMacに情報を転送]画面では、別のMacやWindows PCからデータを移行できる「移行アシスタント」という機能が実行できる。Windows PC上のWindows LiveメールやOffice Outlookのメールアカウント情報、「\Windows」と「\Program Files」のシステムフォルダーを除くフォルダーやファイルをMac上に転送可能だ。写真やドキュメント類などを転送しておくとよいだろう。ただ、初期設定の完了後でも「移行アシスタント」ツールを使って転送できるので、[今は情報を転送しない]を選択しておいて、後からゆっくりとこれらを転送してもよい。
次の[Apple IDでサインイン]画面では、すでに持っているApple IDでサインインする。Apple IDは、iCloud(アップルのクラウドサービス)にコンテンツを保存したり、App Storeからアプリケーションをダウンロードしたりする際に利用するものだ(Windows 8.1などのMicrosoftアカウントに相当する)。すでにiPhoneなどを持っている場合は入力すればよいが、後からでも入力可能なので、ここはスキップしてもよい。ここでApple IDを作成することも可能だ。
[利用条件]画面で利用条件に同意後、コンピュータアカウントを作成する。Windows 8/8.1ではMicrosoftアカウントでサインインするように設定すると、コンピュータアカウントの作成は不要だが、Mac OS Xの場合はApple IDでサインインした場合でも、別途コンピュータアカウントの作成が必要になる。
次の[Macを登録]で、Macの登録を行うと、製品についてのニュースなどがアップルから送られてくるようになる。先ほどの[Apple IDでサインイン]の画面でApple IDを登録した場合は、「このMacをApple IDに登録]と[登録しない]のいずれかの選択となる。なお、Macの登録の有無は、修理サービスやサポートとは関係ないので登録しなくてもよい(アップル製品の修理サービスやサポートはシリアル番号に関連付けられているため)。
これで初期設定が完了し、Mac OS Xのデスクトップ画面が表示される。当然ながらWindows OSとは画面デザインや操作方法などが異なるが、画面下側に配置された「Dock」と呼ばれるWindows OSのタスクバーのようなものからよく使うアプリケーションが起動できるなど、Windows OSと似たところもあり、少し使えば慣れそうだ。
Mac OS Xの最低限しておいた方がよい設定を行っておこう。
Finderとは、Windows OSのエクスプローラーに相当する、ファイルを操作するためのプログラムのことだ。Mac OS XもWindows OSと同様、Finderのデフォルト状態ではファイル名の拡張子が表示されない。アイコンなどでファイルの種類などが判別できるため、必ずしも拡張子を表示する必要はないが、長年Windows OSで拡張子を表示していたことから、ファイル名に拡張子がないと不安を感じてしまうユーザーも少なくないだろう。
デスクトップ画面上部の[メニューバー]の[Finder]をクリックし、メニューから[環境設定]を選択する。[Finder環境設定]ダイアログが開くので、ここで[詳細]タブを開き、「すべてのファイル名拡張子を表示」にチェックを入れればよい。
デフォルトでは、ファイアウォールが無効(「切」)になっている。そこで、ファイアウォールを有効にして、セキュリティを高めよう。
Dockの[システム環境設定]アイコンをクリックし、[システム環境設定]ウィンドウを開く。ここで[セキュリティとプライバシー]アイコンをクリック後、[セキュリティとプライバシー]ダイアログの[ファイアウォール]タブを開く。
ここの設定を変更するには、ダイアログ左下の「変更するにはカギをクリックします。」の前にある[カギ]アイコンをクリックし、ロックを解除する必要がある。ロック解除には、名前(入力済み)とパスワードの入力が求められるので、ここでサインインの際のパスワードを入力し、[ロックを解除]ボタンをクリックする。これで設定変更が可能になるので、[ファイアウォールを入にする]ボタンをクリックし、ファイアウォールを有効にする。[変更できないようにするにはカギをクリックします。」の前にある[カギ]アイコンをクリックしてロックを掛けておく。
必須ではないが、メニューバーに「ファストユーザスイッチメニュー」を表示するようにすると、複数のユーザーアカウントを切り替えたり、[ユーザとグループ]ダイアログを素早く開いたりすることができる。
[システム環境設定]−[ユーザとグループ]−[ログインオプション]をクリックし、ロックを解除後、「ファストユーザスイッチメニューを表示」にチェックを入れ、「方法」を「フルネーム」「アカウント名」「アイコン」のいずれかから選択する。「フルネーム」や「アカウント名」に設定すると、メニューバーに名前が表示されてしまうので、「アイコン」に設定しておくとよい。すると、メニューバーに人型のアイコンが現れ、そこをクリックすると、ログインウィンドウに切り替えたり、[ユーザとグループ]ダイアログを開いたりできる。
