高可用性は低コストなデータベースミラーリングでSQL Server 2005を使いこなそう(8)(1/3 ページ)

5年ぶりのメジャーバージョンアップとなったSQL Server 2005。本連載では、SQL Server 2005への移行を検討しているデータベース管理者に向け、新規に実装されたさまざまな機能の詳細を紹介していく。(編集局)

» 2006年09月21日 00時00分 公開
[石橋潤一株式会社システムインテグレータ]

主な内容

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SQL Server 2005で提供されるフェールオーバー・ソリューション

手軽に高可用性を提供するデータベースミラーリング

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データベースミラーリングの動作モード

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クライアントからの透過的な接続

まとめ


 24時間365日利用され、重要性や機密性の高い情報が大量に蓄積されるデータベースにとって、高可用性は避けては通れないテーマです。ハードウェアやソフトウェアによる不調などによってデータが紛失、あるいはサービスが停止してしまうような状況は可能な限り回避する必要があります。

 SQL Server 2005では、高可用性ソリューションとしてフェールオーバーを実現する3つの機能が提供されます。以前から提供されてきた「フェールオーバークラスタリング」「ログ配布」に加えて、新たに登場した「データベースミラーリング」です。

SQL Server 2005で提供されるフェールオーバー・ソリューション

フェールオーバークラスタリング

 SQL ServerとWindows Serverが一体となって自動フェールオーバーを実現する高可用性ソリューションです。最大8ノードまでのクラスタ構成をサポートしており、SQL Serverで最も高い可用性を提供します。利用に当たっては「マイクロソフトハードウェア互換リスト(HCL)」へ登録されたサーバ製品を利用する必要があります。

ログ配布

 プライマリデータベースのトランザクションログを定期的にバックアップし、バックアップをセカンダリデータベースで復元することにより、プライマリデータベースのコピーを生成します。プライマリデータベースに障害が発生した場合などは、セカンダリデータベースをプライマリとすることができます。ただし、データベースの同期タイミングによってデータに差異が生まれてしまうため、可用性という点では劣ります。災害対策として遠隔地間で利用することも可能です。

データベースミラーリング

 本番データベースと待機データベースを同期し、この動作を監視することにより、高速な自動フェールオーバーを実現します。利用に際するハードウェアの制限や指定などはありません。フェールオーバークラスタリングに比べ導入のハードルは低く、予算などの問題から高可用性ソリューションの導入が難しかったシステムに適しています。

 各ソリューションをまとめると表1のようになります。

可用性 導入コスト サポートするエディション
フェールオーバークラスタリング × Standard/Enterprise
ログ配布 Workgroup/Standard/Enterprise
データベースミラーリング Standard/Enterprise
表1 SQL Server 2005で提供されるフェールオーバー・ソリューション

それぞれの機能を組み合わせた、より可用性の高い構成を取ることも可能。


手軽に高可用性を提供するデータベースミラーリング

 データベースミラーリングは、3台もしくは2台のサーバで構成され、それぞれが役割を担います。クライアントが接続するサーバとして「プリンシパル」、プリンシパルの同期先となる「ミラー」、それぞれを監視し自動フェールオーバーを実現する「ミラーリング監視」の3台による構成が基本です(図1)。ミラーリング監視サーバは動作モードに合わせて利用します。

図1 データベースミラーリングの構成図 図1 データベースミラーリングの構成図

プリンシパルサーバに障害が発生した場合、ミラーリング監視サーバが直ちに検知しミラーサーバへのフェールオーバーが自動的に行われる。


 それぞれのサーバはSQL Server 2005が利用可能である必要がありますが、ミラーサーバおよびミラーリング監視サーバのSQL Server 2005を待機/監視環境として利用する限り、追加のライセンスは必要ありません(レポーティングなどに待機系サーバを利用する場合は追加ライセンスが必要)。予算の限られたシステムでは、追加ライセンスが必要ない点は大きな利点となるでしょう。

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