大阪編:U&Iターンを超えた「フラットな世界」へ――楽天大阪支社のグローバルプロジェクト:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(22)(2/3 ページ)
大阪&東京&仙台&台湾&ベトナム&インド&中国。海外を含む7拠点でバーチャルチームを組んで開発を行う「台湾楽天市場」の開発チームは、どのような工夫をしているのだろうか。
複数拠点プロジェクトをうまいこと進めるポイント
複数拠点プロジェクトを進めるためにわれわれが気を付けているポイントをお伝えします。
ドキュメント大事!
「アジャイルソフトウェア開発宣言」では「完全なドキュメントよりも、動くソフトウェア」を重視していますが、口頭でのラフなコミュニケーションに制約がある分、われわれは意識的にドキュメントを残すようにしています。
タスク単位での仕事のトラッキング、それにまつわるディスカッションは、チケット管理システム(Atlassian社の「JIRA」を使っています)へ、合意した仕様、アーキテクチャなどの決まった情報は、社内Wiki(同じくAtlassian社の「Confluence」を使っています)に集めています。
会議も大事!
物理的に離れている分、会議は大事です。われわれも「デイリースタンドアップミーティング」「プランニングミーティング」「振り返りミーティング」など、「スクラム」で定義されているイベントは一通りやっています。
これらは全て、テレビ会議で実施しています。紙の付せんやホワイトボードが使えないのでオンラインのものを代用したり、話した内容を議事録として社内Wikiにまとめたり、意識的に細かく運営しています。
雑談こそ大事!
日々の開発を行う上で、「雑談=日常コミュニケーション」こそ1番大事かもしれません。一緒にコーヒーを飲んだり、昼飯を食べたり、飲みに行ったり、結局はこういうことで人間関係を作ったり、信頼関係を醸成したりすることって多いはずです。
でもリモートワークだと、これらが格段に難しくなります。
そこでわれわれは、社内のチャット(「HipChat」や「Viber」をよく使います)で好きなようにグループを作って、「フランクに」「好きな時に」コミュニケーションを取っています。仕事の話はもちろん、雑談も、席を隣り合わせているような感覚でラフに取れることが大事です。
1人にしない――孤独感は、知らず知らずのうちに人の心を蝕んでいくものです。文章を深読みして少しずつ疑心暗鬼になったり、人には言えないもやもやを溜め込んだり。性格にもよりますが、1人でいるとどうしてもそういうことは起こります。
複数拠点に分かれていても、各拠点に2人以上配置したり、1対1での定期的な面談を行ったりして、心のすれ違いを早い段階で除去するようにしています。
英語はもちろん大事!
一時期話題になったように、楽天は英語を公用語化しています。
冒頭で説明した通り、われわれの開発チームは、国内3拠点、海外4拠点をつないで仕事をしていますので、英語は強力なツールです。日本人、台湾人、ベトナム人、インド人が会話しようとすると、誰の母国語でもない英語が最も適しているからです。
英語を使えば、ブリッジエンジニアなどでコミュニケーションハブを作るよりも、エンジニア間で直接コードを見ながら話し合えます。
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