当然ながらMacでは、慣れ親しんだWindows OS環境のアプリケーションが使えない。そこで、代わりとなるMac OS X環境のアプリケーションを探さなければならない。Windows OS環境では圧縮・解凍ツールやDropbox、Evernoteなどを含め、実にさまざまなアプリケーションを使っているが、それらと同等のものをMac OS X上に一度にそろえるのは簡単ではなさそうだ。そこで、Windows OSでよく使うアプリケーションのみそろえてから、その他のアプリケーションは必要になってから順次、探すことにする。
筆者のWindows OSの利用状況を振り返ると、主に下表のようなアプリケーションをよく使っている。
カテゴリ | アプリケーション名 | Mac OS X上の標準アプリケーション |
---|---|---|
日本語入力システム | Office IME | ことえり |
メールクライアント | 秀丸メール | メール |
Webブラウザー | Mozilla Firefox、Google Chrome、Internet Explorer | Safari |
テキストエディター | 秀丸エディタ、メモ帳 | テキストエディット |
Officeスイーツ | Microsoft Office | Pages/Numbers/Keynote |
画像ソフトウェア | Photoshop Elements | プレビュー |
リモートデスクトップ | リモートデスクトップ接続(Windows OS標準) | Apple Remote Desktop 3 |
仮想化ソフトウェア | Oracle VM VirtualBox、Windows Virtual PC | − |
Windows OSでよく使うアプリケーションと対応するMac OS X標準アプリケーション 個人的にWindows OS上でよく使っているアプリケーションと、それに対応するMac OS X上のアプリケーションを列挙してみた。 |
このように仮想化ソフトウェアを除けばMac OS Xに標準で装備されている。ただWindows OSで使い慣れたソフトウェアとは異なるので、可能であればより慣れた使いやすいものを導入しておきたい。
日本語入力システムは、ことえりに慣れるか、Google日本語入力に移行してみるというのも手だ。これについては、おいおい考えることにした。
メールクライアントは、単純に設定の移行だけでは済まず、過去のメールデータや連絡先、メールフィルター、迷惑メールの設定など簡単には済みそうにない。メールクライアントの移行については、次回以降、改めて検討することにする。
WebブラウザーのMozilla FirefoxとGoogle Chromeは、どちらもMac OS X向けにもほぼ同じものが提供されているので、Internet Explorer(IE)を除けば、環境がそろえられそうだ。以下のダウンロードページからMozilla FirefoxとGoogle Chromeのディスクイメージ(インストールパッケージ)「Firefox <バージョン番号>.dmg」「googlechrome.dmg」をダウンロードして、Mac OS Xにインストールする。
Windows OSの場合は、インストールパッケージを実行すると、ウィザードが起動し、指示に従って進めていけばインストールが完了する、という手順となる。Mac OS Xの場合は、dmgファイルが展開され、アプリケーションアイコン(<アプリケーション名>.app)とアプリケーションフォルダーが表示されたFinderウインドウが開くので、アプリケーションアイコンをアプリケーションフォルダーにドラッグするとインストールが完了する(Microsoft Office for Mac 2011などのように、インストールウィザードを使ってインストールするアプリケーションもある)。
Mozilla FirefoxはFirefox Syncで、Google ChromeはGoogleアカウントでGoogle Chromeにログインすることで、それぞれの設定が同期できる。Google Chrome上に環境を構築していれば、Google ChromeをインストールするだけでWindows OSからMac OS Xへの移行が完了してしまうことになる(Mac OS Xに限らず、LinuxやChromebookなどにも簡単に移行できる)。今回のWindows PCからMacBook Airへの移行に際して、なるべくクラウドサービスの利用についても検討してみたいと思う。
テキストエディターは、Mac OS Xにもフリーソフトウェアで使いやすいものがあるようだ。その中でも「mi」と「CotEditor」が比較的評判がいいようなので、以下のページからインストールパッケージをダウンロードして両方ともインストールしてみた。両方を使ってみて、自分の使い方に合った方を残すようにするつもりだ。
残りのOfficeスイーツと画像ソフトウェア、リモートデスクトップは、Mac OS X標準のアプリケーションを利用し様子を見てみることにした。Officeスイーツについては、Microsoft Officeとの互換性の問題が生じた場合、Mac OS X用のMicrosoft Officeのパッケージを購入してインストールする必要があるかもしれない。
これで取りあえずの環境が整ったことになる。後は「習うより慣れろ」で使ってみて設定を変更したり、アプリケーションをインストールしたりしようと思う。次回は、メール環境を整えていこうと思う。
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